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コラム

炒め物や和え物、麺料理まで!いま注目の食材「豆腐干(トウフカン)」がアレンジ無限大だった

【工藤詩織の「お豆腐」進化論 Vol.33】ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず。 あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!

注目の食材「豆腐干」とは?

豆腐の発祥の地・中国では、豆腐加工品が豊富で日本に伝わらなかったものも多々あるそうです。中でも、「豆腐干(トウフカン)」は、近年、日本でも高タンパク・低糖質な食材として注目が高まっています。「豆腐干」は豆腐に圧力をかけて脱水し軽く乾燥させたもので、木綿豆腐の表面のようなザラっとした歯ざわりで、ハムのような歯ごたえと麺のような弾力があります。中国や台湾などでは、和え物などの前菜から炒め物などの主菜まで、幅広く使われてきた定番食材で、帯のような太さのものから千切り状のものまでタイプも様々。中華料理の定番スパイス、五香粉(ウーシャンフェン)で味付けをされたタイプもあります。実際、筆者の友人にも「豆腐干」にハマっている方がいてすすめられていたものの、私自身は中華料理店で何度か口にしてきた程度、いわば「豆腐干」の初心者でした。今回はいままで気になっていた「豆腐干」を自らさまざまな調理法で味わってみました!

「豆腐干」を探してみた!

まずは「豆腐干」を買いに近隣の食材店やデパート、業務スーパーへ出かけてみました。「豆腐干」という名前に釣られて、高野豆腐や切り干し大根、かんぴょうなどが並べられている乾物コーナーを探してしまいましたが見当たらず。店員さんに尋ねると案内されたのは冷凍食品コーナー。それもそのはず、「豆腐干」のほとんどが中国や台湾から輸入されている商品のため、冷凍された状態で売られていたのです! 皆さまはこのような初歩的なミスにお気をつけくださいね。業務スーパーではやや太めで短めの「豆腐皮(スライス)」、製菓・製パン材料でお馴染みの富澤商店では糸状に千切りされた「豆腐干絲(トウフカンス)」を見つけることができました。このように、商品によって干豆腐・豆干絲・豆腐麺など名称が若干異なるようです。

左側が業務スーパーで購入したもの、右側が富澤商店で購入したもの

さまざまな調理法で食べてみた!

無事にゲットしてきた「豆腐干」を冷蔵庫で解凍し、沸騰したお湯で1~2分ほど茹でたら冷水に取り、しっかり水気を切っておきます。これで調理前の準備は完了です。茹でた「豆腐干」を取り出す際、ちぎれたり崩れたりしないのか心配でしたが、想像以上に丈夫で、伸び縮みをしているような弾力があり、扱いやすく感じました。

左側が業務スーパーで購入したもの、右側が富澤商店で購入したもの

それでは、調理スタートです。今回は特別な買い物をせず、家にあった食材や調味料を組み合わせてみました。

まずは前菜にする和え物です。ミョウガ、カイワレ大根、塩昆布、顆粒鶏ガラとごま油で和えてみました。長めのタイプは和えた具材を巻き取るように絡むので食べやすいです。定番のハムやキュウリ、千切りのキクラゲやザーサイを合わせても良さそうですね。葉物がないけれど冷菜が食べたいというときに手軽に作れるのが良いなと思いました。

次は副菜の炒め物。下ゆでして水を切った「豆腐皮(スライス)」とピーマンをごま油で炒め、ニンニクのすりおろしと塩で味付けし、水溶き片栗粉で軽くとろみをつけました。短めタイプは箸でつまみやすいので炒め物や炒め煮などに合いそうです。

最後は主食の和え麺。挽肉、味噌、ラー油、白ゴマーペーストなどを組み合わせた肉味噌を、下ゆでして水を切った千切りタイプの「豆腐干絲」にのせて、卵黄をトッピング。汁なし担々麺風に仕上げてみました。小麦の麺のようにツルツルっとすすることは出来ませんが、千切りタイプは麺にしっかり具材が絡んで噛みごたえもあるので満足度は高かったです。個人的には、麺代わりに使う際は、醤油やめんつゆでシンプルに仕上げるよりも、ごま油やラー油で濃いめの味付けをする方が食べやすく感じました。

いかがでしたか? 店頭だけでなくネット通販でも購入できるようになったので、少しずつ身近になってはいるようです。私も「豆腐干」上級者を目指して、これからもさまざまなアレンジを楽しんでみたいと思います!

参考文献:
- 鶴田静・津村喬・井上豆彦 共著, 『健康食 豆腐 』, 農文協, 1984

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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