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コラム

クラシカルな固め食感がたまらない!絶品「カスタードプリン」の作り方【材料4つで本当においしいお菓子 Vol.4】

福田淳子

お菓子・料理研究家。シンプルなレシピが好評。

「お菓子はレシピ通り作れば、必ずおいしく作れます」と話すのは、お菓子研究家・福田淳子さん。丁寧なレシピとその再現性の高さで人気の福田さんに、この連載では材料4つで作れる“本当においしいお菓子”を紹介していただきます。第4回は「カスタードプリン」。今リバイバルブームになっている“固め食感”に仕上げたレシピは必見!

おうちにある材料で、みんな喜ぶデザートを作ろう

そろそろ冷たいデザートがおいしくなる季節。今日はひんやりデザートの定番「カスタードプリン」を紹介します。

プリンの材料のほとんどは、卵、牛乳、お砂糖とおうちにいつもあるものだから、思い立ったらすぐに作れるのが魅力です。
一口にカスタードプリン、と言っても今はいろんな種類のものがありますが、今回紹介するのは加熱して固めるクラシカルでスタンダードなタイプ。卵と牛乳の優しいこっくりとした味わいに、バニラの風味とほろ苦いカラメルソース。やわらかすぎず、ほどよい固さがあります。味も、形も強い主張はありませんが、おやつにも、食後のデザートにも、暑くても、寒くても、どの世代にも人気のデザート。「甘い物苦手なんだよね」という人でも「プリンは大丈夫」って人は意外といて、元気なときにはもちろん「ちょっと食欲ないな」ってときにも寄り添ってくれる強い味方。材料も作り方もシンプルですが、ポイントはいくつかあるので順にみていきましょう。

  卵2つと「卵黄1つ」が濃厚プリンを作るコツ

まずは、アパレイユですが卵黄を1個多く加えます。「卵白があまるの、いやなんですけど!」というお気持ちはよーくわかります。
でも、でも聞いてください。卵黄を1つ加えたプリンとそうじゃないプリンは、コクと奥行きがぜんぜん違うんです。グッと卵らしさが加わる。「濃いプリン」「ちょっと高級なプリン」のような要素が加わります。

「じゃあ、卵1個増やせばいんじゃない?」という意見も出てきそうですが、卵白は凝固作用が強いんです。ゆで卵思い出してください。黄身は「ほろほろ」していますが、白身は「ぷるん」って固まっていますよね?
卵を1個増やすとプリンそのものが固くなりすぎてしまうのです。なので、ここはぜひ、卵黄のみ1個分追加して作ってみてください。

残りの卵白はどうするか問題に関しては、我が家ではお味噌汁に投入するか、おかずの目玉焼き(卵焼きでも可)に卵白を追加投入、の2択です。あまり芸がないですが「これで何かを作らないと」と考えるとめんどうになっちゃうので速攻で消費する方が私には合っています。(でも、きっとクックパッドには卵白1個活用レシピもきっとたくさんあるはず!)

アパレイユには、バニラオイルもできたら入れてください。プリンにはバニラの香りがよく合うのです。ちょっと高価になりますが、バニラビーンズを使うとさらに香りに深みが出ます。その場合は1/4〜1/5本ほど中の種をしごいて加えてくださいね。

バニラエッセンスは加熱中に香りが飛んでしまうので、バニラオイルがおすすめです。そしてアパレイユは必ずこすこと。舌触りがなめらかになります。

カラメルソースはしっかりほろ苦く!

プリンの大事な要素は「カラメルソース」。しっかり焦がして、ほろ苦さを出すのがポイントです。アパレイユは甘く優しい味わいなのですが、カラメルのビターさが加わることで、より一層おいしくなります。

作り方のポイントは、前回のパンケーキのキャラメルソースと同様です。今回は最後に加えるのが生クリームではなくて湯になります。まず1つ目のポイントは、砂糖が溶けて色付きはじめるまではかき混ぜないこと。ここでかき混ぜると砂糖が再結晶化してジャリジャリと固まってしまうことがあります。2つ目はしっかりと焦がすこと

もちろん、やり過ぎは禁物なのですが、しっかり焦がさないと特有のほろ苦さが生まれません。目安は少し煙が上がるくらい。換気扇をしっかり回して作業してくださいね。そして湯を加えるときにはねるので、十分注意して行ってください。

今回は、フライパンを使って蒸します。間にふきんをはさんで水滴を防ぎましょう。火はごく弱火。余熱も含めて火を通します。火加減、型のサイズや材質によっても加熱時間は変わってくるので、作り方の時間を目安にしつつ、様子を見て加減して作ってください。温かいプリンは甘さが全面に出ますので、粗熱が取れたらしっかり冷やして、型から抜きましょう。

【基本のレシピ】

材料( 容量120mlのプリン型4個分)

<アパレイユ>
牛乳…300ml
グラニュー糖…55g
卵(M)…2個
卵黄…1個分
バニラオイル…少々

<カラメルソース>
グラニュー糖…50g
水…小さじ1
湯…大さじ1

下準備

型にバター(分量外)をしっかり塗っておく。

作り方

1.カラメルソースを作る。鍋にグラニュー糖と水を入れてゴムベラで混ぜて、中火にかける。ゆすりながら溶かし、煙が出て香ばしい香りがしてきたら火を止めて湯を加えて均等になるように混ぜて、それぞれの型に入れて冷蔵庫で冷やす。

2.アパレイユを作る。鍋に牛乳とグラニュー糖を入れて中火にかけ、混ぜながら沸騰直前まで温める。

3.ボウルに卵を割り入れて、卵黄を加えて混ぜ、を少しずつ混ぜ加える。バニラオイルを加え混ぜ、裏ごしする。
*一度に2を入れると卵が固まることがあるので、混ぜながら加えましょう。

4.を均等に注ぎ入れる。

5.大きめのフライパンに熱湯(分量外)を張り、のプリン型を並べる。熱湯の高さは型の高さの半分が目安。水滴が落ちるので、ふたには布巾を巻いておく。
*ふきんの裾はそのまま垂らしておくと、焦げたり、燃えたりする可能性があるので上で結ぶとよいです。

6.蓋をして火をつけて、ごく弱火にし10分加熱したら火を止める。余熱で10~15分ほど置く。プリンの表面に弾力が出れば出来上がり。心配ならば竹串をさして確かめる。
*加熱前のアパレイユの温度、使用するプリン型やフライパンの種類によって加熱時間は異なります。15分ほど置いても固まらないようならば弱火で再度加熱し、様子を見てください。
*火加減が強いと、「す」が入る原因になります。火加減に気をつけてごく弱火で加熱し、仕上げは余熱でゆっくり火を入れることが口当たりのよいプリンを作るコツです。

7.粗熱がとれたら、冷蔵庫で2~3時間しっかり冷やして型から抜く。ナイフでの先端でプリンと型の間に空気を入れて型の上に皿をかぶせてひっくり返し、型と皿をしっかり持って1度振り、型からプリンをはずす。

+αのアレンジレシピ

「抹茶プリン」(120mlのココット4個分)

基本のカスタードプリンをマスターしたら、抹茶のプリンに挑戦してみましょう。
ほろ苦い抹茶の香りはプリンともよく合います。プリン型ではなくココットを使い、カラメルソースを「あとがけ」すると、見た目もテイストもまったく別のプリンになりますよ。

作り方

プリン型ではなくココットを使います。型から抜かない分、気楽に作れます。ココットにバターは塗らなくても大丈夫。

・カラメルソースを作る時、工程で最後に加える湯を大さじ2に増やします。作り方は一緒ですが、ソースを仕上げにかけたいのでココットには流し入れずに容器に入れておきます。

・アパレイユを作る時に、工程でグラニュー糖を60gにし、牛乳には加えずに、ふるった抹茶大さじ1を加えてよく混ぜておきます。牛乳だけを温めたら、抹茶とグラニュー糖を合わせたものに少しずつ混ぜ加えましょう。少しずつがダマにならないコツです。

あとは基本の作り方同じように、卵と卵黄を混ぜたものとあわせたアパレイユをこして、ココットに注いで加熱します。粗熱が取れたらよく冷やし、できあがりにカラメルソースをかけていただきます。

これがあると便利!お役立ちグッズ

プリン型、ココット

どちらも100円ショップで入手。専門店で購入しても価格帯はあまりかわりませんが、どの100円ショップにいってもこの2つは大体あるので、入手しやすいです。いろんなサイズがあるので好みのものを。加熱時間は容量や直径によって変わります。

福田淳子(ふくだ・じゅんこ)

お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順で美味しく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本は30冊以上。
【Instagram】@junjunfukuda

執筆者情報

福田淳子

お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順でおいしく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本は40冊以上。

【Instagram】@junjunfukuda
【note】@sakuracoeur

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