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食の知恵

こんな「火おこし」絶対やめて!危険すぎるアウトドア調理器具のNG使用法

夏休みやお盆にキャンプやバーベキューなどを計画されている方も多いのではないでしょうか。そんなアウトドアレジャーでの楽しみのひとつが、自然の中で行うアウトドア調理ですよね。でも調理時に普段使い慣れていないガス製品や炭、着火剤などの使い方を誤ると一瞬の内に大きな事故を招くこともあるので注意が必要です。

そこで今回はアウトドア調理時の注意点を、製品事故の調査を行っている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査・実験をもとに紹介します。

ガス製品の事故事象は大きく分けて2つ!

「ガストーチ」や「カートリッジガスこんろ」などのガスを燃料とする製品(図1)では、毎年多くの事故が発生しています。NITEに通知された製品事故情報では、2017年度から2022年度の間に合計154件の事故がありました(図2)。

それらの事故事象の多くは下記2つのケースで、やけど等の被害が発生しています。 ・『漏れたガスに引火した』ケース ・『過熱されたガスカートリッジが破裂した』ケース

また、『漏れたガスに引火』した事象は「ガストーチ」で多く発生しており、原因は製品の不具合によるもので「ガス製品の使用前の問題」が占めています。 一方『過熱されたガスカートリッジが破裂』した事象は、「カートリッジガスこんろ」で多く発生しています。その原因は、誤使用・不注意といった「ガス製品の使用中の問題」となっています。

ガス製品の使用時に気をつけることは?

ガス製品の事故原因や傾向は分かりましたが、安全に使うためにはどんな点に注意すればよいのでしょうか。ここからは、ガス製品の使用時の注意点を紹介します。

使用前に気をつけること

1.購入時は、各事業者(製造・輸入・販売)の連絡先を確認する
製品を選ぶ際、事業者の連絡先が確かなことを一つの基準としてください。 製品不具合によりガス漏れを引き起こした事故の中には、事業者が不明なものもありました。特にインターネットでの購入時は要注意で、問い合わせようとしても事業者の連絡先が不明な場合があります。

2.接続部の劣化や汚れがないか確認する
接続部の気密性を保つためにO(オー)リングという部品がついています。このOリングが劣化すると気密性を保てずガスが漏れ出るおそれがあるので、使用前にしっかりと目で見て、変形や傷がないかを確認しましょう。 また、接続部周辺に小さな砂利やごみが付着していることでも、接続部を傷つけたり隙間ができたりする原因になるので、合わせて確認してください。

3.機器にガスカートリッジが正しく接続できることを確認する
ガスカートリッジを接続する際は、取扱説明書の指示に従って正しく接続してください。誤って接続された状態で使用すると、ガスが漏れ、火災に至るおそれがあります。 また、接続後に異音・異臭などがある場合、ガスが漏れているおそれがあるので直ちに使用を中止してください。機器の破損が考えられる場合、購入店や製造事業者に問い合わせてください。

4.点火の前に、異音や異臭がしないかを確認する
Oリングや接続部の異常は目視では確認し難いこともあります。そのため、接続時にガスの漏れる音(シューという異音)や臭いがしないかを確認してください。

使用中に気をつけること

1.放射熱の大きな調理器具(図3)は使用しない
カートリッジガスこんろに対して、こんろ全体を覆うような大きな鍋や鉄板などの放射熱の大きな調理器具は使用しないでください。鉄部からの放射熱(鉄部から発生した熱)によってガスカートリッジが過熱され、内圧上昇によりガスカートリッジが破裂するおそれがあります。また、プラスチック製バルブが溶けると、ガス漏れが発生して引火につながったり、引火した炎がガスカートリッジをさらに過熱して破裂につながったりするおそれもあります。

2.ガスカートリッジが過熱されるような誤った使い方をしない
ガス製品を使う際にボンベの周囲をレンガやコンクリートブロックなどの風防で囲ってしまうと熱がこもり、ガスカートリッジが過熱されて破裂するおそれがあります。調理器具の大きさや種類だけでなく、取扱説明書で禁止されている使い方をしないように気をつけてください。また、カセットコンロを使う場合には、ごとくが正しい位置にセットされているか確認しましょう。ごとくを裏返して保管していたなどで、ごとくの位置が上下逆さ状態のまま点火すると、火が内側に回り込んでガスカートリッジを過熱する原因になり大変危険です。

3.ガスカートリッジは熱源のそばに置かない
ガスカートリッジには燃料として可燃性ガスが使用されています。ガストーチやガスカートリッジ単体をこんろや焚き火などの熱源のそばに放置すると、破裂のおそれがあり大変危険です。自動車内や砂浜、アスファルトの上など直射日光の当たる場所にも注意しましょう。

炭を使用したバーベキューも注意しないと大きな事故に!

アウトドア調理の中でも、炭を使用したバーベキューをしたことがある人は多いはず。ガス製品を使用していない場合でも、火を扱うので誤った使い方をすると大きな事故につながるおそれもあります。バーベキューをしたことがある方も、あらためて炭や着火剤などを扱う際の注意点を確認してみましょう。

炭の使用時に気をつけることは?

1.炭の火おこしをする際はカートリッジガスこんろを使用しない
カートリッジガスこんろを用いて炭の火おこしをすると、炭の熱によってガスカートリッジが過熱され、内圧上昇によりガスカートリッジが破裂するおそれがあります。 火おこしは、着火剤や火おこし器、ガストーチなどを用いてそれぞれの取扱説明書に従って正しく行ってください。

2.ガストーチで炭の火おこしをする際は大きく傾けない
ガストーチには2つのタイプの製品があります。
A.カセットボンベを大きく傾けたり、逆さにしたりしても使用できるタイプの製品
B.カセットボンベを大きく傾けたり、逆さにしたりすると使用できないタイプの製品

A、Bどちらも、点火時に傾けると異常燃焼のおそれがあるため、点火はカセットボンベを立てた状態で行なってください。
また、点火後に異常燃焼が生じた場合はすぐにカセットボンベを立てた状態に戻してください。Aを傾けすぎると異常燃焼が生じて大きく燃え上がり、やけどを負うおそれがあります。使用中の傾ける角度は、取扱説明書に指示がある場合を除き、45度以内を目安としてください。

3.一度火を点けたら、着火剤の継ぎ足しをしない
すでに火が点いている炭に着火剤を継ぎ足した場合、大きな炎が上がり、やけどや火災に至るおそれがあります。絶対に着火剤の継ぎ足しはしないでください。特に、ゼリー状の着火剤の主原料は揮発性が高く、青白い炎で見えにくいため注意が必要です。
また、消毒用のアルコール除菌スプレー等も揮発性が高く引火しやすいため、バーベキューこんろや焚き火などの熱源の近くでは使用しないでください。

夏はもちろん、年中通して楽しめるアウトドアレジャーでの調理。調理中に事故や怪我が起きると、せっかくの楽しい時間が台無しになるだけでなく、時には命に関わることもあります。これを機に、あらためてガス製品や炭の使い方を確認して安心・安全に楽しみましょう!

TOP画像提供:Adobe Stock

取材協力:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、経済産業省所管の法令執行や政策を技術的な面から支援している公的機関です。製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然防止に貢献しています。

>>NITE公式X(旧Twitter): @NITE_JP
#料理の安心 #キケンを知らせナイト 等のタグで発信します
>>YouTube NITE official

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