【子どもの心を育てるレシピvol.13】子どもに「食」の大切さを伝えたいと思いつつも、日々忙しくてなかなか教える機会がないという親御さんも多いのでは? そこで、子ども料理研究家・武田昌美さんが、子どもと楽しくトライできて心も育てられるレシピ、料理を通して子どもが得られる学びについて、わかりやすく解説! 気負わず、自然と生活の中に取り入れられる簡単料理で、とっておきの親子タイムをお過ごしください。
暑い夏休み。我が家の場合、あまりに暑すぎて外で思いっきり遊ぶわけにもいかない子どもたちは家でゴロゴロ。なかなか外出できないこの時期、おうち時間がこれでもか!というほどあると思います。ぼーっとする時間はとても大切なひと時ですが、夏休みはおうち料理に挑戦するにはもってこいの時期。ぜひ、親子で楽しい料理時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
今回ご紹介するのはセミドライトマト。オーブンで焼くというより、低温(100度)でゆっくり乾燥させて作ります。たったこれだけで、トマトの旨味がぎゅっと詰まった、おいしいセミドライトマトが簡単に作れてしまいます。
この料理で一番注意したいのは、つまみ食いをしすぎないようにすること! 出来上がりを確かめるためにパクッと一口食べると、あまりのおいしさにそのままどんどん食べてしまい…気が付いたら残りわずか!ということにならないように注意してください(笑)。
よくある質問の一つに、野菜の好き嫌いについてがあります。どうやって克服したらいいの?と、頭を悩ませる親御さんは多いですよね。
一つの提案として、「野菜の調理法を変える」という方法にトライして欲しいです。例えば、にんじんが嫌い、と思っていても、実はその“苦手”を掘り下げてみると、にんじんの何が嫌いなのかが具体的になってきます。味、食感、匂いなど、嫌いになってしまう原因は様々。
息子は、「大きく乱切りにされた煮物のにんじん」が苦手です。でも、ひじきに入っている千切りのにんじんは同じ煮物でも大丈夫だし、ミートソースに入っている小さなにんじんも全く問題なし。スライサーで細くした生のにんじんサラダはむしろ大好物でパクパクよく食べます。つまり、にんじんが全部苦手なのではなく、「大きい」かつ「煮た」にんじんが苦手なだけなんです。
茹でたり焼いたり生だったり、野菜は様々な食べ方ができるのことが魅力の一つ。子どもの嫌いな野菜について、子ども自身にまるっとその野菜を苦手と認識させるのではなく、野菜のどの調理の方法が苦手なのか、親子で対話をしながら嫌いを紐解くことが大切だと思っています。
そしてもう一つ、食べられない調理法の野菜があったら、それを認めてあげることも大切です。残すことは百も承知でありながら、毎回嫌いな野菜をお皿によそう、そんな状況もあることと思います。もちろん、そうやって少しずつその野菜に慣れて、徐々に食べられるようになったら万々歳です。
しかし私は、「あなたはこの調理法の野菜が苦手なんだよね」と嫌いを認めてあげて、1個だけにする、みんなより少なくよそうなど嫌いを尊重することも大切なのかな、と思っています。もちろん、外食時や給食では食べて欲しいので、バランスを取るのが難しいですが、嫌いな食べ物を認めてもらうって大人も子どもも嬉しいことじゃないかな、と感じます。あくまでも自分だったら認めてもらえたら嬉しい、という目線でこのような見解をしています。
トマトが嫌いな子に話を聞いてみると、味が嫌いという子よりも、グチュっとした食感が苦手という子が多くいます。そんな子にも、このセミドライトマトを作って欲しいです。長時間乾燥しているので、独特なグチュっと感がだいぶ軽減されます。そして、濃縮することでトマト本来の甘みを引き出してくれるので、トマト克服にぴったり。「トマトの調理法を変えたら食べられた!」という成功体験につなげて欲しいと願っています。
のんびり過ごしたい夏休み。ぜひ親子でキッチンに立って料理に挑戦してみて欲しいと思います。
クックパッドニュースの人気連載「子どもの心を育てるレシピ」「料理で子どもの好きを見つける」「今日から始める親子クッキング」に書き下ろしを加えて電子書籍化。
子ども料理教室を運営し、3000人以上の子どもたちを見てきた著者の経験を元に、「食」を起点にこれからの時代を生き抜く力を身に付ける方法を伝授。
著者自身の子どもとの日々や教室での印象的なエピソードも交え、親子で楽しめる四季折々の「子ども料理」レシピを紹介しています。
どこで子どもがつまずきやすいのか、小さな手での作業に適した方法は何なのか等、子どもが安全に料理するためノウハウを各所に散りばめた、子育て中のママパパ必携の一冊。
リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【YouTube】リトルシェフクッキング
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
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