【気分が上がる台所 Vol.7】お気に入りのうつわや調理器具、食材、調味料…… 時に億劫にもなる毎日の料理を楽しくしてくれる“モノ”たちが、台所に立つモチベーションを上げてくれることもあります。「料理を全くしない人」だった影山由美子さんが、“キッチンアイテム沼”にハマるに至った数々のエピソードをご紹介。第7回目は、「自分好みのぬか床」を手に入れるコツをお届けします。
こんにちは。クックパッドで“料理が楽しくなるオンラインマルシェ 『Komerco(コメルコ)』の中の人をしている影山由美子です。
皆さんは、ぬか床を腐らせた経験、ありませんか…?
私はあります。それも何回も…。
ぬか床をつくっては腐らせ約5年という年月を費やした私が、この度ようやく好みのぬか床を仕上げることができました。今回は、その成功の理由についてお話します。
皆さんは漬物は好きですか?
最近は「漬物が苦手」という人が多いようで、びっくり。我が家でも、旦那さんは苦手なほう。食べられない、というより食べる習慣が無いようです。
一方の私は、子どもの頃から漬物が大好き。母の実家である山形の家では当時、土間に昔ながらの大きな木樽を並べ、たくさんの漬物を漬けていました。子どもの頃、その山形の家に長期間泊まりに行っていたのですが、食卓に山盛りの漬物を出してくれるのが嬉しくて嬉しくて。特に小なすの漬物は、いくらでも食べられるほどおいしかったです。
私の実家でも、母が漬けていた白菜の漬物がほぼ毎食山盛りででてきて、まずはメインのおかずでご飯を1膳食べ、白菜の漬物で巻いて食べるためにもう1膳…というくらい漬物が好きでした。
そうそう、学校から帰ってぬか床を漁り、漬物とお茶でおやつにする渋い子どもでもありました。
私は胃腸が丈夫な方なのですが、それは子どもの頃からほぼ毎食、手づくりの漬物を食べていたおかげなのではないか?と思っています。
一人暮らしをする為に実家を出てからは、漬物は出来合いのものを買っていました。出来合いのものでもおいしい漬物はありますが、好みの漬物を探すのって結構大変で…。
となると、自分で漬けてみたくなります。あの大雑把な母でも漬けていたんだし、簡単にできそうな気がします。
まずは、私にとっての“キングオブ漬物”である「きゅうりのぬか漬け」を自分自身の手で、自分の好みの味に漬けてみたい、という気持ちを叶えるべくスタート。それが私の自家製漬物デビューでした。
しかし、おいしいぬか漬けができるぬか床を育てるって、これがまた結構大変で…。
ぬか床をつくっては腐らせ、袋のままつくれるぬか床を用意しても腐らせ、を繰り返していました…orz
ところが!この度、まさに私にとってのキングオブ漬物「きゅうりのぬか漬け」を、バッチリ自分の好みの味に漬けることに成功!
なぜ今回はその成功を手にできたのか?
それは
・「目につくところに置ける」「かっこいい容器」を買う
・「ショートカットできる材料」からカスタマイズを始める
の2点が理由でした。
これまでもぬか床容器はいろいろ買ってみたんです。かっこよくてお洒落な容器も使ってみたのですが、今回特に気にしたのは“目につくところに置ける”サイズ。
私が今回使ったのは「えんける道具店」さんの『8合 加藤さんが作る甕 白』。直径約16cm、高さ約18cmほどで、我が家の冷蔵庫の野菜室にすっぽりはいるサイズです。
今まで使っていた容器はもっと大きかったので冷蔵庫に入らず、陽の当たらないパントリー(という、納戸)に置いていました。 そうすると、ぬか床の様子を見たりかき混ぜたりするために、パントリーにわざわざ行く必要があるんですよね。
そして、つい、ぬか床の存在を忘れる。そして、腐らせる。
であれば、料理をする時に必ず目につくところに置く必要があるな、と思い、冷蔵庫の野菜室に入れることに。
スタンドタイプのビニール容器に入ったぬか床も野菜室に入るんですけど(なんなら、もっと目につく冷蔵庫の冷蔵室に)、ぬか漬けを取り出しているうちにビニール容器の口に「ぬか」が付いて見た目がショボン…な感じになるのが気になります。
ちょっとでも「あ〜↓」が生まれると、触りたく無い気持ちが湧き、見なかったことにされ、存在を忘れる…の悪循環に陥ります。
そこで、容器はテンションの上がる「かっこいい容器」かつ「冷蔵庫の野菜室に入るサイズ」にしました。
野菜室に入るサイズだと、きゅうりは折らなきゃ入らないし、ぬか床の減りも早くてこまめに足さなきゃいけないし…と懸念する点もあったのですが、これが大成功。
目につくたびにかき混ぜるようになり、今のところ無事に、1年ほどぬか床を育てています。 シンプルなデザインの甕がお気に入りで、野菜室で見つけるたびに気持ちがほっこりします。
粉末状の「ぬか」からぬか床をつくり育てるのは、過去何度やっても失敗しました。若いぬか床の味は、自分の好みの味と程遠く、理想に近づけるモチベーションが維持できなかったんだと思います。
そこで今回は、チャック付きのパックで販売されている「すぐ漬けられるぬか床」で手順をショートカットしました。 Komerco(コメルコ)で出会った、長野県のアイワさんのぬか床です。
合成添加物未使用に加え、発酵学の専門家が開発した、すぐに使えて便利、な点が気に入り、購入。
チャックの容器から、甕にぬか床を移植。用意した甕に、このぬか床一袋分がちょうど良い分量で収まりました。
まずはこの状態で初漬け。これだけでもおいしい。
でも、もう少し、うまみやまろやかな酸味がほしかったので
・だし用昆布
・かつお節
・干し椎茸
・ヨーグルト
などを少量ずつ、ひとつ足しては味を見て、を繰り返し味を膨らませていきました。
ぬか床は水が出たり、漬けた野菜に付いたりして減るので、その時は「補充用熟成ぬか」を足し、都度足りなくなったうま味を足して…で育て、約3ヶ月ほど過ぎたあたりで、ようやく自分好みのぬか床が出来上がりました!
自分好みの味に育ったぬか床は、とても可愛いです。
冷蔵庫に宝物が入っているみたいでワクワクするし、好みの一品があると思うと食卓の安心感がぐっと増します。今まではここに到達できぬまま、ぬか床を腐らせちゃっていたな…。
ぬか床から漬物を出して、付いているぬかを洗い、包丁で切ればぷ〜んと爽やかな良い香りがします。食べれば歯応えの良い、まろやかな酸味のあるぬか漬けに仕上がっています。
あ〜おいしい!
きゅうり、なす、アスパラに茗荷…今の季節は夏野菜を漬けて、秋は秋の、冬は冬の野菜で楽しめるのもぬか漬けの魅力。
とはいえ、私はきゅうりのぬか漬けさえあれば大満足なんですけどね(笑)。 さあ、今日もぬか床かき混ぜよう〜。
夫と犬二匹と葉山ぐらし。何でも形から入るタイプです。いかに簡単に、見栄えの良い料理を作るかが自身のテーマ。最近、旦那が料理に目覚めた。うつわ好きすぎて2000枚以上集め、料理道具好き、調味料大好きなマキシマリスト。料理が楽しくなるオンラインマルシェ『Komerco(コメルコ) by Cookpad』 中の人です。
【Web】https://komer.co/
【note】Yumico Kageyama
【Instagram】@yumico_kageyama
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