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コラム

卵の入荷が2〜3週に一回の地域も。高騰が続く、世界の“エッグフレーション”事情

食品の値上げが続いている今、ついに卵までもが高騰し始め、私たちの家計に大きな影響を与えています。卵の個人消費率が世界2位の日本では、卵の値上げは死活問題。メインにもサブにもなってくれる“卵”は使い勝手もよく、おやつ作りにも欠かせない存在のため、家庭のみならず洋菓子店や飲食店などさまざまなところへ影響を及ぼしています。

都内のスーパー。19時ごろには、卵の棚はすっからかんに

日本以外でも卵って値上がりしてるの?

この値上げは日本国内だけの問題なのでしょうか?日本と同じように困っている国はあるのでしょうか?気になる世界の“卵事情”について、各国のクックパッドユーザーを通して調査してみました。

今年の初めに卵12個の価格が1000円になっているというニュースが流れていた経済大国・アメリカ。地域にもよりますが、やはり現地に暮らすユーザーも値上げを肌で感じることが増えているようです。ただ、アメリカでは買う場所によっても値段がかなり変わり、全く同じヨーグルトやティッシュが、隣の店で1ドルや2ドル高く売られている…なんてことが一般的だそう。卵も例外ではなく、お店の見極めが重要なのだとか。

なかでもウクライナやイタリア、ナイジェリア、マレーシア、個人の卵消費1位のメキシコでも卵の値上げに頭を抱えている人は多く、日本と同じく、世界各国でも一般家庭の消費者は大きな打撃を受けているようです。

マレーシアでは卵の入荷が数週間おきに

特に深刻な問題を抱えているのがマレーシア。スーパーに卵の棚はあるものの卵が入荷していない!という日もあるのだとか。

「ボルネオではスーパーに在庫がなく、2〜3週間おきにしか入荷されません。また、以前は10個や15個で買えた卵が30個単位でしか買えない状況。知人の卵農家さんに聞いたところ、飼料代やエネルギー、輸送コストの高騰が要因らしいです」(マレーシア在住・sasha-sabrinaさん)

マレーシア・ボルネオのスーパーの卵売り場。30個単位のまとめ買いしかできない状態

在庫がなくなっている店も

卵を手にできない国がある一方で、特に影響を受けていない国もありました。それはベトナムとタイです。

「私はベトナムの田舎の方に住んでいて、10個で25000ベトナムドン(約140円)で価格は安定しています。市場で買うので値札はついていませんが、以前と変わっていません。一般のスーパーマーケットのオンラインストアを確認したら33500ベトナムドン(約190円)だったので、田舎よりも割高ですね」(ベトナム在住・ninhさん)

卵の価格は現在は安定していて、昨対比で5%くらい下がっています。昨年はエネルギーコストの高騰や鳥インフルエンザで価格が上がりましたが、その前の水準に戻り、今は若干下がった、という状態です」(タイ在住・pai-suksumekさん)

こちらはベトナム・ホーチミンのスーパーの卵売り場。ホーチミンのような首都圏では、ninhさんが住んでいるところより高めの価格設定

卵の代替食品は?卵高騰に対する対策

これまでのように「卵」を気軽に使えなくなった今、クックパッドでは「卵1個で作る料理」や「かさましできる卵料理」など卵の消費量を減らす様子が見られます。

同じく価格の高騰に悩む国ではどのような対策がなされているのでしょうか。価格高騰だけでなく“卵不足”にも悩むマレーシアではラマダンのお菓子作りにも変化が生まれているといいます。

「これからラマダンの時期でクッキーを焼くのが恒例ですが、今回は“卵を使わず、材料3つで作るチャレンジ”をしている人も多いようです。マレーシアではお祝いのお菓子としてクッキーが欠かせませんが、材料高騰で市販のものも高くなっているので、多くの人が自分で作る工夫をしています。その際に卵を多く使うクッキーを減らしたり、卵を使わないレシピを使うようにしています」(マレーシア在住・sasha-sabrinaさん)

また、日本と同じく卵の価格が2倍になっているというウクライナではこんな工夫もされていました。

「卵を別の食材におきかえたレシピ、たとえばお菓子作りではデンプンやヨーグルトに置き換えたり、重曹と酢を使うなど、卵以外に何に代用できるかというヒントをコミュニティーで提案しあっています。重曹と酢を使うと生地が立ち上がってふわふわの食感になるため、卵の代わりに使えるんです」(ウクライナ在住・aleksandra-zerniyさん)

日本だけでなくほかの国でも、「代替品」を使う工夫などがされているようです。

台湾では鶏の卵の代わりにアヒルの卵が使われるようになったり、アメリカでは自分の家で鶏を飼う人が増えてくるなど、国によって対策の仕方はさまざま。この価格高騰はしばらく続くと言われていますが、果たしてどこまで上がり続けるのでしょう。価格が落ち着くまでは、私たちも各国の対策を参考にしながらこの窮地を乗り越えていきたいですね。

(TEXT:河野友美子、メイン画像:Adobe Stock)

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