日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部
日本人の食生活に欠かせない「お米」。海外の方はどのように食べているのでしょう?今回はアメリカ、ブラジル、イタリアのお米事情を現地の方にインタビューしました。
1999年にパリのル コルドン ブルーを卒業し、その後サンパウロで、 18年間レストラン「カピンサント」のオーナーとして活躍。 シェフとしてだけでなく、市立劇場、ブラジル邸博物館、大竹富江研究所などのレストランでブラジル料理の普及をしている。
日本ではお米を主食として食べていますが、ブラジルでお米はどのような位置づけなのでしょうか。まずはブラジルの主食についてうかがいました。
レイテさん:「ブラジルには3つの主食があります。ひとつめは米、そして豆、あとはファロファです。この3つは食卓で同じ皿に盛り付けられ、各自が好きなものを食べます。この組み合わせはブラジルの5つの地域で食事のベースとなっています」
−日本と同じく、お米が主食になっているのですね。主食が3種類あるというのは驚きです!「ファロファ」というのはどのような食べ物ですか?
レイテさん:「ファロファはキャッサバのでんぷんからできている粉状の食べ物です。パン粉とクスクス(モロッコで食べられている粒状のパスタ料理)を合わせたようなものをイメージしてもらうと近いかもしれませんね。」
−なるほど、わかりやすいですね!この3つの主食は、それぞれどのような味付けがされているのですか?
レイテさん:「米にはにんにくや玉ねぎを入れて、塩味をつけます。豆は煮込みにすることが多いです。ファロファには、干し肉やソーセージ、バナナを入れることもあるんですよ」
−バナナを入れるんですか!塩味のお米と一緒に食べるとどんな味がするのか、とても興味があります。 ブラジルではこの3つの主食だけで食事が完了することもあるそう。豆はタンパク質が豊富なので、炭水化物の米やファロファと組み合わせると、栄養のバランスが成立するということですよ。
レイテさん:「私は学校の給食にかかわる仕事もしています。子どもたちが肉や魚を食べたがらなくても、豆のタンパク質があれば安心です。また、裕福な家庭なら、3つの主食に肉や野菜をプラスすることもありますよ」
−米、豆、ファロファのセットは、家庭でも学校でも食べられているのですね。この料理は、週に何回くらいのペースで食べているのでしょうか?
レイテさん:「世界の米料理というと、スペインのパエリアやイタリアのリゾット、インドのビリヤニなどが有名ですね。しかし、これらの料理は現地で毎日食べられているわけではありません。一方、ブラジルでは毎日お米を食べていますよ」
−毎日お米を食べているという点は、日本とブラジルで共通しているのですね。お米がブラジルの食生活に欠かせないことがわかりました。
ブラジルの食生活にお米が欠かせないものであるということをレイテさんから教えてもらいました。日本で私たちが普段食べているお米と、ブラジルのお米の食感や味は同じなのでしょうか?お米の品種について教えてもらいました。
レイテさん:「日本のお米は、もちもちとした食感の品種(うるち米)ですよね。ブラジルのお米はパラパラとした食感です。日本米はお米の粒どうしがくっつきますが、ブラジルのお米はくっつきません」
ひと粒ずつがパラパラに離れているというブラジルのお米。パラパラ食感のお米はイタリアやタイにもありますが、それらとはまた違う品種だそうです。
レイテさん:「豆の煮込みと一緒に食べるとき、豆の煮汁をご飯が吸収して、少しふやけたようなやわらかい食感になります。それを煮込みと一緒に食べます」
豆の風味を吸収したご飯、どんな味がするか食べてみたくなりますね。
ブラジルは、地域によってお米を使ったさまざまな料理があるそうです。レイテさんに2つのお米入りソウルフードを教えていただきました。
レイテさん:「まず1つめは『カンジャジガリーヤ』です。鶏ガラだしのスープにご飯と鶏肉、いろいろな野菜が入っています。家庭では家族の体調が悪い時に、お母さんがいつも作ってくれる雑炊のような料理です。とても栄養価が高くて、女性が出産した後、最初に病院で出てきます」
− 出産後の体をいたわるメニューとしても採用されているくらい、栄養価が高いスープ料理なのですね。
レイテさん:「2つめは『ガリニャーダ』です。煮込んだ鶏肉をフライパンで焼き、割いてお米に加えた、リゾットのような料理で、すぐに作りやすいです。ブラジル人は週末に焼いた丸鶏を食べるのが好きで、残った鶏肉を翌日にガリニャーダにして食べます」
− こちらも鶏肉入りでおいしそうです!丸鶏から作ると、いろいろな部位の肉が入って鶏肉のうまみが濃く感じられそうですね。レイテさんにレシピを教えていただきました。
お米の入ったメニューの次に、お米と一緒に食べる料理についても教えてもらいました。
レイテさん:「ブラジルでは、お米と一緒にシチューを食べます。エビを使ったシチューや牛肉のストロガノフをかけて食べたりします。あとは焼き物を添えることもありますよ」
− シチューやストロガノフと一緒にお米を食べることが一般的なのですね。この場合のお米は、どんな味付けをするのでしょうか?
レイテさん:「ご飯に何かをかけて食べる時は、お米にはほとんど味付けしません。一緒に食べるシチューを引き立てるためです」
− 日本の丼料理のようなイメージでしょうか。あえて主張するような味をつけていないご飯が、シチューのおいしさを引き立ててくれるのですね。
お米が主食、という共通点があるブラジルと日本。いま、ブラジルの若者の間では、日本食がブームになっているそうです。人気のメニューについて教えてもらいました。
レイテさん:「ブラジルの若者は日本の文化が好きで、サンパウロ(ブラジルの都市)には日本食のレストランがたくさんあります。寿司やオムライスが人気なんですよ」
− 海外での寿司の人気はよく知られていますが、オムライスも人気が高いのですね!少し意外でした。
レイテさん: 「オムライスは価格が手頃で、多くの人が食べられるところが人気です。お寿司や手巻き寿司は現地の12〜16歳の子どもたちの間で本当にフィーバーになっています。みんな本当に大好きで、私もよく『学校で日本食を出して』と言われます」
学校給食にリクエストが来るほどの人気とは、すごいですね!
最後に、レイテさんにクックパッドニュースの読者の方へメッセージと、ぜひ食べてみてほしいおすすめのブラジル料理をお聞きしました。
レイテさん:「ブラジルの代表的な作物・キャッサバを使った料理はぜひ食べてみてほしいです。また、先ほどご紹介したエビのシチューもおすすめですよ。さらに、ブラジルではお米に甘い味付けをして食べることもあるんですよ!ココナッツミルクを入れたり、シナモンを入れたりします。これもぜひ食べてみてくださいね」
− レイテさん、ありがとうございました!
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