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コラム

思わぬ理由にほっこり…何年も「毎日同じ朝ごはん」を続ける人たちに話を聞いてみた

■「朝食固定化」って何?

皆さんは、朝ごはんをきちんと食べていますか?一日の始まりに朝食をしっかりと食べることは、睡眠中に低下した体温を上げ、脳や身体の機能をウォーミングアップさせる役割があるといわれていますよね。それでも時間との勝負の朝、献立を毎日考え、時間をかけて調理するのはなかなか大変…。

そこで、おすすめしたいのが「朝食固定化」。朝食固定化とは、思い切って毎朝同じメニューに固定化したり、パターン化したりしてしまおうというもの。食パンに目玉焼きとサラダ。あるいは、ご飯と焼き鮭にお味噌汁。このように決めておくだけで、毎朝献立を悩む煩わしさが軽減されます。

朝ごはんを固定化するメリットはほかにも。たとえば、用意する食材が常に同じで調理にかかる時間もそんなに変わらないことから日々にリズムができ、時間にも心にもゆとりある良い一日のスタートに繋がりそう。そんな暮らしの実態が聞きたい!という期待に胸を踊らせ、数年間同じ朝ごはんを食べているという2名にインタビューしてみました。

■Yさん(都内在住/パートナーと2人暮らし)の事例

 

まずお話を伺ったのは、IT企業に勤務する30代男性のYさん。Yさんは社会人になって以来、かれこれ5〜6年ほど毎朝フルーツグラノーラ「フルグラ(カルビー株式会社)」を食べているそうです。

「毎日のリズム作りで朝食固定化という習慣を取り入れたり、栄養のバランスを考えてグラノーラを食べたりする人もいると思います。でも僕の場合は、フルグラの味が純粋に好きだから食べているだけなんですよね」と、朝食固定化を取り入れた意外な理由を教えてくれました。

「食べ方に特にこだわりはないです。冷たい牛乳をフルグラにかけるだけ。ヨーグルトの賞味期限が近いとか、何か特別な事情がない限り、アレンジもしないですね」

メーカーを固定するだけでなく食べ方まで基本的には同じだそう。これぞ究極の朝食固定化……!驚く私に、さらにフルグラへの思いを語ってくれました。

フルグラに対して憧れのような気持ちがあるんです。学生時代にはちょっと高く感じて買えなかったんですよね。働いてお金に少し余裕ができて、フルグラ買えるぞって嬉しくて。大人になったなぁと思いますね…。

あとは単純に、コンビニや近所のスーパーなど、基本的にどこでも買えるのも魅力です。思いついた時にまとめ買いして、自宅に常にストックしています」

IT企業でバリバリ働くYさん。「朝食固定化」は献立に悩む時間(コスト)を削減するための施策かと思いきや、そこにはフルグラへの純粋な愛がありました。Yさんのフルグラ愛を前に、コスパだのタイパだの考えていた自分が恥ずかしくなりました。愛って偉大。

好きだから食べる。食事ってそれでいいんだよなぁと思いながら、次の方にもお話を伺いました。

■Mさん(高知県在住/祖母、母、夫、中学生の娘と5人暮らし)

ご飯、みそ汁、卵焼き、かまぼこ、しらす、オレンジジュース。このメニューを毎朝、12年もの間食べ続けているのが、高知県で家族と暮らす主婦のMさん。

「(同居している)母が毎日作ってくれてるんです。もう12年になるんですね…いや、飽きないです。変えようと思ったこともないです」とハッキリ。

聞けば、かまぼこもしらすも、この献立に使われる食材まで全て同じ店やメーカーのもので「固定」しているそう。買い物する場所も固定。ブレがありません。みそ汁の具もずっと一緒だったそうですが、7年前のお正月を機にある異変が…。

「正月にお雑煮を食べてから、なんとなく流れで毎朝のみそ汁にも餅が入るようになったんですよね。腹もちいいよねってことで。それから年中、餅入りのみそ汁です」

餅入りみそ汁という少しユニークなメニューもすんなり受け入れたMさん。さらに聞くと、毎朝食べるデザートも固定しているそう。

「デザートは毎朝りんごです。私が小さい時からなんで、もう40年になるかな。夏も食べますよ。まぁ夏のりんごってこう…スカスカで味が薄いでしょ。でも食べるんです毎日。スカスカやなと思いながら…あ、品種も固定です。理由?まぁ、おいしいから。いや、夏のはまずいんですけど…」

もうツッコミどころが多すぎて何も言えません。なぜここまで固定化にこだわるのでしょうか。

「逆にこだわりがないんです。この献立を母がずっと作ってくれてるから、ありがたく頂いてるだけ。母も、特にこだわりはないようですが…朝ごはんはこういうもんって、そんな感じでしょうか。それぞれのメニューが特にすごく好きなわけでもないんですよ、でも何かね…まあ、流れに身を任せて…」

流れに身を任せて…ここまでくると何か哲学すら感じます。

「夫と娘は飽きると言うので好きなようにしてもらってます。娘は好きなパンを色々と。勤務時間が不規則な夫は自分で作ってますね」

インタビュー時、一緒に話を聞いた夫のIさんも、家族がそれぞれ好きなものを食べるこのスタイルに肯定的。少し言いにくそうに「僕もチャレンジしたんですけど、やっぱり毎日同じはね…10日くらいで飽きてしまって…」とぼそり。その気持ち、わかります。

「そこからは自分で。朝ごはんの時間も不規則なんで、アレコレ注文するのも悪いし。焼きそばとかうどんとか、朝から色々作って楽しいですよ」と、前向きに食事作りを楽しんでいるご様子でした。

ライフスタイルや好みが違う家族みんなの希望聞いて、毎日の献立を考えるって大変。時間も献立も、みんな一緒じゃなくても家族円満ですごく平和。そんなMさん一家の姿に、毎日のごはん作りはもっと気楽に、もっと自由でいいと思えました。そして色んなことを「流れに身をまかせる」ことで何かが開けてくるのではないか…とぐるぐる考えてしまいました。

■コスパや効率化より、愛と感謝

この記事では「朝食固定化」を実践する2名の暮らしぶりについて教えてもらいました。毎日同じ食事にすることで効率化や栄養面で良い効果があるのでは?という期待から始まった企画でしたが、結果的に「好きなものを食べる」「大切な人が作ってくれたものをありがたく食べる」というシンプルな幸せに辿り着きました。

Mさんが取材の最後に言った「誰かにごはんを作ってもらったら文句は言っちゃいけないですよね。私も文句言わず12年食べてますから」の一言がズーンと胸に響きました。

(クックパッド編集部)

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