cookpad news
インタビュー

新調したアイテム第1位は「調理家電」!みんなのコロナ禍の料理と暮らし実態調査

新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛やそれに伴うおうち時間の増加など、私たちのライフスタイルは大きく変化しています。それを受け、クックパッド株式会社とアルヒ株式会社は共同でアンケート調査を実施。4095名の生活者への調査結果を『料理と暮らし白書2021』としてまとめました。

この調査結果を基に、『ARUHIマガジン』編集長・風見 悟さん、『たのしいキッチンmag by cookpad』編集長・渡部一紀、『クックパッドニュース』編集長・福井千尋の3者で、コロナ禍を経て料理や暮らし、住まいについて生じた変化をそれぞれの観点から考察し、「料理と暮らしの未来」について語り合いました。

692c37bbec20045296eafe2b46c3c8e0 左から、『クックパッドニュース』編集長・福井千尋、『たのしいキッチンmag』編集長・渡部一紀、『ARUHIマガジン』編集長・風見悟さん

おうち時間が増える中、新調したアイテム第1位は「調理家電」

コロナ禍によって、アンケート回答者の71.2%が「自宅で過ごす時間が増えた」と回答。そこで、家電や家具など、家の中のもので新しく購入したものや買い替えたものについて質問したところ、上位には「調理家電」「調理器具・食器」「冷蔵庫」と、いずれも食関連のアイテムが並んだ。

ARUHIマガジン編集長・風見 悟さん(以下、風見) 上位に来ているアイテムは皆、毎日使うものばかりですよね。僕はこの結果を見て、家にいる時間が長くなっているだけに、生活効率を上げたいという思いが強く表れているように感じました。また、「加湿器・空気清浄機」という回答も8.0%と、ここもコロナ禍ならではの結果だなと納得でした。

クックパッドニュース編集長・福井千尋(以下、福井) 生活効率という視点は、本当にその通りだと私も思います。「調理家電」が第1位という結果には、外出自粛によって自炊の頻度が否応なしに上がる中、ちょっとでも料理の負担を減らして効率化したい、外食はできないけれど自宅でおいしいものを食べたい、というニーズが背景にあると感じます。電気圧力鍋ホットプレートホットサンドメーカーなどは、ヒット商品も生まれたり、非常に人気を集めていますよね。手軽にいつもと違うものが食べられて、子どもも喜んでくれたり、ランチにも使いやすいことなどが、人気の理由ではないでしょうか。

たのしいキッチンmag編集長・渡部一紀(以下、渡部) 回答者の世代別に見ても、女性は30代以上のすべての世代、男性は30代・50代・60代以上の世代と、幅広い世代で「調理家電」がトップになっていましたね。

風見 もともと料理をよくする方が効率化したい、というケースのほか、今まであまり料理をしなかった人も料理をする機会が増えて、やりだしてみるとあれこれ買い足す必要が出てきた、というパターンが結構あるのではないかと思いました。

渡部 あるかもしれませんね。ちなみに僕自身は台湾の万能調理器『大同電鍋』を買いました(笑)。調理家電の中では価格が比較的手頃だったし、機能や操作もシンプルで使いやすいので重宝しています。風見さんも、何か新調されたものがありますか?

風見 僕はホットプレートを買いました。すでに持ってはいたんですが、たこ焼きが焼ける大きいホットプレートが欲しくなって購入したんです。子どもがいるので、一緒に焼いて楽しみたいなと思いまして。

福井 昨年、初めて緊急事態宣言が発出された時期から、クックパッドでもホットプレート料理のレシピの検索数が急激に伸びたんですよ。それ以来、今年も引き続き検索ニーズは高いままで、もう皆さんの生活の中に根付いている感もありますね。ホットプレート料理って、準備が簡単で、食卓の上で完成させることができる料理じゃないですか。台所で1人で料理を作って食卓に出すよりも、食卓でみんなで調理をして食べられる点がいいですよね。料理の負担を減らしてくれることはもちろん、家族で過ごす食事の時間をより楽しくしてくれますから。

