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コラム

いろいろな豆乳で比較してみた!自由研究にもおすすめな「簡単お豆腐づくり」

【工藤詩織の「お豆腐」進化論 Vol.32】ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず。 あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!

豆乳からお豆腐を作ってみよう!

のど越しなめらかで水々しいお豆腐が美味しく感じる季節ですね。今回のテーマは「ご家庭で簡単お豆腐づくり」です。豆乳とにがりを用意すれば、電子レンジで温めて固めるだけで完成します。豆乳がにがりと反応しお豆腐へ変化する様子も学べるので、夏休みの自由研究にもおすすめです。

お豆腐づくりに必要な材料は豆乳とにがりだけ

まずは基本の作り方(2人分)です。ボウルに豆乳200mlとにがりをスプーンなどで泡立たないようによく混ぜます。にがりの量は豆乳に対して約1%(ここでは2g程度)です。ココットやマグカップなど電子レンジ対応の耐熱容器2つにそれぞれ100mlずつ注ぎ、ラップをふんわりとかけます。あとは500wの電子レンジで1分〜1分半ほど加熱し、粗熱が取れるまでラップをかけたまま待てば完成です。固まりが悪い場合は30秒ずつ追加で加熱します。700w以上での加熱は豆乳が沸騰して溢れる可能性が大きいので避けてくださいね。出来立てのお豆腐はどちらかと言えば半熟の状態で、冷蔵庫でしっかり冷やすことによってお豆腐がより固まります。ぜひ、食感の差を食べ比べてみてください。

さまざまな豆乳で比較実験

市販の豆乳は「無調整豆乳」「調整豆乳」「豆乳飲料」の3つのグループに分けることができます。「無調整豆乳」は大豆と水のみから作られたプレーンな豆乳です。砂糖や食塩、香料などが加えられているものが「調整豆乳」、フルーツ味やコーヒー味など様々なフレーバーに調味されているものが「豆乳飲料」です。また豆乳のパッケージには「大豆固形分」(豆乳に含まれている大豆成分)という濃度が表記されています。一般的なお豆腐づくりに適しているのは、大豆固形分が8%以上、理想を言えば、10%以上の「無調整豆乳」です。最近では「お豆腐が作れる」と明記されたものや、にがりが付属された豆乳もあります。

今回は、市販の「無調整豆乳(大豆固形分8%以上)」、豆腐店の「無調整豆乳(大豆固形分12%)」、「調整豆乳(大豆固形分7%)」「豆乳飲料(アーモンド味 /大豆固形分4%)」で比較してみました。

比較している様子

まず、市販の「無調整豆乳」と豆腐店の「無調整豆乳」はいずれもお豆腐として固まりましたが、濃度の低い市販の「無調整豆乳」はやや柔らかくて崩れやすく、豆腐店の「無調整豆乳」はしっかり固まり容器をひっくり返してお皿に取り出しても綺麗な形状を保ちました。

左が市販の「無調整豆乳」で作ったお豆腐、右が豆腐店の「無調整豆乳」で作ったお豆腐

豆腐店の「無調整豆乳」で作ったお豆腐をお皿に取り出したところ

次に「調製豆乳」はたまご豆腐のような、かなり柔らかくて甘い、まるでお豆腐プリンのような仕上がりになりました。最後に、「豆乳飲料」ではドロドロとした豆乳に変化した程度で固まりが不十分でした。このように、一部の「調整豆乳」や「豆乳飲料」は、大豆固形分(豆乳に含まれる大豆の割合)のパーセンテージが不十分だったり、凝固(※)しづらい材料が含まれていることもあるので、結果的にお豆腐としては固まりにくいようです。比較実験してみると、豆腐店の豆乳はお豆腐づくりに使われているだけあって、綺麗にお豆腐が固まりやすいです。

※豆腐が固まる作用のこと

左が「豆乳飲料」で作ったお豆腐、右が「調整豆乳」で作ったお豆腐

「にがり」以外でもお豆腐は固まる?!

お豆腐を固めるのに欠かせない「にがり」は海水から食塩を作ったあとにのこる塩化マグネシウムを主な成分とした液体です。最近では大きめのスーパーやネット通販でも手に入りやすくなりました。にがりは水中でマグネシウムイオンと塩化物イオンに分かれるのですが、このマグネシウムイオンがふたつの「手」のようなものを持ち、大豆タンパク質と次々に手を繋ぐことでお豆腐が固まっていきます。この反応を、「塩凝固(えんぎょうこ)」と呼びます。

実は、お豆腐は他にも「酸凝固(さんぎょうこ)」という反応でも固めることができ、例えばレモン果汁などでもお豆腐を固めることができます。豆乳の濃度を変えたり、にがりやレモン果汁など固める材料を変えて比較実験してみても面白いですね。

いかがでしたか? シンプルな材料から成るお豆腐、実は幾度と化学反応を繰り返してできあがっていたと思うと非常に奥深いですね。ぜひ、お近くにお豆腐屋さんがあれば、豆乳を購入してみてください。楽しみながらお豆腐づくりに挑戦していただけたら嬉しいです!

参考文献:
- 尾嶋 好美, 『「食べられる」科学実験セレクション 身近な料理の色が変わる? たった1分でアイスができる? (サイエンス・アイ新書) 』, SBクリエイティブ, 2017
- 石川 伸, 『お豆腐屋さんが教える簡単手づくり豆腐』, 家の光協会, 2004

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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