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コラム

そのやり方、間違ってるかも?お米屋さんが教える「無洗米」の正しい洗い方

お米のおいしさをキープする保存法や正しいお米の研ぎ方など、意外と知らない「お米のきほん」を、山形県の小さなお米屋さん(有)阿部ベイコクさんに教えていただきます。ちょっとした工夫や知恵で、いつものご飯をもっとおいしく。知って楽しいお米の情報を月に1回お届けします。

「無洗米の炊き方は?水の量は?」「洗った方がいいの?」「白米と何が違うの?」など気になりますよね。無洗米ってよく聞くけど、詳しくはわからない…。そんなあなたに「無洗米とは」を山形県の小さなお米屋「阿部ベイコク」がご紹介します。無洗米の水加減から美味しい炊き方まで、ポイントをおさえればとっても簡単。正しい無洗米の知識をマスターして「時短・節水・楽チン」にチャレンジしてみましょう!

無洗米とは?

そもそも無洗米とは何でしょう?普通の白米と何が違うの?洗わなくてよい?研がなくてもよい?をお教えします。

無洗米と普通精米(白米)の違い

精米した白米(普通精米)の表面には、普通の精米機では取り切れない「肌ヌカ」が残っています。そのため研ぎ洗いで肌ヌカを落としてから炊飯することで、美味しいお米が炊きあがります。

一方、無洗米は製造工程で肌ヌカを除去したお米になるので、ご家庭での研ぎ作業が不要で、軽いすすぎ洗いで簡単に炊飯することができます。

じつは「これが無洗米です」という決まりはない

無洗米が誕生したのは1991年。現在ではほとんどの方が知っている言葉ですが、じつは無洗米には国による品質基準がなく、製造方法も様々あるのです。

▼ヌカ式(BG精米)
肌ヌカの粘着性を利用して、空気と水以外のものを添加せず肌ヌカを除去する製法

▼水洗い式
精白米の肌ヌカを短時間で水で洗い落とし、乾燥させる製法

▼タピオカ式(NTWP)
精白米に水を加え、高温に熱した粒状のタピオカデンプンで研ぎ汁を吸着させ、ボイラーで乾燥させる製法

▼その他(研磨式など)
ブラシや不織布・乾式研米機などでお米を磨いて肌ヌカを取る製法

結局一番よい無洗米の製法は…?

そもそも無洗米に正式な基準がないため、どの製法が良い、どの製法が悪いという判断ができません。

例えば、水を使う製法はカビが発生しやすいリスクがあったり、設備に億単位のコストがかかってしまうため販売価格も割高ですが、取り除いた肌ヌカを有機質の肥料・飼料として再利用できるケースもあります。

研磨式の場合は、お米の粉が付着するので炊飯前にすすぎ洗いが必要ですが、比較的低コストに抑えることができるので安価に製造できます。

一長一短。製法にこだわるのも面白いですが、信頼できるお店から美味しい銘柄をチョイスするのが一番かもしれませんね。

無洗米のメリット3つ

無洗米は研ぎ洗いが不要のため楽チンなのはわかりますが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

▼1年で約30時間の「時間短縮」に
例えば、お米を研ぐのに1日1回5分かかるとすると…

5分×365日=1,825分(30.4時間)

朝晩2回研いだり、1回に10分かける方は、1年のうち丸4日間(60.8時間)もお米を研いでいる計算になります。

毎日の炊事で時間と手間がかからないのは大きなメリットですね。

▼1年で2Lペットボトル約828本分の「節水」に
3合(約450g)の白米(普通精米)を研ぐのに使う水の量は、平均で約4.5リットル。

なんと、お米の10倍の量の水が使われているんです。

1年で約1,656リットル(東京都の水道料金で約548円)にもなる計算です。

また、ヌカや窒素、リンを含んだお米のとぎ汁を下水道に流さないので、無洗米は環境にもやさしいのです。

▼同じ重さなら白米より無洗米の方が「お得」
例えば「10kgの白米(普通精米)」と「10kgの無洗米」。同じ価格なら無洗米の方がちょっとお得です。

なぜなら、白米(普通精米)には約3%の肌ヌカがついているため、10kgを研ぎ洗いすると300gほど捨てていることになるのです。

つまり無洗米の方が賞味量300g多いので、約2合分もお得ということに!

無洗米を保管するときの違いは?

無洗米は、酸化しやすい肌ヌカを取り除いているので、白米(普通精米)より長持ちしやすいです。ただし、肌ぬかを取ってしまっているため米の表面から水分が蒸発しやすいので注意が必要です。

お米袋には空気穴が空いているので、未開封でもそのまま保存せずに、密閉容器に移し替え乾燥から守りましょう。

無洗米のおいしい炊き方

「無洗米はまずい!」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、今は精米技術も高くなったので炊き方を間違えなければ無洗米も美味しいです!

▼水の量
無洗米で一番問合せが多いのが、炊飯時の「水の量」です。普通精米(白米)の場合は、お米を研いでいる間にも水を吸収しているのですが、無洗米は研ぎ時間がありません。

また、普通精米(白米)と同じ計量カップの場合は、肌ヌカがないので無洗米の方が3~5%お米が多くカップに入ります。

そのため、無洗米を炊くときの水の量は5~10%ほど多めが基本となります。

最近では、無洗米用の計量カップ(白米用より一回り小さい)があり、炊飯器にも無洗米用の水量ライン・炊飯モードがあるので、その通りに炊飯するのも良いと思います。

あとは、銘柄や年産・お米の状態・炊飯機器などでも炊きあがりが変わるので、水の量をお好みにあわせ微調整してみてください。

お米も水も、毎回正確に計量するのがポイントです。

▼洗い方
無洗米なので、基本的には洗わなくても大丈夫です。

無洗米の製造方法の違いで、お米に水を加えた時に白く濁る場合は、ヌカではなく、デンプン(栄養素)が溶け出したものになります。

そのまま炊いて問題ありませんが、気になる方は研がずに1~2回軽くすすいでから炊飯いただくことをオススメしてます。

お水が透明になるまですすぐと、ボソボソの炊き上がりになってしまうので、すすぎすぎはNGです。

まとめ

(1)無洗米は肌ヌカが取れているので研ぎ不要
(2)時短・節水・楽チン・お得
(3)乾燥しやすいので保管は密閉容器で
(4)水の量は5~10%ほど多めが基本
(5)水が白濁するときは、研がずに、1~2回軽くすすぐ
(6)お水が透明になるまで、すすぐのはNG

※本記事は、 (有)阿部ベイコクのwebコラムからの転載記事です。

画像提供:Adobe Stock(https://stock.adobe.com/jp/)

(有)阿部ベイコク

山形県庄内地方にある小さなお米屋「(有)阿部ベイコク」です。地元農家様との信頼、米屋ならではの精米技術を武器に、新鮮なお米を全国へ。県産ブランド米「つや姫・雪若丸・はえぬき」をはじめ、価格帯に合わせリーズナブルなオリジナルブレンド米も多数ラインナップ。米どころ山形から皆さまの食卓へ、美味しい笑顔をお届けします。

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