「健康・ダイエット目的の料理」が新しい食習慣に

コロナ禍をきっかけに新しく始めた食習慣の第1位は「作りおき」(45.3%)。次いで「テイクアウト・デリバリーの利用」(39.6%)、「健康・ダイエット目的の料理」(21.4%)という回答が続いた。料理の負担を軽減するためにまとめ調理や中食を活用する動きと同時に、健康志向の高まりが見て取れる結果に。

福井 昨年からのクックパッドニュースの人気の記事の傾向を見ていて、「作りおき」や「電子レンジ」はこれまで以上に活用されている様子を察していましたが、特に象徴的だと感じたのが、「健康・ダイエット目的の料理」へのニーズの高まりでした。もともと人気の高いテーマではあったのですが、コロナ禍において日を追うごとに注目度が上がっていることを記事を配信する中で実感していたため、上の調査結果にはやはりという感想を持ちました。確かに身近な人の中にも、コロナ禍で運動不足になり、ランニングをして体調管理をしたり、ダイエットを始めたと話す方は増えましたよね。クックパッドでも、「低糖質」「高タンパク」というキーワードを掛け合わせた検索数が伸びているんですよ。

渡部 わかります。コロナ太りを実感する方は多かったのではないでしょうか。実は僕自身も健康やダイエットへの意識は高まり、食事制限やジムでの運動を生活に取り入れるようになりました。

風見 コロナウイルス感染症と向き合う日々の中で、多くの人が「健康」の価値を改めて再認識したと思います。こうした食習慣は、今後もこのまま根付いていくのかもしれませんよね。

自分が「おいしい」と思える料理ができた時に、料理の楽しみを実感

アンケート回答者の43.0%が、コロナ禍によって「自炊の頻度が増えた」と回答。そこで、「料理をすること」は楽しいかを質問したところ、「楽しい」と回答した人が最も多くなった。さらに、料理を週1回以上している人のみの回答を抽出すると、実に74.1%が料理を「楽しい」と感じているという結果に。5年前にクックパッドが発表した『おうちごはん白書2016』のアンケート調査結果では、同内容の質問に対して「楽しい」という回答が50.1%にとどまったが、今回の調査では顕著に増加した。

福井 コロナ禍によって、料理の負担が増えたという方もたくさんいらしたはずです。そんな中でも、料理を楽しんでいる人が5年前の調査時より増えていることは、とても嬉しく思いました。どんな時に料理を楽しいと思うのかを尋ねた結果では、「自分で食べて『おいしい』と思える料理ができた時」(74.4%)が第1位だったのですが、これも5年前の調査時の同じ質問への回答と比較すると26ポイントも増加。また、「新しいレシピや調理方法を試すことができた時」に楽しみを感じるという回答も、20ポイント以上高くなっていました。

渡部 逆に、料理に負担を感じるのは「献立を思いつかない時」や「いつもと同じような献立になってしまう時」という回答が多かったですよね。

福井 はい。コロナ禍の料理作りにおいては、多くの方が献立のマンネリ化に悩んでいることがよくわかりました。そうした状況だからこそ、新しいレシピへのトライが料理のモチベーションアップにつながったり、気分転換になったりして、楽しみとして感じられたのかもしれません。

風見 アンケート回答からは、50代や60代以上の男性がコロナ禍をきっかけに初めて料理をするというケースも少なくなかったように見受けられました。

渡部 確かに。自宅で料理をするようになって、自分の身長だと「キッチンの高さが合わないことに初めて気づいた」という男性回答者のコメントもありましたね。

福井 私自身は、コロナ禍というこの期間が、ある意味、料理に対する向き合い方の転換期になったと思っています。特に、この時期に初めて料理をすることが増えた方たちの中には、料理に対して「家事タスクの1つ」という感覚だけではなく、ある種エンターテインメントとして楽しめる「アクティビティーの1つ」という認識を持ったケースも多かったのではないでしょうか。

家庭内に「料理のつくり手」は複数いるのが当たり前の未来へ

アンケート回答者の8割近くが、コロナ禍の影響で何らかの「価値観の変化」を感じていると回答。具体的には、「時間の使い方」「お金について」「家族との過ごし方」について価値観が変わったという回答が上位に。

