【子どもの心を育てるレシピvol.23】子どもに「食」の大切さを伝えたいと思いつつも、日々忙しくてなかなか教える機会がないという親御さんも多いのでは? そこで、子ども料理研究家・武田昌美さんが、子どもと楽しくトライできて心も育てられるレシピ、料理を通して子どもが得られる学びについて、わかりやすく解説! 気負わず、自然と生活の中に取り入れられる簡単料理で、とっておきの親子タイムをお過ごしください。
学校や幼稚園から帰ってきた子どもたちの楽しみと言えば、一にも二にもおやつ! 帰る道すがら、頭の中はおやつのことでいっぱいの子どもも多いはず。そんな子どもたちに、「おかえり、今日はクッキー焼いたわよ」うふふと微笑みながら毎日手作りのお菓子を差し出せたらどんなに素晴らしいか…こんな妄想もしてしまいますが、どこを探してもその余裕が見つからないのも現実。そうは言っても、たまには「おかえり」と言いながら手作りおやつを出してあげたい!
そんな時に便利なのがゼリーです。そう! ゼラチンを使ってジュースを固めるだけのゼリー。それなら早速今日から…と思ったものの、「いまいちゼラチンの扱い方がわからない。そもそも寒天と何が違うの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。ゼラチンは簡単にゼリーが作れるすごい食材ですが、手順や扱いを間違えると固まらなくなるなど、デリケートな材料でもあるのです。今回は、子どもおやつの強力な助っ人、ゼラチン殿の取り扱い説明についてご紹介したいと思います。
まずはゼラチンと寒天の違いから。ゼラチンは、動物の骨や皮からとったコラーゲンでできています。だからプルンプルンとした食感です。寒天は天草などの海藻からできています。食感はホロホロっと弾力があるのが特徴です。
間違いやすのが、作る時の温度。ゼラチンは熱々厳禁です。沸々とさせると、固まらなくなってしまいます。あと、動物由来なので、温めすぎると独特な匂いが気になることも。一方寒天はというと、ちょっとやそっとでは溶けません。なんせ海藻由来のものを溶かす作業なので、沸騰したお湯でグラグラ温めて、はじめて溶けてくれます。完全に溶ける前に使うと食感が悪くなるので注意が必要です。
どちらでもゼリーは作れますが、子どもと一緒に扱うには、沸騰して溶ける寒天は危険が伴います。なので、ゼラチンを使用することをお勧めしています。
さて、お次はゼラチンの取扱説明書。ゼラチンを使うとき、これさえ覚えていれば大丈夫!という虎の巻をお伝えします。
ゼラチンに水を含ませる際、一粒一粒に給水させたいのですが、ゼラチンに水をかけてしまうと下に埋もれた粒が水を吸収できません。それでは上手に溶けずにダマになってしまいます。なので、あらかじめ張った水にゼラチンをふりかけてあげてください。これで全てのゼラチンが水を吸水できるようになります。
給水させたら、すぐに温めて…ってちょっと待って! それでは綺麗に溶けてくれません。少しの間、冷蔵庫で冷やすことで、しっかりとゼラチンが水を含みます。
ゼラチンはレンジでほんの10秒や20秒の加熱で溶けてくれます。まだ塊があるなという時は、それ以上加熱するのではなく、そっとかき混ぜて溶かしましょう。
この3ステップを覚えてしまえば、ゼラチンの扱い方はもう大丈夫。あとはお好みのジュースなどに混ぜ、器に入れて冷やすだけ。
ジュースとゼラチンを混ぜる時もちょっとしたコツがあります。冷えたジュースの1/3ほどを別の容器に入れて、60度程度になるまで温めてください。冷たいジュースに溶かしたゼラチンを入れてしまうと冷えたジュースの温度で固まってしまうので、まずは温めたジュースでゼラチンを攪拌してから全体に混ぜると上手くいきます。
「じゃあ何で、ジュース全部を温めないの?」そんな疑問もありますよね。もちろん、全ての分量を温めてもいいのですが、いかんせん、レンジ加熱するとジュースの風味が飛んでしまうのです。なので、1/3量だけを温めて使うことで、犠牲は最小限に済ます、という作戦がお勧めです。
ゼラチンをマスターして、手作りおやつで子どもたちを迎えて「おいしい!」の笑顔をたくさんゲットして頂けたら嬉しい限りです。
今回は入梅時ということもあり、紫陽花ゼリーを作ってみました。
市販品でパパッと作れるのでぜひお試ししていただけると幸いです。
クックパッドニュースの人気連載「子どもの心を育てるレシピ」「料理で子どもの好きを見つける」「今日から始める親子クッキング」に書き下ろしを加えて電子書籍化。
子ども料理教室を運営し、3000人以上の子どもたちを見てきた著者の経験を元に、「食」を起点にこれからの時代を生き抜く力を身に付ける方法を伝授。
著者自身の子どもとの日々や教室での印象的なエピソードも交え、親子で楽しめる四季折々の「子ども料理」レシピを紹介しています。
どこで子どもがつまずきやすいのか、小さな手での作業に適した方法は何なのか等、子どもが安全に料理するためノウハウを各所に散りばめた、子育て中のママパパ必携の一冊。
リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、食育インストラクター、子供心理カウンセラー、フードコーディネーター。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。著書は、『失敗したって大丈夫!と言える子になる「子ども料理」のススメ』(クックパッド株式会社)。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
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【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
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