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コラム

ドラマで大人気の店でも買える!アメリカ人が夢中になる、可愛すぎる"南国発のケーキ"って何?

【アメリカの最新ごはん事情vol.23】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。

「アメリカのケーキ」といえば?

アメリカのケーキといえば、「焼きっぱなしの焼き菓子」か、甘いクリームが無造作に塗りたくられた大きいケーキの2種類に分けられると思います。今回は、後者の比較的日本人にも好まれそうなケーキをご紹介しようと思います。

名前が可愛すぎるケーキ

名前は、可愛らしい「ハミングバードケーキ」と言います。今現在のハミングバードケーキの元になったレシピは、もう少しバナナの割合が多く、ジャマイカで1960年代に作られたそうです。その後、徐々にアメリカにレシピが入ってきて、1978年に「Southern Living」というアメリカ南部のライフスタイル雑誌に掲載されたのがきっかけで、流行し始めたようです。

(ドラマ「SEX AND THE CITY」に出てきたケーキ屋でもハミングバードケーキが売られている)

もともと「ハミングバードケーキ」は色々な呼び名があり、最終的にこの名前に落ち着いた理由は、バナナとパイナップルが入った甘〜いケーキなので、花の蜜しか食べないと言われているハミングバード(ハチドリ)の名前を使ったのではないかということです。ぴったりなネーミングですね。

南国生まれのケーキならでは

このケーキの特徴は、バナナ、パイナップル、ピーカンナッツが入ることと、バターではなくオイルを使いしっとり仕上げるところです。バナナ、パイナップルと聞くと、南国ジャマイカで生まれたケーキというのがわかるとともに、アメリカ南部でも人気がある理由がわかると思います。

ケーキにオイルを使用すると、ケーキ自体に香りが出ませんが、作るのは簡単だし、誰が作っても失敗せずしっとり仕上がります。さすがアメリカで人気のケーキです。

ハミングバードケーキ作り方

<ケーキ>(直径18cm丸型 1台分)

(A)
・中力粉……120g
・グラニュー糖……100g
・ベーキングソーダ……小さじ3/8
・ベーキングパウダー……小さじ1/8
・シナモンパウダー……小さじ1/2
・塩……ひとつまみ

(B)
植物油……1/2カップ
卵……1個
パイナップルの缶詰……4〜5枚(227g)
バニラエッセンス……少々

(C)
バナナ(よく熟れたものを潰しておく)……約100g
ピーカンナッツ(ローストして粗く刻んでおく)……55g

1.オーブンを180℃に予熱しておく。
2.型にバターかオイル(分量外)を塗り、クッキングシートを敷く。
3.材料(A)をよく混ぜておく。
4.材料(B)をよく混ぜて、(C)も加える。
5.(4)に(A)を加えて混ぜ合わせ、準備しておいた型に流し入れる。
6.焼き時間は、ケーキを焼く型やオーブンによって変わります。30分焼いて一度きちんと焼けてきているかどうか確認しましょう。その状態によって、焼き上がるまで10分おきにチェックをしてみてください。外から中が見えるオーブンであれば、なるべくオーブンの扉を開けない方がベター。
7.焼き上がったら、粗熱が取れるまでそのままケーキクーラーで冷まし、その後型から外して完全に冷ます。

<パイナップルチップス> (お好みで)

・パイナップル
・クッキングシートかシリコンマット

1.オーブンを100℃に予熱しておく。
2.パイナップルを可能な限り薄くスライスする。
3.クッキングシートかシリコンマットの上に並べて、オーブンで2〜3時間乾燥させる。
4.オーブンから取り出してまだ柔らかいうちに、マフィンパンなどに入れて形を作る。
密閉容器にて3日ほど保存可能。

<フロスティング>

・バター(室温に戻す)…… 85g
・クリームチーズ(室温に戻す)……110g
・粉糖(ふるっておく)……150g
・レモン汁……小さじ1〜
あまり入れすぎるとフロスティングが緩くなりすぎて、粉糖を追加しなくてはならず甘くなってしまうので、少しずつ入れること。

1.バターとクリームチーズをよく混ぜ合わせる。
2.レモン汁を入れて混ぜ合わせたら、粉糖を入れる。

3.ふわっとなるまで混ぜる。

<仕上げ>

1. ケーキからクッキングシートを剥がして、底の部分を上にしてお皿に置く。

2. フロスティングを塗る。サイドを塗らずにトップだけ塗ってもOK。

3. ピーカンナッツ(分量外)やパイナップルチップスなどを使って、飾り付けしてください。

ケーキの生地には、パイナップルを潰した缶詰(ピューレより粗い)があれば、それを使いましょう。なければ、フードプロセッサーで砕きます。この場合、粗くするか細かくするかは好みで。缶詰でなくてもいいですが、分量の生のパイナップルを潰す時に出てくるジュースも捨てずに入れてください。また、バナナは、写真のように真っ黒になっているのが理想。ここまで真っ黒でも、中は白いです。

今回ご紹介したレシピはかなり砂糖をカットしていますが、日本人には「甘い」と感じるケーキだと思います。でも、バナナブレッドやキャロットケーキに慣れていれば、親しみやすい味ですので、ちょっと目先の変わったケーキとして作られてみてはいかがでしょうか?

ちなみにアメリカでは、この一回り直径が大きいケーキをあと2つ重ねて3段にしたケーキが普通の大きさです。クリームチーズのフロスティングが好きな方は、このケーキを横半分にスライスして、間にクリームを挟んでも良いかもしれません。

トロピカルっぽい甘いケーキをお楽しみください!

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
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