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コラム

食欲のない時に◎スペインの夏の定番作りおき、野菜が摂れる冷製トマトスープ「サルモレホ」

【おいしい! スペイン田舎暮らしvol.4】自然豊かなスペイン北部の村で暮らし始めて10年になる、クックパッドアンバサダーのmalcoco07さん。地元の食材を使った昔ながらの手作りの食を伝えてもらいます。

夏の厳しい暑さに!スペインの冷製スープ「サルモレホ」

スペイン北部のナヴァラ州にある、人口100人ほどの小さな村で暮らすクックパッドアンバサダーのmalcoco07さん。持ち前の食への愛と好奇心で、現地の方から地元の郷土料理を教わり、伝える活動をしています。今回は、スペインの夏の定番冷製スープ「サルモレホ」についてお話を聞きました!

malcoco07さん:「初めてのサルモレホとの出会いは、義母が作ってくれたものを食べた時でした。南スペインのコルドバが発祥と言われているサルモレホですが、義理の両親が住んでいるアンダルシアのアンテキエラ周辺ではポッラと呼ばれているようです。

サルモレホとポッラの違いは、作る材料にピーマンが入るか入らないの違いがあるとの事ですが、未だに解決に至らず。義母の住むアンダルシアでは、夏の暑さがとても厳しく毎回の食事の準備も大変。ましてや大人数の家族の食事を用意する義母のサルモレホの仕込みは毎回大量です。でもサルモレホを準備しておけば、みんなそれぞれ勝手に冷蔵庫を開けて自分でトッピングをして食べていました

食欲のない時でも、ピューレ状なので食べやすく、野菜が摂れるのでガスパッチョと共にスペインの夏の作りおき料理です。

うちも娘が産まれ、おばあちゃんである義母のサルモレホが大好きになったので、いつでも作れるようにレシピを教えてもらいました。私たち家族が義理の両親のアンダルシアから離れて10年。今住んでいる北スペインではあまりポピュラーではなかったサルモレホですが、ここ数年スーパーでもパック詰めされて販売しているので、スペイン全土でかなり広まっているなと実感します。今年12歳になった娘は、今でも義母のサルモレホが大好きで、夏は必ず作って自宅の冷蔵庫にストックしています」

パックで市販されているサルモレホのスープ。スーパーで手軽に購入することができる

こちらはペットボトル入り。メーカーによって味の違いを感じるのも楽しい!

切った食材をミキサーで混ぜるだけ!サルモレホの作り方

サルモレホの作り方や、作る上で欠かせない食材があれば教えてください!

malcoco07さん:「義母から教えてもらった材料はシンプルに、トマト、ピーマン、ニンニク、パン、オリーブオイル、お酢、塩です。調理法は材料を切ってミキサーにかけます。

サルモレホとガスパッチョとの違いは水分を加えない、パンを加える点にあり、サルモレホはかなりドロッとした食べ応えのあるピューレに仕上がります。

義母は、リンゴや桃、スイカなど家にある果物を加えてオリジナルのサルモレホを作っています。最近街中では色々な食材をトッピングして販売されているサルモレホを見かけます。合わせる食材はさまざまで、リンゴとブルーチーズ、アンチョビとモッツァレラチーズとアボカド、マンゴー、エビなど。グルテンフリーの人に配慮して、パンを入れずに人参やリンゴを使ってピューレ状になるように作ったりするレシピもあります。

サルモレホはトッピングで色んなバリエーションが楽しめるので、是非自分好みの味を見つけてこの夏に楽しんでいただけたら!」

malcoco07さんが義母から教わったサルモレホのレシピはこちら!

malcoco07さん:「スペインでは1皿目、2皿目と順番に食事を出されることが通常で、サルモレホは1皿目の料理として出されることが多いです。その後、2皿目に肉料理や魚料理が続きます。

軽いランチ、または夕食として食べる時は、サルモレホに生ハム、ツナ、ゆで卵、キュウリなどを刻んで乗せて食べるだけで済ます時も。暑い夏ならではの1品ですね

以前ご紹介したトルティージャとサルモレホの組み合わせでも立派な食事になります。その他にナスのフリットや、ズッキーニのフリット、イワシのフリット、ポテトフライなどの揚げ物との相性もばっちりで、フリットにサルモレホをソースとして付けて一緒に食べたりもしますよ!」

こちらはサルモレホとフリットを合わせたある日の軽い食事

四季の食材を堪能できるスペインのスープ文化

サルモレホは夏の定番スープとのことですが、スペインでは季節ごとにどのようなスープがありますか?

malcoco07さん:「サルモレホの他に夏に作るスープなら、豆のスープ、ズッキーニやジャガイモのスープ。秋には、カボチャやキノコを使ったスープ。冬の定番はソパデアホと言われる、ニンニクスープ、ガリシア地方のスープであるカルドガジェーゴ、クリスマス時期にはソパデマリスコと呼ばれるシーフードスープ。春はそら豆や新玉ねぎを使ったスープがあります。

具沢山の豆のスープも定番です

数あるスープの中で、ひよこ豆と数種類の肉を煮込んでスープに細いパスタを加えて作るコシードは、どこか豚骨ラーメンに似ていて個人的に好みのスープです」

スペインの夏は自然の中でアクティブに過ごす楽しい季節

スープを通じて四季を楽しめる食文化が素敵ですね!そんな四季を楽しむスペインの方々はどのように夏を過ごしているのでしょうか?

malcoco07さん:「子どもたちの夏休みが始まる6月下旬になると、いよいよ夏が来たなという感じです。普段は街に住んでいる人達も、日本の避暑地へ行くような感覚で、夏の間は村の実家に戻って来て過ごします。そのため、夏は私達の住む小さな村も人口が増加する時期なんです。

両親が働いてる子ども達はおじいちゃん、おばあちゃんの家に預けられ、午前中は子ども達が家に集まって一緒になって遊び、14時頃お昼ご飯を食べた後、夕方は隣村のプールへ。20時頃また村に戻って来て22時頃まで外で遊んでいます。

自然の中で過ごすスペインの夏

週末はプールにお昼を持ち寄って食べたり、近くの川や露天温泉に行ってピクニックしたり。食糧にもなるザニガニやカタツムリを捕りに行ったり、山方面に流れ星を見に行ったり。自然の中で遊び尽くします

ザリガニは立派な食材になります

7月の終わりには、大きなパエリアを囲んでの食事会、8月になるといよいよ親世代のバカンスも始まり、バルで飲みながら喋ったり、バーベキューやお祭りなどで賑わいます。

食事やお酒を味わうなど、大人のバカンスも盛り上がる!

住んでいる村で過ごすだけでもバカンス気分が味わえますが、私たちの村には海がないので海を求めて北や南に夏は移動することもあります。

畑で色んな野菜が収穫出来るようになると、それを持ち寄って品評会やつまみにしたり。とにかく、スペインの村の夏は外で色んな人達と過ごすのが楽しい時期です。

日本と違って、湿気が少なく日中でも日陰にいれば涼しく過ごせるし、21時過ぎ位まで明るいので、夜遅くまで外での時間を楽しめます

小さな村だけに、みんなが家族の様に過ごしているので、家族と遠く離れて暮らす私達は、ここで村の人と一緒に子育てが出来ることに感謝しています。あとどれくらいここに住むかは分からなですが、子ども達がここで過ごしたことを誇りに思ってくれる時が来ると良いなと願っています」

malcoco07さんのキッチンにはサルモレホをはじめとした、おいしそうなスープレシピがたくさん投稿されています。どれも野菜がたっぷり入っていて、おいしそう!ぜひmalcoco07さんのキッチンをチェックして、お気に入りのレシピを見つけてみてくださいね。

malcoco07さん

スペイン在住のクックパッドアンバサダー。
日本で調理師免許を取得し、日本、オーストラリア、スペインでの飲食店勤務後、現在はスペイン北部のナヴァラ州の小さな村で、地元の豊かな自然、食材、人々と触れ合いながら食文化を探求中。地元の人やスペイン在住の日本人向けに料理教室を主宰するなど、日本の食文化普及の活動もしています。
現地で手に入る食材を駆使して、お味噌や梅干しも仕込んでいるそうですよ。お住まいのアパートの窓から、毎日絵画のような絶景が見られるそう。

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