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コラム

なんだか憂鬱?“5月病”にも腸が関係?

食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。

日に日に暖かくなり、気温の高い日が増えてきましたね。夏のような猛暑日がきたと思いきや、その翌日には気温がグッと下がることもあり、体調を崩しやすく注意が必要なシーズンです。心身ともに負荷がかかる日々の中で、気づけば不調に悩まされている方もいらっしゃるかもしれません。「もしかしたら“5月病”かも?」なんて思うことはありませんか?

そもそも“5月病”って?

新生活は、慣れないことも多く知らず知らずのうちにストレスがたまるもの。4月の新年度の始まりに、入学や就職、転職、人事異動など環境変化のあると、新しい環境への適応がうまくいかず、気づかないうちに無理をしてしまうことも少なくありません。

1カ月が過ぎ、ゴールデンウィークを過ぎた5月中旬頃からになる頃に、なんとなく体調が悪い、やる気が出ない、よく眠れないなど、心身の疲れが出て不調があらわれることがあります。このような症状が出る状況を 一般的に“5月病”と言います。

“5月病”は正式な病名ではなく、医学的には“適応障害”や“抑うつ状態”などの病気と関係があるとされています[1,2]。

なぜ“5月病”は起こるの?

新しい環境に適応するためにはたくさんのエネルギーを必要とします。精神的または身体的なストレスや疲れによって、心身に大きな負荷がかかり、自律神経の乱れが生じることが不調を招く原因になっていることも。新たな仕事の内容や環境が自分に合っていないために、“適応障害”を起こしていることもあります[1]。

“5月病”への対処策は?

十分な睡眠、休息を取るように心がけ、自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。上手に気分転換できるように、日頃からご自分に合ったストレス対処法を多く身につけておきましょう。 ひとりで悩みを抱え込まずに、日頃から上司、同僚、家族などの身近な人に相談するようにしましょう。悪化させてしまうと、うつ病へ進行してしまうことも…。放っておかず、早めに心療内科や精神科に相談するようにしましょう。周りが早めに気づくことも大切です[1,2]。

腸はメンタルにも影響するって本当?

さて、この連載のメインテーマは“腸”ですが、以前の記事でもご紹介した通り、腸はメンタルヘルスとも関係があることが明らかにされています。よって、うつ病の一歩手前の状態とも言える“5月病”にも腸が関わっている可能性は否めません。

腸内細菌叢(腸内フローラ)は神経系、内分泌系、免疫系を通じて、脳機能(脳の発達や生理、心理、行動)に影響を与えている可能性があると考えられています。腸内環境が悪い状態では、メンタルヘルスに関わる物質が体内でうまく産生・代謝されないため、悪影響が起こる可能性が示唆されているのです[3]。

不調を感じたときこそ、腸に意識を向けて

精神疾患に腸内環境が影響を与えている可能性が明らかになっていることから、日頃から美腸を意識した生活習慣を送ることが“5月病”対策にもつながるかもしれません。また、不調を感じた時こそ、早めに腸を労るのも大切です。日々の生活の中で美腸ライフを心がけ、不安定になりやすい時期も元気に乗り越えましょう。

 管理栄養士、医学博士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役。重度のアトピーを食事で体の内側から改善した経験をきっかけに「すべての人が毎日の食事でセルフメディケーションをし、心身のトラブルを予防・改善できる社会の実現」を目指して活動をしている。レシピ開発、商品開発コンサルティング、メディア出演、コラム執筆、セミナー講師など実績多数。東京大学大学院にて栄養疫学研究に携わり、博士号(医学)を取得。 豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスタープロ、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、発酵食品ソムリエほか

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