cookpad news
コラム

たこ焼き器って江戸時代からあったの!?粋でおもしろい「しめじ卵」

【ほっこり江戸ごはんvol.17】江戸好きが高じて、地毛で「ちょんまげ」まで結ってしまった江戸マニアの伊尾木将之さんに、江戸時代のレシピとともにほっこりエピソードを教えてもらいます。

おはようございます、こんにちは、こんばんは。 江戸時代が大好きで江戸の食文化を研究している伊尾木と言います。

今度友人の結婚式に参列するのですが、両家に確認して裃(かみしも)という、あの時代劇で出てくるお侍さんがきている肩がピンと張った服を来て参列しようと思っています。 なかなか裃を着る機会もありませんし、両家の皆様のご厚意で着させてもらえるので、大変感謝です。 今から式が楽しみです。

さて、そんな個人的な話はおいておいて、今回紹介するのはしめじ卵という卵とかまぼこでしめじっぽく見せる変わった料理です。外出時のお弁当にいれると皆から面白がってもらえそうな一品です。

作り方

作り方は簡単で、たこ焼き器を使ってしめじのカサの部分をつくって、そこにかまぼこを刺して、しめじにします。

まず、かまぼこを5mm角にきって、しめじの軸にします。

次に卵を卵白と卵黄に分けて、卵白をかきまぜてコシを切ります。卵黄も溶いておきます。 卵白と卵黄にわけることで出来上がりのときに、しめじのかさの部分がちょうど本当のしめじのかさのように白い部分と色がついた部分ができます。

たこ焼き器に卵白を半分の高さまでいれて、かまぼこを立てて指で抑えます。

卵白が固まったら、溶いた卵黄をいれて、弱火で火を通します。

かまぼこが倒れないくらいになったら、蓋をして、表面にも火を通します。

火が通ったら完成です!

江戸のほっこり話

江戸時代の遊び心あふれる一品なのですが、上のレシピではたこ焼き器を使っています。 ですが、江戸時代にたこ焼きはありません。 じゃぁ、当時はどうしていたのかというと「靨鍋(えくぼなべ)」という調理器具を使っていました。 この「えくぼ鍋」、当時のレシピに挿絵が乗っているのですが、これがまた完全にたこ焼き器にそっくりなんです。

ただ、当時このえくぼ鍋をしめじ卵以外にどのように使っていたのかは、よく分かっていません。 ちなみに今話題のChatGPTさんにも聞いてみましたが、知らないようで、とても適当な返事をされてしまいました...。

たこ焼きのルーツでもある明石焼きは江戸時代末期に登場したと言われるのですが、このえくぼ鍋はそれよりずっと前から存在しているので、明石焼きのためというわけでもなく...なんの料理のために存在した器具なのか分かっていません。

江戸時代にもたこ焼き器とそっくりな調理器具があったというのは、とても面白いですね。人形焼とかベビーカステラのようなお菓子を作っていたのかもしれないなと思うと、なんだかすこしほっこりしてきます。

伊尾木将之

大阪出身のうさぎ好き。修士までは物理を学び、博士課程で情報系に進むも撃沈。現在はクックパッドでエンジニアをしながら、食文化を研究している。
日本家政学会 食文化研究部会の役員を務める。
2020年秋から社会人大学生(文学部)に。
本業は川崎フロンターレのサポーター。

編集部おすすめ
クックパッドの本