【話題のダイエット本、試し読み Vol.15】ちまたに溢れるダイエット本、ゴールはみんな同じですが、そこにたどり着くための方法は本の数だけ存在しています。本連載では、話題のダイエット本のメソッドを編集部がダイジェストでご紹介。ご自分にぴったりのダイエット本を、ぜひ見つけてみてくださいね。
痩せたいと思い立った時、まず食事量を減らそうとした経験のある方は多いのでないでしょうか? 食べる量を減らせば確かに体重は減りますが、継続するための工夫が必要で、我慢すればするほど失敗を招きがちです。
著者は、高タンパク・低カロリー食レストラン『筋肉食堂』マネージャー、谷川俊平さん。谷川さんはアスリートや芸能人が数多く通うスポーツジムで、トップアスリートなどのボディメイクを10年間担当。体づくりには食事の改善が欠かせないことに気づいたそう。その経験から、高タンパク低カロリー料理に特化したレストラン『筋肉食堂』をオープン。コンセプトが人気を博し、今では都内に5店舗を展開するほどの話題店となりました。
谷川さんはトレーナー時代に、筋トレで結果が出る人と出ない人の違いに気づきます。それが、食事。体を変えるのに果たす役割は、運動が1割、食事が9割だと感じたそう。では食事のどんな点に気をつければいいのでしょうか?
「その日の気分で好きなものを食べていたり、家族が用意してくれたものを何も考えずに食べている人は、まず食事への意識改革が必要」と谷川さん。代謝を上げる筋肉を増やすために必要なのが、タンパク質。タンパク質中心の食事は、食費がかさむけれど、投資と思って積極的に取り入れることが大切です。今回は本書から、タンパク質が豊富な食べるべき食材、調理や食事のコツなど、日常生活のなかで簡単に取り入れられる工夫をお伝えします。
体内で十分なタンパク質が生成させるためには、体内で合成できない必須アミノ酸を多く含む、アミノ酸スコアが高い食品を食べるのが重要。アミノ酸スコアは100が上限で、高ければ高いほど、筋肉がつきやすくなります。
牛肉、鶏肉、豚肉などの食肉、マグロやアジなどの魚、卵など、動物性タンパク質のアミノ酸スコアは、ほぼ100。
野菜類などの植物性タンパク質は、大豆など一部を除いてアミノ酸スコアが低い傾向はありますが、バランスを整えるためにも、様々な種類の植物性タンパク質を摂取することが大切です。例えば、陸上選手のカール・ルイスは菜食主義者ですが、筋肉のついた体で世界記録も出しています。植物性タンパク質でも、組み合わせを工夫すればしっかりと筋肉はつくのです。
アミノ酸スコアを参考にして、さまざまな食品からタンパク質を摂取するのが理想の形と言えるでしょう。
高タンパク・低カロリーのお手本のような食品、鶏肉。ササミもおすすめですが、谷川さんが推奨するのがムネ肉。疲労回復に役立つ成分「イミダペプチド」が含まれ、筋トレの疲れが早くとれる効果が。毎日食べると飽きがくるので、梅干し、キムチ、ガーリック...などの「味変」で飽きを撃退しましょう。
ヒレ肉の特徴は、なんといっても脂質の低さ。和牛のヒレ肉は脂質が高いので、海外産の牛肉がおすすめだそう。他の肉より値段は張りますが、自分への投資と考え、定期的に牛ヒレ肉を食事に取り入れましょう。
値段の安さと栄養の豊富さが魅力の豚肉。豚肉は疲労回復効果のあるビタミンBが多く含まれていますが、部位によっては脂質が多いデメリットも。脂肪の多い豚バラは避け、脂肪が少ないヒレ肉を選びましょう。谷川さんおすすめのメニューは、ステーキや生姜焼き、そして豚しゃぶ。豚しゃぶは調理に油を使わず、茹でることで余計な脂分が抜けるので特におすすめだそう。
魚介類で食べるべき食材はマグロの赤身、カツオ、タイやヒラメなどの白身魚。カキ、ホタテ、アサリなどの貝類や、イカ、タコなどは、あまりタンパク質としてのイメージがないかもしれませんが、これらも立派なタンパク源。
谷川さんが冷凍庫に常備しておくべきとおすすめするのが「市販のシーフードミックス」。肉にも魚にも飽きてしまったときの第三の選択肢になってくれますよ。
谷川さんは普段からノンオイルのツナ缶を食べているそう。ノンオイルのツナ缶には、食塩入りと食塩なしの2種類があり、そのまま食べるには、食塩ありのほうが食べやすいんだとか。食べる際は、せっかくノンオイルを選んでいるので、マヨネーズやドレッシングをかけないよう注意しましょう。生サバより栄養豊富で話題のサバ缶。サバ缶を調理する際は加熱せずそのまま食べれば、より栄養を摂ることができますよ。
生卵はあまり消化がよくないので、温泉卵のような半熟がおすすめ。半熟なら栄養の吸収率もよくなります。谷川さんは、味噌汁に生卵を落として、ちょうど良い半熟具合で火を止めて食べているそう。味噌汁なら食べる機会が多いので、習慣的に卵を食べることができそうです。
また、ボディビルダーの方がよく食べているのがポーチドエッグ。こちらも沸騰しているお湯に生卵を割り入れるだけで簡単に作れるので、手軽に取り入れられそうです。
乳製品はタンパク質が豊富ですが、気をつけたいのが脂肪分。減量中で脂質が気になる場合は、牛乳なら低脂肪乳や無脂肪乳を、チーズやヨーグルトなら低脂肪タイプを選ぶのがおすすめです。
