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コラム

花粉症対策は早めが大事!防ぐポイントはマスクと◯◯【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.2】

食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。

各地で梅の花が咲き始め、少しずつ春の訪れを感じるようになった今日この頃。それと同時に、脳裏に浮かんでくるのが「花粉症」の3文字ではないでしょうか? ネットニュースやドラッグストア、テレビCMなどでも、徐々に目にする機会が増えてきました。

2〜4月がスギ花粉の飛散ピーク時期ですが、今年は暖冬ということもあり、例年よりもピークが早いと噂されています。クシャミに鼻水、目のかゆみなどツライ症状を想像するだけで、本来は心が弾むはずの春の訪れを憂鬱に感じている方も多いかもしれません。 そこで今回は、花粉症シーズンが本格化する前に始めておくべきカラダの内側からの花粉症対策をご紹介します。

花粉は、マスクと◯◯のダブルで防ぐべし!

そもそも花粉症とは、体の免疫反応が花粉に対して過剰に反応して起こるもの。体が花粉を外に出そうとするためにアレルギー症状が起こるため、マスクなどを使って体内に入る花粉の量をなるべく減らすことが大切です。

ご存知のように、人は花粉と接触する機会が多いほど、花粉症を発症しやすいことが分かっています。また、花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族が何らかのアレルギー疾患をもっている方は、そうでない人に比べて花粉症になりやすい傾向があるため注意が必要です。

花粉症は免疫システムの誤作動で引き起こされるため、免疫力を整えることも対策の1つとして考えられます。その免疫と深い関わりのある臓器として最近注目されているのが「腸」です。

私たちの腸に住む腸内細菌のうち、善玉菌は私たちの健康に多くの有用な作用をもたらすことが明らかになっており、免疫力を整える働きもあることが報告されています。腸内環境は、私たちの毎日の食生活次第で良くも悪くもなるため、善玉菌を味方につけるには、口にするものに意識を向ける必要があります。(出典1、2参照)

“プロバイオティクス”のパワーを取り入れよう!

腸内の善玉菌を増やす食事のポイントは、生きた善玉菌であるプロバイオティクスと、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のあるプレバイオティクスを摂取することです。今回は前者の「プロバイオティクス」にフォーカスしてお話します。

プロバイオティクスという言葉は、ヨーグルトや乳酸菌飲料のCMで広がりつつありますね。プロバイオティクスと一言で言っても様々な種類があり、それぞれ得意とする働きも異なります。全てのプロバイオティクスが花粉症に効く働きをするかどうかは、実はまだ科学的に明らかにはされていませんが、一部効果が検証されているものもあります。(出典3参照)

「花粉症に効く」可能性があるものは?

プロバイオティクスを代表する乳酸菌やビフィズス菌に関する研究が様々な企業で行われています。まだまだ研究の数が乏しく、そのエビデンスが確固たるものであるとは言えませんが、花粉症をはじめとしたアレルギー症状の緩和に効果がある可能性が見出された菌を3つご紹介します。

乳酸菌B240

タイ北部で伝統的に食されてきた発酵茶「ミヤン」から発見されたB240(Lactobacillus pentosus ONRICb0240)は、植物由来の乳酸菌の一種。粘膜の免疫力とバリア力をあげる効果が確認されているほか、スギ花粉によるアレルギー症状が軽減されたことが報告されています。乳酸菌B240は大塚製薬の「ボディメンテ」ブランドの飲料に入っています。(出典4、5参照)

LGG乳酸菌

乳酸菌の一種であるLGG乳酸菌(Lactobacillus rhamnosus GG)は、耐性がほかの乳酸菌と比較して高いことが特長で、胃酸や胆汁酸に負けずに生きたまま腸に届くと言われています。 LGG乳酸菌は「ピリ」と呼ばれる線毛があるため、個人差があるものの腸に比較的長くとどまるという結果が出ています。便秘やアトピー、インフルエンザ予防など、花粉症の症状緩和のほかにも様々な効果があると報告されており、タカナシ乳業の「おなかへGG!」ブランドのヨーグルトに入っています。(出典6〜8参照)

ビフィズス菌BB536

ビフィズス菌の一種であるBB536(Bifidobacterium longum BB536)は、健康な乳児の糞便から発見された、乳児から大人まで人の腸内に住んでいる菌です。

花粉症の症状緩和をはじめとする抗アレルギー作用のほか、整腸作用や大腸がん予防作用、コレステロール低下作用など数多くの生理機能が研究されています。ビフィズス菌BB536は、森永乳業の「ビヒダス」ブランドのヨーグルトやサプリメントに入っています。(出典9、10参照)

ちなみに、プロバイオティクスを配合する商品には「生きて大腸まで届く」というキャッチコピーが多くつくことが多いです。しかし、生きたまま腸に到達しなくても有効な生理機能を期待できるため、必ずしも生きていないと意味がないわけではありません。

腸へのアプローチで早めの対策を!

今回はプロバイオティクスにフォーカスしてお話をしましたが、良い腸内環境づくりの根底を支えているのは、バランスの良い食生活と規則正しい生活習慣です。腸内で善玉菌を増やすために”プレバイオティクス”である、食物繊維やオリゴ糖を含む食品(野菜・果物・豆・きのこ・海藻)も積極的に取り入れてみてくださいね。

まだ花粉症を発症していない方は今年も無事に乗り切るために、すでに発症している方は少しでも楽に過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてください。

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。大のお豆腐好きが高じて、豆腐マイスターの認定座学講師として、国内外で日本の豆腐の魅力を伝える活動をしているなかで、その原料である大豆自体への興味が深まり、大豆関連の資格の制覇を目指し、学びを深めている。
近年は特に、豆腐を作る際に同時にできる「おから」に注目し、日本人に必要な食物繊維の宝庫でもある「おから」を、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。「美腸」をテーマにしたレシピ本の出版を予定。

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか

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