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コラム

その"時短術"まちがってない!?NGな魚焼きグリルの使い方4選

家事にまつわるさまざまなところで時短術を目にする機会が増えました。料理の分野でも時短調理をはじめ、調理後の掃除の時短術なども多数紹介されています。でも調理器具は汚れを放置したり、誤った掃除の時短術をしたりすると、思わぬ事故や火災を発生させるおそれがあります。

今回は調理器具の中でも「汚れ放置」や「誤った掃除の時短術」による事故の割合が多い「ガスこんろ」に注目して、事故を未然に防ぐポイントを、製品事故の調査を行なっている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査をもとに紹介します。

「汚れ放置」や「誤った掃除の時短術」が原因で事故が起きている!

2018年から2022年にNITEへ通知のあった製品事故情報(※1)では、ガスこんろの事故は合計195件あり、そのうち5割以上が使用者の誤使用・不注意によるものでした。また、ガスこんろ事故の約8割が火災事故に発展しています。

(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。

誤使用・不注意による事故の内訳を見ると、「汚れを放置したもの」が最も多く、「誤った掃除の時短術によるもの」と合わせると4割を占めています。(図1) 4割に関して被害状況を確認したところ、グリル関連の内容が多いことも分かりました。(表1)

事故を防ぐための4つのポイント

「汚れ放置」や「誤った掃除の時短術」による事故を防ぐには、下記4つがポイントです。

1.こんろで煮こぼれが生じた場合は、きれいに拭き取る
2.グリル使用後はこまめに掃除する
3.グリルの使用時や使用後は、点火・消火の確認をする
4.掃除時間を短縮するために、取扱説明書で禁止されている行為をしない

4.の取扱説明書で禁止されている行為というのは、パッと想像しにくいものですよね。以下に事例を紹介しますので、ご家庭でやったことのある行為はないか確認してみてください。

誤った魚焼きグリルの使い方4選

禁止例(1)グリルで脂の多い食材を調理時、焼き網上下にアルミ箔を敷かない!
脂が多く出る食材(「鶏皮」や「脂がのったさんま」など)をグリルで焼く際に、焼き網の上や下(受け皿の上)にアルミ箔を敷いてしまうと、アルミ箔の上にたまった食材の脂が発火したり、飛び散った脂に引火したりするおそれがあります。 グリル消し忘れ消火機能やグリル過熱防止センサーなどの安全機能が働く前に発火する場合もあるので注意が必要です。グリル庫内に入れるものは必ず取扱説明書で条件を確認し、機器指定以外のものは入れないようにしましょう。

禁止例(2)グリル調理中に安全機能が働いて火が消えても、すぐに点火しない!
グリル過熱防止機能が備わっている製品では、グリル庫内が高温になるとセンサーが働き、自動で火が消える場合があります。しかしグリル庫内に脂がたまった状態で繰返し点火操作をすると、脂が発火したり、飛び散った脂に引火したりするおそれがあるので、センサーが働いて消火された後すぐに点火操作をしてはいけません。グリル庫内に脂がたまっていない状態に限り、グリル庫内が冷めるまで5分程度待ってから点火を再開してください。

禁止例(3)グリル排気口をアルミ箔でふさがない!
グリル排気口は、グリル庫内の煙や熱を外に逃がすためのものです。そのため、アルミ箔などで完全に塞いでしまうと、異常燃焼による一酸化炭素中毒や火災・機器焼損の原因になります。またふきんなどの可燃物をグリル排気口の上に置いたままにしていると、熱で溶けたり引火したりすることがあり危険です。グリル排気口の上や周囲には物を置かないようにしてください。

禁止例(4)ガスこんろの下に新聞紙などの可燃物を敷かない!
ガスこんろの下に新聞紙やビニールシートなどの燃えやすいものを敷いてしまうと、飛び散った油から引火したり、放射熱によって着火したりと火災につながるおそれがあります。ガスコンロの下には可燃物を敷かないようにしてください。

今回は、ガスこんろに備わっている魚焼きグリルに注目して、取扱説明書で禁止されている行為をご紹介しました。 ほかにもご家庭にはさまざまな調理器具がありますよね。普段の掃除で取り入れていた時短術は安全なのか、これを機に取扱説明書で確認してみましょう。

これからは秋の夜長で、旬食材を使っておいしいご飯を作ったり、お酒を楽しむおつまみを作ったりと、ご家庭で料理をする機会が増える方も多いと思います。 たまには料理後に、じっくりと調理器具のお手入れをしてみたり、取扱説明書を読んでみたり、そんな過ごし方をしてみるのもオススメですよ。

TOP画像提供:Adobe Stock

取材協力:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、経済産業省所管の法令執行や政策を技術的な面から支援している公的機関です。製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然防止に貢献しています。

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