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絶対ハズレなしのゴールデンコンビ!「豆腐×卵」のアイデアレシピ5選【工藤詩織の「お豆腐」進化論 Vol.5】

ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず♪ あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!

江戸時代のレシピ本ブームの火付け役は「お豆腐」?

グルメ文化が発達した江戸時代、1つの食材から100通り以上のレシピを集めた、いわゆる「百珍物(ひゃくちんもの)」という形式の料理本が発行されていたのはご存知でしょうか?

「珍」という字は、「美味」を意味するそうです。その「百珍ブーム」の火付け役となったのが、なんと「お豆腐」を主役にした『豆腐百珍』。1782(天明2)年に出版されました。「炒り豆腐」や「がんもどき(ひりょうず)」など、私たちにとっても馴染み深い豆腐料理から、“お豆腐をうどん状に切る”、“お豆腐をお湯の中で結ぶ”というように、かなり斬新なレシピもありますよ。当時のお豆腐は今よりも固かったので、こうした調理法も編み出されたのでしょうね。

また、料理を「尋常品(どの家庭でも料理される品)」から「絶品(豆腐の持ち味を活かした究極の品)までの6段階にランク分けしているのも面白いですよね。そんな遊び心あふれる料理本には、お豆腐の歴史やうんちくも載っていたので、「江戸土産の読み物」として全国に普及したそうです。

「お豆腐」と「卵」の共通点

「お豆腐」と時期を同じくして、江戸時代に広く食べられるようになったと言われるのが「卵」。実は、ベストセラー『豆腐百珍』に続いて、『卵百珍』も刊行されています。

調べてみると、『豆腐百珍』の中には「卵」を使ったレシピが、『卵百珍』には「お豆腐」を使ったレシピがあります。当時、「卵」はハレの日や滋養を得るために食べる高級食材だったため、「お豆腐」は貴重な卵を「カサ増し」する役割にもなっていたのだとか。

どちらを主役として扱うにせよ、2つの食材の相性の良さは当時から認められていたのですね。ということで、今回は歴史が証明するベストパートナーである、「お豆腐」と「卵」を使ったアイデアレシピをご紹介したいと思います。

いざ再現!「お豆腐」と「卵」の江戸レシピ

まずは『豆腐百珍』から、ぜひご紹介したいレシピを2つ。1つ目は「小竹葉(おざさ)とうふ」、いわゆる「お豆腐の卵とじ」です。

崩したお豆腐を、だし・しょうゆ・みりんの中で煮立て、仕上げに溶き卵を回し入れ、粉山椒を振りかけて完成! 半熟の卵をまとったマイルドなお豆腐に山椒のアクセントが効いています。本家は焼き豆腐を使っていますが、フライパンでしっかり目に焼いた木綿豆腐を代用しても良さそうですね。

続いては「ふわふわ豆腐」。ネーミングが可愛いですね。すり鉢で滑らかにしたお豆腐に卵を混ぜ合わせて、お鍋で煮立たせたすまし汁の中へ静かに流し込んで蓋をして待つだけ。スフレのようなふわふわ食感が楽しめます。こちらも、すり鉢の代わりに泡立て器を活用しても再現できそうです。

『卵百珍』からは、「卵豆腐」をピックアップ。市販で見かける黄色くて四角いお豆腐ではなく、お豆腐入りの茶碗蒸しのような料理です。滑らかになるまで撹拌したお豆腐と卵を器に入れて蒸すだけ。素朴な味わいが優しい一品です。こちらは、クックパッドにも似たレシピがありましたので、ご参考にどうぞ。

蒸し器を使うのはハードルが高いという方は、レンジを活用してみましょう。餡掛けで味付けをしたり、トッピングを工夫すればアレンジも広がりそうです♪ 時短なのに“日本の食文化を感じる一品”に仕上がりますよ。

現代の「お豆腐」&「卵」レシピ

最近では、卵焼きやオムレツにお豆腐を混ぜて、カサ増し&ふわふわ効果を得るレシピをよく見かけるようになりましたね。

江戸時代にはなかった、現代ならではのレシピもたくさんあります。例えばお豆腐のピカタ風。本来お肉を小麦粉と卵の衣で包んで焼いたイタリア料理ですが、お豆腐でより簡単に作れそうですね。お豆腐にハーブやスパイスで味付けしたり、トマトソースやカレーソースを絡めたり、粉チーズをたっぷりかけても美味しそうです。

お次は、見栄えも豪華なキッシュ風。お豆腐・卵・お好きな具材を混ぜて焼くだけの生地なしバージョンです。ひじきやきのこを入れて和風キッシュもオススメ。

最後はデザート。卵を使ったデザートの代表といったらプリンですよね。お豆腐を入れるとより優しい味わいになります。


いかがでしたか? これだけのアイデアがあれば、新たな『百珍』が作れそうですね。冷蔵庫の中に “出番待ち”の「お豆腐」と「卵」がある方は、ぜひチャレンジしてみてください♪

工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。
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