福井 コロナ禍の影響で、家族と過ごす時間が増えたと回答した方に、何をして過ごすことが増えたかを聞いたところ、1番多かったのはやはり「TVや映画を見る・音楽を聴く」(23.7%)という回答だったのですが、2番目に多かったのが「料理」(17.0%)だったんです。これも、「時間の使い方」や「家族との過ごし方」などの価値観の大きな変化の1つなのではないかと見ています。

渡部 これからさらにワークスタイルの変化や、それに伴う家庭内の家事分担が加速していけば、家庭内に料理のつくり手が複数いるのがスタンダードになっていくかもしれません。そうなっていくと、住まいの中でもキッチンは特に大きく変わっていくのではと思います。平均的な日本の住宅のキッチンは、主に女性が1人で料理をする前提で設計されているものがほとんどです。今後は、男性や複数の人が同時に作業できる導線設計がされた新しい形のキッチンが登場してくるのではないでしょうか。

風見 そうですね。キッチンをはじめ、住まい全体へのニーズが大きく変わっていくと僕は思います。次に住まいを選ぶ際、最も重視する条件は「間取り」という結果がアンケートでも出ていました。これは、在宅勤務を経験する中で夫婦それぞれが仕事に集中できるワークスペースの必要性を感じたり、おうち時間の増加に伴って家族や友人など複数人が集っても快適に過ごせる広い空間を確保したいなど、さまざまなニーズが顕在化してきたことが背景にあるでしょう。仕事や趣味、運動など、用途に応じて多目的に活用できるスペースが設計されていることが求められてくるかもしれませんね。これからは、いかにフレキシブルに楽しめる要素があるかが住まい選びの基準となっていくと考えています。

福井 自宅は単に「休む場所」ではなく、「暮らしを楽しむ場所」へと進化していくのでしょうね。料理も、「限られた時間でこなさなければならない家事タスク」の1つから、「クリエイティブな楽しみ」の1つへと進化していくと期待しています。ワークスタイルが変化し、家庭内の料理のつくり手が増えていけば、多くの人が料理をつくる負担から解放されるはずですから。時短・簡単な料理だけではなく、多様な食材・調理法で料理を楽しむ人が増えていくかもしれません。

風見 アンケートでは、住む街を選ぶ際に重視したい条件として「日常の買い物の利便性」を挙げる人が最も多くいました。今後、活用頻度が上がりそうな食材の調達先としては、「スーパーマーケット」(60.5%)が第1位でしたが、次点は「農産物の直売所」(21.0%)となっていましたよね。また、在宅勤務を経験している人は、居住エリアに「自然の多さ」を求める傾向も。ワークスタイルの変化により、職場への通いやすさにとらわれず、「住みやすさ」を軸に居住エリアを選ぶ人はますます増えていくと思います。近場に豊かな自然があるエリアが注目され、「地元でいかに暮らしを楽しむか」がこれからの生活スタイルのカギになっていくのではないでしょうか。

(TEXT:小菅祥江)

ARUHIマガジン編集長・風見 悟さん
住宅ローン専門金融機関/国内最大手のARUHIから生まれたWebメディア『ARUHIマガジン』編集長。新しい時代の街探し、ニューノーマルな家の買い方、住宅ローンの選び方など、知って得する情報や多彩な選択肢を日々配信中。



たのしいキッチンmag編集長・渡部一紀
理想を叶えるキッチンと住宅、リノベーションのWebマガジン『たのしいキッチンmag by cookpad』編集長。「すべての家に、料理がたのしいキッチンを。」をコンセプトに、キッチンショールームレポートや最新のキッチン設備やグッズ情報まで、住宅のキッチンに関する情報を日々配信中。


クックパッドニュース編集長・福井千尋
料理初心者もベテラン層も楽しめる、サクッ!と読めて役に立つ料理Webマガジン『クックパッドニュース』編集長。「料理って、おもしろい。」をコンセプトに、編集部が発見した「思わず作りたくなるレシピ」や「やってみたくなる料理の裏ワザ」などの実用情報から料理のエンタメ情報まで、日々配信中。

『料理と暮らし白書2021』

クックパッド株式会社とアルヒ株式会社が共同で、4095名の生活者へのアンケート調査を実施。2021年8月18日に、「食や料理」と「暮らし」の2つの側面から、変化の兆しとポストコロナのニューノーマルを読み解く『料理と暮らし白書2021』をリリースしました。

シェアする