「納豆は何回混ぜるのがベスト?味覚センサーが出した正解は……」の記事にて、納豆を混ぜる回数は400回が良い、ということをお伝えしました。
しかしいざ納豆を食べるとなると、もう一つ気になるポイントがありませんか?そう、「一体いつタレを入るのがベストなのか」ということです。
今回は納豆にタレを入れる美味しいタイミングを味覚センサーで検証しました。
混ぜる回数のベストは400回。
タレを入れるタイミングとしては、「混ぜる前」と「混ぜた後」に絞って分析しました。万が一「200回混ぜた後にタレの1/3を入れ、300回混ぜた後にさらに1/3……」のような結果が出たとしても、実際に納豆を食べる時にそんなことはしていられないからです。筆者が。
「混ぜる前にタレを入れる」「混ぜた後にタレを入れる」、どちらのタイミングが美味しいのでしょうか。味覚センサーレオで早速分析!
基本5味(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)とコクを分析した結果、有意差があったのは「コク」「旨味」「塩味」の3つでした。
まずはコクから見ていきましょう。コクとは「味の総和」のこと。基本5味(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)がバランスよく含まれているほど、コクがあり深い味わいになります。
ちなみに、「コクが高いからといって必ずしも美味しいわけではない」というのがミソです。
美味しい味というのは基本5味のうち2〜3つの味が強く出ているもの。基本5味全ての数値が高くても美味しくはなりません。すでに美味しい味があって、なおかつ味の総和が優れているのが「コクがあって美味しいもの」なんです。
納豆に話を戻しましょう。混ぜる前よりも混ぜた後のほうがコクの数値が高くなっています。納豆は(好きな人にとっては)すでに美味しいので、混ぜた後にタレを入れた方がコクがあり、深い味わいになっているということになります。
納豆を混ぜる回数のベスト「400回」を示すにあたって、もっとも有力な要素であったのが「旨味」ですが、混ぜた後にタレを入れたほうが高くなっています。
塩味も見てみましょう。
混ぜた後にタレを入れると、塩味も強くなります。調理中に塩味を加えるより、調理した後に塩を付けた方が少ない量でも塩味を感じやすいのですが、なぜこれが良いのかというと“タレの量を減らせるから”です。
タレの量を減らすことができると、塩分の摂取量が少なくなります。日本人は塩分を多く摂りがちで、摂り過ぎることもしばしば。旨味・塩味を強く感じることで、少ないタレの量でも「味が薄い」と感じずに満足できるかもしれません。
以上の結果から、納豆のタレは「混ぜた後」に入れるのが良いでしょう。早く食べたいからといって先走ってタレを入れないようにご注意くださいね!
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。