【FoodClip 食卓トレンド】食ビジネス全般の動向やトレンド、食卓の最新データを発信するFood Clip編集部に、いま気になる食トレンドを教えてもらいました。今回お届けするのは、ナッツの女王と呼ばれる「ピスタチオ」のブームについて。濃厚で香ばしい味わいなので、アイスやケーキなどスイーツにも使えます。健康にも良いこの食材に、いま注目が集まっているんですよ。
こんにちは!FoodClip編集部です。
ピスタチオとは、ウルシ科カイノキ属の落葉樹から採ったナッツです。枝についている形は銀杏にも似ています。外側の硬い殻を剥いて、中の身の部分を食べるものです。
もともと、トルコやペルシャなどの地中海沿岸で栽培されたもので、ヨーロッパに広がっていきました。ちなみに、ピスタチオという名称は、ペルシャ語の「ペステ」が語源なのだそう。現在の主な生産国は、イランやアメリカで、全体の7~8割を占めています。
ピスタチオの味は、とても濃厚で他のナッツにはない香ばしさが特徴です。ナッツの種類のなかでもとりわけ実が柔らかく、時にはアボカドやバターのようなしっとりした濃厚さも感じられます。そのまま食べるのはもちろん、サラダや肉料理に加えて食感を楽しんだり、アイスやケーキなどのスイーツにしてもぴったりです。
ピスタチオは、さまざまな栄養価が高いことから「ナッツの女王」とまで呼ばれています。一説には、旧約聖書に出てくる「シバの女王」が好んで食べていたことが由来しているとも言われています。古くから、そのおいしさはお墨付きだったのです。
ピスタチオには、ビタミンやミネラル、身体にとって良質な脂肪分が豊富に含まれ、健康や美容にも良い効果が期待できます。栄養素の具体的な効果をいくつか紹介していきます。
他のナッツ類に比べると、ピスタチオには不溶性食物繊維が多く含まれています。この不溶性食物繊維は水に溶けにくく、腸内環境を改善したり、しっかりと腸を刺激し便通を整える効果があります。
ピスタチオに含まれているβ-カロテンやルテインには、抗酸化作用があります。私たちの細胞の老化を早めたり、生活習慣病の原因だと言われている活性酸素。この活性酸素から身体を守ってくれるのが、抗酸化という働きなのです。
年齢とともに減ってしまう抗酸化作用を栄養成分で補ってあげれば、身体の細胞レベルから若返りに繋がります。
ピスタチオに含まれているビタミンB6は、肌や髪の毛を丈夫にする働きをもっています。また、β-カロテンには肌の乾燥予防や免疫アップ、ルテインには紫外線予防効果もあるとされています。
ピスタチオには、人が生きていく上で最も基本的なミネラルのひとつであるカリウムが豊富に含まれています。カリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあるので、塩分の摂りすぎによるむくみ解消や血圧を下げる効果が期待できます。
ピスタチオがこれだけ広く注目されるようになったのは2019年頃。それ以前にもピスタチオ商品はありましたが、「次に来るスイーツブームの新たな食材」として、こぞってメディアが取り上げるようになったのがこの頃です。
さらに、ピスタチオ人気を加速させたのは、SNSのファッション的要素も影響しています。鮮やかな「ピスタチオグリーン」という色がトレンドになり「#ピスタチオグリーン」とハッシュタグ付きの投稿が多く見られるようになりました。
数年前までは脇役的な存在だったピスタチオですが、今では各社で主役級の商品を販売するようになりました。
2020年8月には東京駅八重洲北口の東京ギフトパレット内に、ピスタチオスイーツ専門店「PISTA&TOKYO」がオ-プンしました。こちらは大人気のチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」で有名な小樽洋菓子舗ルタオを運営している、株式会社ケイシイシイがプロデュースしています。
クックパッドの検索傾向をみてみると、「ピスタチオ」というキーワードは2018年以降、年を追うごとに検索頻度が伸長しています。
さらに月別にみると、毎年11月頃から検索が上昇しはじめ、翌年1月〜2月にかけては急上昇し、最も大きなピークを迎えていることがわかります。クリスマスやバレンタインの時期に、ピスタチオの検索ニーズが高まっていることがうかがえます。
ここでは、クックパッドで人気のピスタチオレシピを紹介します。
味や見た目もさることながら、栄養価の面でも魅力的なピスタチオ。スイーツ好きの女性たちや健康意識の高い人たちを惹き付け、食材としての認知も広まっています。
グリーンスイーツといえば「抹茶」といったこれまでのイメージや傾向も変化し、スイーツのラインナップやバリエーションはさらに広がっていくことでしょう。フォトジェニックな見た目や美しさといった見映えも注目される昨今。ピスタチオがグリーンスイーツの定番となる日も、そう遠くないのかもしれません。
参考:有馬芳香堂 ナッツラボ