【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.17】食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。
コロナ禍に伴う在宅時間の増加や健康への意識の高まりをきっかけに、いまブームを巻き起こしている大注目の食材「オートミール」。皆さんは、もう試してみましたか?
アスリートやボディビルダーなど、トレーニングをしている人や、女優・モデルなど美容に意識が高い人からの支持が厚く、最近はテレビなどのメディアでもよく取り上げられるほどの人気で、SNSでもさまざまな食べ方を紹介する人が増えてきました。
そんなオートミールが、実は腸活にも活用できる食材であることはご存知でしょうか? 今回は、オートミールを美腸ライフに取り入れる際のポイントをお伝えします!
オーツ麦を蒸す、挽き割る、ローラーで平たく伸ばすなどの加工を施し、食べやすくした食品のことで、グラノーラの材料としてもよく使われています。オーツ麦は、殻の形が燕(つばめ)の姿に似ていることから燕麦(えんばく)、地域によってはカラス麦などとも呼ばれています。日本人には、まだあまり馴染みがありませんが、海外ではよく朝食の定番として食されています。
オートミールにはさまざまな種類がありますが、特に人気が高いのは「インスタントオーツ」と呼ばれるもの。柔らかく食べやすいように加工されており、味つけされているものも多く、そのまま食べることができるため、気軽にオートミールを取り入れたい人にぴったりです。牛乳をかけてシリアルのように食べたり、ふやかしてお米代わりに調理にも使える食材で、常備しておくととても便利です。
オートミールが人気を集めているのは、手軽さや保存性の高さ、汎用性の高さだけではなく、その栄養価にも魅力があるからです。たんぱく質は精白米の約2倍、カルシウムや鉄分といった日本人に不足しがちなミネラルも多く含み、さらにビタミンB1やビタミンEなどのビタミンも豊富です。特に魅力的な特徴は、日本人が不足しがちな食物繊維を豊富に含むところで、精白米の約20倍、玄米の約3.5倍もの量が含まれています。
食物繊維は、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、私たちの健康にさまざまな嬉しい働きをすることがわかっています。さらに、便の量を増加させ、腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を正常に整える作用も知られていることから、食物繊維を効率的にとれるオートミールは腸活の強い味方と言えるでしょう。 [1-3]
そこで、オートミールを美腸ライフに取り入れる際のおすすめの食べ方をご紹介します。これまでの連載の中で何度かお伝えしてきましたが、美腸を叶える食事のポイントは、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌である「プロバイオティクス」と、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある、食物繊維やオリゴ糖といった「プレバイオティクス」がとれる食品を意識してとることです。前者は発酵食品、後者はオートミールのような穀物のほかに、野菜や果物、豆類、海藻類、種実類などに含まれています。私もよく実践している、簡単にできる組み合わせを2つご紹介したいと思います。
まず1つ目は、オートミール初心者の方におすすめのシンプル&定番の王道の組み合わせ。ヨーグルトは風味の面でも、含まれる成分の面でも、オートミールとの相性抜群!
オリゴ糖を含むバナナやはちみつをプラスするのも、おいしいだけでなく、美腸に良い「プレバイオティクス」をさらに追加でとることができるのでおすすめです。
夜寝る前に、容器にオートミールとヨーグルトを入れて冷蔵庫に一晩置いておく「オーバーナイトオーツ」という食べ方がダイエッターに人気で、オートミールにヨーグルトがしみ込み柔らかくなるため食べやすく、腹持ちが良いと言われています。
オートミールの定番の食べ方に、お米のようにお粥やリゾット状に調理をする方法があります。味噌と合わせるのは意外かもしれませんが、これが実は合うんです。大豆に含まれるオリゴ糖も美腸作りに役立つため、豆乳を加えるのもおすすめです。
鍋に味噌、だしの素、水または豆乳、お好みの具材、オートミールを入れて加熱するだけで簡単に朝ごはんやヘルシーな夜食にもなるお粥の完成です。火を使うのが面倒な時は、耐熱容器に材料を全て入れて電子レンジで加熱するだけで調理ができるのも嬉しいですね。
さまざまな魅力を併せ持つオートミール。米や小麦代わりの主食として、ハンバーグなどに加えておかずとして、スイーツの材料としてなど、今回だけではご紹介しきれないほど、さまざまな活用法があります。ブームがこの一時で終わらず、日本人の食卓に馴染んでいくのか、今後の動向に目が離せませんね。ぜひ皆さんも、普段の食生活にオートミールを取り入れて美腸ライフに活用してみてはいかがでしょう?
〈出典〉
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
[2] 厚生労働省「e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康」
[3] 厚生労働省「e-ヘルスネット|腸内細菌と健康」
(全て2021年6月10日 参照)
※ メイン写真は記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock
I’s Food & Health LABO.代表。フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」
●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか