【アメリカの最新ごはん事情vol.8】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第8回目のテーマは4月17日に本番を迎える「イースター」の料理。アメリカ人にとってクリスマスより大事なイベントのイースター。定番で食べるパンのレシピも教えてもらいました。
イースターは「復活祭」と言って、イエス・キリストが十字架にかけられて亡くなり3日後に復活したことを祝う日です。日本では近年になって聞くようになった言葉かもしれませんが、キリスト教徒にとってはクリスマスより大切な日。クリスマスはセールなどで開いているお店が多いですが、イースターは閉めているお店が少なくありません。
イースターと言えば卵ですが、卵は「イエス・キリスト復活」のシンボル。この日子どもたちは、卵にデコレーションをしたり、エッグハントをしますが、卵料理がイースターの料理というわけではありません。ただし、エッグハントした卵を捨てるのはもったいないため、結果、卵料理にするということは多々あるようです。
また、イースターが近くなると、お菓子屋さんでは、卵型やうさぎ型のチョコレートやマシュマロが並び、お店がにぎわいます。イースターのうさぎには、子孫繁栄という意味が込められています。
イースター(Easter)は春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前が由来と言われていて、春の訪れを祝う日でもあります。そのためイースターには、旬のアスパラガスなどを使い「春」を意識した料理が多く出されます。その他にも、子羊の肉や骨つきの塊肉など豪華な食べ物も食卓に並びます。
また、イースターの食事では「ホットクロスバンズ」という十字を入れたバンズも出てきます。パン屋でも買えますが、家で作った方が焼きたてが食べられておいしいので、今回は、ホットクロスバンズのレシピをご紹介します。
レーズン……1/2カップ
ドライイースト……小さじ1と1/8
砂糖 ……小さじ1
牛乳……100cc (43℃に温める)
【a】生地
中力粉または強力粉 ……210g
★砂糖……50g
★シナモン……小さじ1/2
★オールスパイス……小さじ1/4
★ナツメグ……小さじ 1/4
★塩……ひとつまみ
★溶き卵……1個
★バター (常温に戻しておく)……35g
★バニラエッセンス……小さじ1/4
【b】クロスの部分
小麦粉……60g
水……大さじ6
【c】仕上げ
アプリコットジャム……大さじ6
水またはラム酒……適量
1.レーズンを耐熱容器に入れ、小さじ1程度の水、もしくはラム酒(分量外)を入れてよくかき混ぜて、ラップをして1分ほど加熱する。蒸気でレーズンがふっくらとするので、よく混ぜて冷ましておく。
2.ボウルに温めた牛乳を入れて、ドライイーストと砂糖を入れてよく混ぜ合わせて、5分ほど置く。(イーストによっては、すぐに使えるものもある)
3.(2)が少しふつふつしていたら、【a】の★と(2)をフードプロセッサーに入れて混ぜる。生地がまとまったら、(1)を入れてこねる。
【最初から全て手でこねる場合】
【a】の粉を全てボウルに入れて、真ん中にくぼみを作り、(1)・(2)・【a】の材料を全て入れる。少しずつ周りの粉を崩して混ぜ合わせていき、手につかなくなるまでこねる。柔らかすぎて扱いにくい場合は粉を足す。
4.(3)をボウルに入れてラップをかぶせ、生地が約2倍に膨らむまで置く。(約1時間)
5.生地が膨らんだら、ガス抜きをしたあと9等分し、あらかじめ用意をしていた型に入れてラップをかけて、ふっくら膨らむまで待つ。(45分〜1時間ほど)
6.待っている間に【b】を混ぜ合わせる。最初から一気に水を入れないように注意。絞りやすいように、少し硬めに仕上げ、焼く直前の(5)の上に十字を絞り出す。
7.あらかじめ180℃に温めておいたオーブンで、約20分焼く。
8.焼いている間に、【c】のアプリコットジャムを水またはラム酒で薄めて、サラッした感じに仕上げておき、(7)が焼き上がったらすぐに表面に薄く塗る。
9.触れるほどに冷めたら、型から取り出す。
温かいうちに食べた方がおいしいので「ホット」という言葉が頭についています。「クロス」は十字架を意味し、加えるスパイスは、キリストの死後、身体に塗ったスパイスを象徴するそうです。中には、レーズンが入っています。
面倒くさければ、十字の絞り出しを外してもいいですし、焼きあがって冷ましたバンズにアイシングでクロスを描いてもいいです。名前の通り、焼きたてを食べるのが一番おいしいですので、是非お家でトライしてみてください!
メイン画像提供:Adobe Stock
兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
【HP】
【Instagram】