疲労回復効果のあるビタミンCが豊富なブロッコリー。茹でる際に塩を入れれば、そのままでも美味しく食べられます。飽きそうなら、ポン酢などで味変を。谷川さんはそうめんのつゆにつけてさっぱり食べているんだそう。ブロッコリーは茹でるとビタミンCが流れ出てしまうので、電子レンジで蒸して調理するのがおすすめです。
タンパク質は、朝、昼、晩の全食を通して少しでも多く摂ることが大事。今まで朝食がトーストだけだったら、そこに卵を1つ乗せるだけでもOK。昼食がラーメンやハンバーガーだったなら、これからは焼き魚定食などを選ぶといった具合で調整しましょう。そのとき「今日は魚の量が少ないな」と思ったら、納豆や冷奴の小鉢、卵などをプラスするなどのアレンジを。谷川さんはこうしたアレンジを「追いがつお」ならぬ「追いタンパク」と呼んでいるんだとか。
一見、「追いタンパク」はハードルが高そうですが、大きな味方がいます。それがコンビニ。コンビニのサラダチキンは、高タンパク・低脂質のお手本のような食材。他にも茹で卵、ツナサラダ、ヨーグルト、プロテイン入りのドリンクなど、コンビニには、「追いタンパク」にぴったりの食材がたくさん並んでいます。
食品のカロリーは調理方法によっても変わります。調理の際は少量の油をひくなら「オメガ9脂肪酸」のオリーブオイルを使うのがおすすめ。野菜などは油を使わずに、魚焼きグリルやオーブン、オーブントースターなどで焼いてもおいしく仕上がりますよ。最もカロリーが低く、栄養の損失が少ないのが蒸し料理。100円ショップの電子レンジ専用の調理器なら簡単に調理できるのでおすすめです。
谷川さんが最強食材と紹介する鶏ムネ肉。『筋肉食堂』でも「鶏ムネ肉のソテー」はNO.1の人気メニューです。今回はパサパサせず、ジューシーに仕上がる鶏ムネ肉の焼き方のコツと、味変のためのメキシカンソースのレシピをご紹介します。
鶏ムネ肉……1枚(約200g)
塩・コショウ……適量
1. 鶏ムネ肉の皮の部分を取り除く
2. 1に塩・コショウを少々振る 。その後、常温になるまでしばらく置く。
3. 2を小さめのフライパンに入れ、肉の3分の1が浸るまで水を入れる。
4. フライパンを火にかけ(中火)、沸騰したら蓋をして弱火にし、5分蒸す。
5. 5分後、火を止めてそのまま15分置いておく。
6. フライパンにオリーブオイルをひき、両面に焼き色をつけて完成!
タマネギみじん切り……50g
コブドレッシング(市販)……100ml
チリパウダー(市販) ……小さじ1
1. コブドレッシングとみじん切りにしたタマネギを混ぜる。
2. チリパウダーを入れ、味を整え完成!
本書では、今回ご紹介したタンパク質の摂れる食品の選び方だけではなく、筋トレを習慣化するメソッドや筋トレの質を上げる睡眠のコツなど、ダイエットを成功に導く様々な情報が満載。プロトレーナーとしての経験から語られるノウハウは説得力があり、読むだけで成功がイメージできる内容になっています。
著者の谷川さんから、ダイエット中のクックパッドニュース読者へ向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。
「誰しも早く結果を出したいものです。しかし、痩せたいがために、極端に食事を抜いたり、絶食したり、サウナなどで汗をかいたりして、体重を一時的に減らし、一喜一憂するのはオススメしません。
ダイエットもボディメイクも日々の積み重ねが大切。『ローマは1日にして成らず』ではありませんが、まずは意識を変えましょう。
意識は1日で変えることができますし、それを3日続ければ習慣も変えることができます。
正しい食事知識を取り入れること、そして痩せやすく太りにくい「代謝のいい身体」を作ることが理想の体を手に入れる一番の近道です!やっぱり、タンパク質ですね!」(谷川さん)
これから筋トレを始める場合、1日の中に新たにトレーニングをする時間を捻出する必要があります。でも食事は1日に3回と元々機会が多いですよね。ダイエットに効果的な食材の取捨選択の知識があれば、生活における変化を最小限に抑えながらダイエットを成功に導くことができますよ。
これから筋トレを始めようと考えている人、すでに筋トレをしているけれど、あまり効果が出ない初心者の方にこそおすすめの一冊です。
梅雨が明けたら、本格的な夏が始まります。夏に向けて次の食事から、谷川さんの食事術を取り入れてみてはいかがでしょうか。
(TEXT:小菅祥江)
食べてないのに太る? 食べないから痩せないんだ! 引き締まった体を目指すにしても、マッチョを目指すにしても、必要なのは筋肉をつけて代謝を上げること!
筋肉を育てながら脂肪を減らす、最も効率のいい体づくりの方法とは? 複雑な栄養価の計算や細かい記録も必要なし! アスリートや芸能人、多くのトレーニーに絶大な人気を誇る『筋肉食堂』のマネージャーが教える、お腹いっぱい食べながら、理想の体を実現する食事術。
巻末には、鶏ムネ肉を飽きずに食べ続けられる、筋肉食堂監修の激ウマソースレシピもついてます!