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コラム

"日本の桃"が旨すぎて全米も驚いた!?アメリカで10年前から人気の「魔法のピーチアイス」とは

【アメリカの最新ごはん事情vol.12】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第12回目のテーマは「桃」。日本の夏のフルーツとして大人気の桃は、アメリカ人もトリコになるほど。では、アメリカの桃はどんな味なのでしょうか?桃を使った定番レシピと一緒に教えてもらいました。

アメリカでは、7〜8月はピーチの最盛期。今年は猛暑のため、甘みもジューシーさも増しているようです。と言っても、日本のあの甘〜いジューシーな桃の味を知っている私には物足りないのですが…。

アメリカで桃といえば「ジョージアピーチ」

アメリカで桃の生産量1位はカリフォルニア州ですが、アメリカでピーチと言えば、ジョージア州の「ジョージアピーチ」 の方が有名です。もちろん、西海岸で聞くのと東海岸で聞くのとでは答えが変わってくるのかもしれませんが、歴史を聞くと頷けるかもしれません。

ヨーロッパ経由でアメリカにやってきた桃は、1571年にジョージア州の海岸沿いで栽培が始まりました。そして、南北戦争時に他州から来た軍人たちがジョージア州の桃を食べて、あまりの深い味わいに感動して、「ジョージアピーチ」と太鼓判が押されたようです。

アメリカの桃っておいしいの?

さて、アメリカの桃の味についてお話しします。私はジョージア州に行って桃を食べたことはないので、ニューヨークの桃との比較になりますが、やはり日本の桃と比べると風味に欠けると思います。グリーンマーケットなど市場で購入しても、2日ほど家で追熟させてからでないとおいしくいただけません。そのため、アメリカ人は桃を生でそのまま食する人はあまりいないかもしれません。

アメリカ人で日本の桃を食べたことのある人は、帰国してからも、いかにその桃がジューシーでおいしかったかを語り続けています。桃の扱い方1つを取っても、日本では個包装で容器に入っていて、アメリカのようにゴロゴロと山積みにして売っていませんから、それにも驚いています。

アメリカで最近定番になった桃スイーツ

日本の夏は蒸し暑さの極みなので、今回は簡単にできる「ピーチアイスクリーム」をご紹介します。アイスクリームは普通、アイスクリームマシーンがないと滑らかなものができないため、ない場合は途中で何度かかき混ぜます。でもこのレシピは、一度冷凍庫に入れたら、出来上がるまでかき混ぜなくても滑らかに仕上がる魔法のようなレシピです。

ピーチアイスクリーム

材料 (出来上がり約750ml)

・生クリーム (動物性脂肪40%以上)……250g
・コンデンスミルク……200g
・桃 (できれば黄桃、細かく切っておく)……中1個ぐらい
・レモン汁 ……大さじ1・1/2 
・バニラペースト(もしくはエッセンス)……小さじ1

※生クリーム泡立てに使うボール・泡立て器を、冷蔵庫や冷凍庫であらかじめ冷やしておくことをおすすめします

1.細かく切った桃とレモン汁を合わせておく
     

2.別のボールで、生クリームをしっかりと泡立てる
     

3.(2)とは別のボールにコンデンスミルク、バニラペーストを合わせておき、そこに(2)を3回ぐらいに分けてふんわり混ぜ合わせる。3回目、残りの生クリームを混ぜ合わせる時に、(1)も入れて混ぜ合わせる
     

4.蓋がしっかり閉じる容器に入れて、一晩冷凍する。柔らか食感で食べたい場合は4〜5時間経ったら様子を見てみること
     

5.冷凍庫から取り出して固い場合は、5〜10分ほど置く。柔らかくなってからスプーンやアイスクリームスクープで取り出す

アイスバー容器に入れて固めると、ちょうど良いかたさに固まるのでおすすめ

このレシピは、10年近く前からアメリカでは「No churn ice cream (攪拌なしのアイスクリーム)」として定番になっていて、ほかのフルーツやチョコレートなどを入れてもおいしくできます。ぜひ、色々なフレーバーを楽しんでください。また、甘さを減らそうとして、コンデンスミルクの量を減らすと食感が変わってしまいますので注意してください。

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
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