cookpad news
コラム

20代女性にまさかの「更年期」症状?体の中で起きていること

病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。

このような質問をいただきました。28歳、女性からの質問です。

「28歳の女性です。 年齢的にあまり考えられないと思うのですが、更年期障害のような症状が出ることが増えました。湿度を感じたり、急な気温の変化があるといわゆるホットフラッシュのように、体の内側からぶわーっと冷や汗が噴き出て来るような感覚に襲われます。また、お昼ご飯が少し後ろ倒しになってしまい、空腹感が強くなると同様の症状が出てとにかくなんでも良いから食べないと落ち着かなく、発作のようなものが起こります。また、胸がザワザワする感覚が常に付きまとい不安感があります。産婦人科を受診すると、年齢的にホルモンバランスが安定しており、またピルを服用しているのでなおさら更年期というのは考えづらいと言われました。この悩みをどうすれば和らげられるのかアドバイスいただければ幸いです。」

若いのに更年期のような症状・・・原因は?

更年期症状とは、閉経に伴い女性ホルモンの分泌が急激に減少することで起こるさまざまな不調を指します。通常、閉経は50歳前後に訪れることが多く、前後5年間の45歳〜55歳頃に更年期症状に悩まされることが多いとされています。 年齢に関係なく、若い女性が更年期のような症状を経験する原因は、おそらく仕事の忙しさやストレスなどが自律神経に影響を与え、それが関連している可能性が考えられます。また、若い年齢で更年期のような症状が現れる場合、甲状腺の問題などが潜在的に存在する可能性もあるため、まずは婦人科などで甲状腺関連の検査を受けることが大切です。 西洋医学的な病気がないことを確認した上で、中医学的に考えられる発汗異常や不安感に対処する方法を試していただければと思います。

こうした状況を踏まえて、今回は発汗異常や不安感を和らげるためのおすすめ食材やレシピをご紹介します。

発汗異常や不安感はなぜ起こる?

中医学的には、以下の原因が考えられます。

1.発汗異常は気虚(エネルギー不足)が原因

「気」は私たちの体に不可欠なエネルギーを指し、中医学においてはさまざまな重要な役割があるとされています。その中で、体温の調節や汗の制御などの機能が挙げられます。疲労や胃腸の不調などが原因となり、「気」の不足状態である「気虚(ききょ)」が発生すると、過剰な発汗や体温調節の異常などが見られることがあります

2.不安感は五臓の「心(しん)」の弱り

中医学では、「五臓」という概念が存在し、これは体内の臓器とそれらの役割を表すものです。その中で、「心(しん)」は特に重要で、血液の循環を促進し、精神的な活動を管理する役割を果たしています。

心の機能が低下すると、不眠、動悸、不安感、驚きやすさ、夢の多さなどの症状が現れることがあります。また、汗も心の状態に影響を受けるため、心の働きが弱まると、汗がほとんど出ないか、逆に過剰に大量に出るなど、発汗に関する異常が起こることがあります。

また、「胸がモヤモヤしてすっきりしない感じ」も、心に熱がこもり、その働きが低下することで生じる症状です。特に夏の暑い時期は、心臓にとって負担が増すとされています。まだ暑い日が続くので、引き続き余分な熱を冷ますケアも必要になります。

発汗異常や不安感の緩和におすすめの食材は?

まず、気を補うためにおすすめなのは、黄色い食材を選ぶことです。さらに、胃腸のケアも大切です。具体的には、冷たい食べ物や油っこい料理、飲み物を過度に摂取しないように気を付けましょう。さらに「心」を補う食材を摂り、体内の余分な熱を冷ますことで不安感などの症状を軽減できる可能性があります。

▼気を補う食材

とうもろこし、大豆、かぼちゃ、大根(加熱して食べるのがおすすめ)、鶏肉、まぐろ、きのこなど

▼心を補う食材

れんこん、らっきょう、小豆、アロエ、ごぼう、アーモンド、ココナッツ、牡蠣、紅茶など

クックパッドのおすすめレシピはこれ!

れんこん・かぼちゃ・鶏肉の甘酢炒め

気を補い元気をつけてくれるかぼちゃ・鶏肉に、心を補う食材のれんこんを合わせた炒めものです。これらの組み合わせは胃の働きを良くして消化を促進してくれるので、弱った胃腸を回復してくれます。甘酢味でさっぱりと食欲がない時にもおすすめです。お酢は気や血の流れを良くしてくれるのでストレス対策にも◎

大根とツナの煮物 

気を補う食材の組み合わせである大根とツナの煮物です。大根は生だと体を冷やしますが、加熱調理することで温める作用を持ちます。ツナ(まぐろ)は気を補うだけでなく血も補うため不安感の軽減にも役立ちます。

小豆ミルクティー

心を補う食材である小豆と紅茶を組み合わせたスイーツ・ドリンクです。より自然な甘みがお好みの場合は練乳の代わりに牛乳を入れるのも良いでしょう。温かい状態で飲むのがおすすめです。ほっと一息つきたい時にぜひお試しください。

発汗異常や不安感などの体からのSOSを食事で対策していこう

検査しても異常のない場合は、中医学の考えで体を見直してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。仕事や育児などの疲れやストレスなどでも気は消耗されていきます。しっかり休息や睡眠を摂るのはもちろんのこと、食事の内容にも気を遣って労っていきましょう。今回ご紹介した食材やレシピを参考にできることから取り入れてみてくださいね。

画像提供:Adobe Stock

体の「なんとなく不調」お悩み募集中

なんとなく感じる体の不調、もやもや。道川さんに相談してみませんか? こちらのフォームからあなたの声をお寄せください。

道川佳苗

薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

編集部おすすめ
クックパッドの本