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コラム

くり返すそのお腹の不調…もしかして過敏性腸症候群が原因かも!?

食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。

まだ寒さが厳しい日もありますが、少しずつ春の訪れを感じる季節になりました。
私は数年前から社会人をしながら大学院に通っていまして、今年はついに最終学年。今まさに学位審査のシーズン真っ只中で慌ただしく過ごしています。先月がピークでしたので休載をさせていただき、今回が2023年最初の記事になりました。

この連載では、毎回“腸活”に関連する話題をお届けしていますが、よくいただくご質問があります。それは「常におなかの不調を感じるのですが、どうしたらよいでしょう?」というものです。皆さまの周りにはこのような方はいらっしゃいませんか?

おなかの調子が一向によくならない?!もしかして“IBS”かも

IBSとは過敏性腸症候群のことです。英語表記のirritable bowel syndromeの頭文字をとって“IBS”と呼ばれています。最新の調査では世界の約4%、日本人の約2%がIBS患者であると診断されました。男性よりも女性の方が1.6倍多いことがわかっています。青年期から20代で発症する傾向があり、加齢とともに有病率は下がる傾向があります。[1,2]

IBSの症状とは?当てはまるか確認してみましょう

IBSは、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないにも関わらず、お腹の調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。命に関わる病気ではありませんが、健康管理の負担と経済的な負担が大きくなり、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。[1]

「もしや、自分はIBSかも?」と気になる方は、次の診断基準に該当するかチェックしてみましょう。

【IBSの診断基準(RomaⅣ基準より)】[3]

最近3ヵ月の間に、平均して週1回以上お腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、下記の2項目以上の特徴を示す
1. 排便によって症状が変わる
2. 症状とともに排便の回数が変わる
3. 症状とともに便の形状(見た目)が変わる

IBSにはさまざまなタイプがある!

IBSには主に4種類に分類されます。[3]
・便秘型(IBS-C):便秘を繰り返し、膨満感や不快感が主な症状
・下痢型(IBS-D):突然おこる腹痛と下痢を繰り返すのが主な症状
・混合型(IBS-M):便秘と下痢を繰り返す
・分類不能型(IBS-U):C,D,Mのいずれにも該当しない

IBSにならないために、何かできることはあるの?

今のところIBSを予防する方法はみつかっていません。しかし、家族にIBSの人がいたり、強いストレスを経験している、消化管に重度の感染症があると発症しやすくなることが明らかにされています。[4]

症状を緩和するために、日々の生活でできること

IBSを発症されている方はお薬での治療のほかにも症状を緩和するためにできることがあります。それは、生活習慣の改善です。[1,4]
食事や運動に関する主なものを3つご紹介します。

1. 症状を誘発する食品を避ける

特定の食品を食べた後に症状が悪化する場合は、原因となる食品を避ける方が好ましいでしょう。高脂肪の食品、カフェイン、香辛料(スパイシーな食品)、牛乳・乳製品などで症状が出る場合が多いようです。

2. 便秘型の場合は食物繊維をとる

便をやわらかくしたり、かさましをして便秘改善のサポートをしてくれる食物繊維を積極的にとるようにしましょう。特に水溶性食物繊維は便秘型のIBSの症状を緩和するのに、より効果的であることが示唆されています。ただし、一度にたくさんとりすぎると逆に症状を悪化させてしまう恐れがあります。おなかの調子をみながら、少しずつ増やしていきましょう。

3. 運動習慣をつける

ウォーキングなどの有酸素運動やヨガを行うなどの運動習慣をつけると症状が改善することが報告されています。

IBSはストレスも原因の1つであると考えられており、お薬での治療や食事、運動療法を実践しても改善しない場合は、心理療法が有効なこともあるようです。

“低FODMAP食”はどうなの?

IBSについてすでに詳しい知識をお持ちの方は、この疑問を抱かれるかもしれません。近年、IBSの食事療法として注目されているのが、“低FODMAP食”。これは、消化しにくい低発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールを多く含む食品を避ける食事療法です。欧米ではIBS患者に対して“低FODMAP食”が推奨されていますが、まだ日本人を対象にした研究ではあまり効果が見られておらず、ガイドラインで推奨するまでには至っていないようです。

不調を感じたら、無理して腸活しないのも大切です

体質には個人差があります。誰に対しても期待される効果が得られるような健康法はないに等しいものです。たくさんの方の腸活のサポートをしてきた私の経験上感じていることとして、特にIBSの患者さんは腸が敏感なため、腸活に取り組むと不調を感じる場合があるようです。その場合は、無理して続けないようにしましょう。IBSの症状で困ったときには、かかりつけ医や内科クリニックに相談をしてくださいね。

※ 記事のメイン写真は記事をイメージして選定させていただきました。
画像提供:Adobe Stock

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役。商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスタープロ、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、発酵食品ソムリエほか

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