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「元祖」と書いても味が良くなるわけじゃない ふくや(博多の食と文化の博物館「ハクハク」)

おにぎりの具としても大人気の「明太子」。どうやって作られているか知っていますか? そこで、社会科見学&工場見学を通じて日本のものづくり現場を紹介・応援するメディア「しゃかいか!」が、明太子工場のリポートをお届けします。

ハクハク入り口
博多の食と文化の博物館、略して「ハクハク」!

明太子が出迎え
入り口には明太子が出迎えてくれるでござる。

ハクハク展示イントロ
このハクハクは、ごぞんじ明太子のふくやさんが福岡・博多が全国に誇る「食」と「文化」を広く伝えることを目的に福岡市東区に2013年にリニューアルオープンした博物館。
名前の通り、博多の食べ物のこと、地域の文化などまるッと博多のことがわかるような展示になっています。その理由は、博多に生まれ博多の街に育まれ、ともに歩んできた企業として、地元への感謝の気持ちを忘れず、ともに発展していきたいとの願いから。

博多っ子は、お祭り好き

博多っ子は、お祭り好きばいっ!

博多祇園山笠や博多どんたくなど、お祭り好きな博多っ子。
太鼓の音が聞こえてきそうな大きなパネル。博多祇園山笠は迫力の3D映像も放映されています。

尾崎さんと博多祇園山笠
ご案内してくれた広報担当の尾崎さんも博多祇園山笠の時は血がたぎる!
今日はよろしくお願いします!

博多ラーメンの湯切り体験
博多ラーメンの湯切り体験(水はこぼしません)もできる

黒田長政置物
昨年は大河ドラマ「軍師官兵衛」の舞台として盛り上がった福岡。ご当地のみなさんは官兵衛さんよりも、福岡藩初代藩主である息子さんの黒田長政の方が親しみがあるんですよ。

ハクハク展示
もつ鍋、水炊きなど良く知られているものの他にも、そば・饅頭・羊羹などおなじみの食べ物も実は博多から日本に広がっていったものが少なくありません。(お腹すいてきたで)

楽しい展示の後は、いよいよ明太子の製造現場へ潜入!

濱上さん
工場を一緒にまわってくれる濱上さん!

まずは原料のお話から。

めんたいこのママの魚はなんですか?
明太子のママはなんですか
明太子のママの答え
正解は現地でみてくださいね。ヒントは、北太平洋の寒い海にすんでいて、遠洋漁業で取りに行きます。身はかまぼこ・ちくわ・フィッシュバーガーの材料にもなるけっこう万能のお魚。そのお魚の身はエビを食べると身がピンクがかった色に、白いエサを食べると白くなるんですよ。

漬け込み工程

明太子を漬け込む、漬込室(つけこみしつ)

こちら漬込室では、タレ作りやキズや柔らかさ・色のチェック、唐辛子の振りかけ・タレをかけて熟成といった一連の製造作業が行われます。タレは結構なみなみなみ〜と注がれます。
この漬込室で働く方は20年以上経験のあるベテランさんばかり。

秘密のタレ
ヒ・ミ・ツ!のタレ
漬込室の一番奥にある秘伝のタレタンク!
漬け込み用のタレは、数名の担当者だけで責任もって作られます。

スーパーはしださんがいるぞ

スーパーはしださんがいるぞ!

ふくやの工場の製造課のレジェンド。スーパーはしださんです。
スーパーはしださんは昔のことはなんでも覚えています。もちろん味の記憶も。
「昔の明太子もなつかしいです」というお客様の声から発売当時の昭和24年の味を再現した「復刻」という商品。この開発の中心メンバーとして携わりました。
もう売っていない商品の味まで覚えています。触っただけで粒つぶの良し悪しもわかります。

橋田さん
スーパーはしださんのふだん。「わからないことがあればこの人に聞けばいい」なんでも教えてくれるはしださんは、工場のみなさんにリスペクトされています。

明太子の漬け込みは冷たい
実はこの時、従業員のみなさんが扱う明太子は氷のような冷たさ(0℃)。
保管冷蔵庫から運び出された明太子をのせたトレイにはタイマーがついていて、作業の遅れで温度が上がらないようにするため。口に入るもの、ましてやなま物なので、厳しく管理されています。

計量やランク付けはプロの技

計量やランク付けはプロの技

計量や密封、容器詰め、金属探知やウエイトチェックを行う「計量・パッキング室」
2日間熟成された明太子を容器に詰めて計量します。明太子の重さは1本1本違うので、一定の内容量にするのは大変です。計量では経験と勘がものを言います。

計量ゲーム
計量ゲームもあります。

明太子(めんたいこ風のおてだま)を600グラムにするのはナカナカ難しいです。というか大変です。

計量ゲーム2
でもできた!25秒!

余ったタレ
明太子がパッキングされた後のトレイ。こちらの余ったタレは明太チップスなどに再利用されます。
運ばれる明太子
工場見学でいつも思うのですが、出荷前の商品は何かしら誇りや品が漂っております。

パック・包装
ウエイトチェック
出荷
製造番号の印字や箱詰め、ダンボール詰めの後出荷へ。段ボールのテープの色で商品がわかるようになっています。この日は無着色レギュラーのタイプ。

ホットエンペラー
ふくやの明太子の中で一番辛い「ホットエンペラー」。
汗腺を刺激しまくる辛さ。マーガリンに和えてメンタフランスにしたり、卵かけ御飯にも最適なカラさ。
(見学中は食べられませんのでご注意!)

チームKの選抜メンバー

チームKもいるぞ!

チームK(官能検査チーム)の選抜メンバーのみなさん
見た目、香り、味のチェックを担当するチームです。
ふくやの明太子の味を左右するので、総選挙…じゃなかった社内試験に合格した方が担当するたいせつな工程。

成り立ちや歴史の展示
ふくやの成り立ちや歴史の展示もあります。

川原俊夫さん
ふくやの創業者は川原俊夫さん。戦争が終わって満州から福岡に引き上げ、博多の中洲市場に食料品卸の商社としてスタート。
その後、釜山生まれの川原さんがふくやのオリジナル商品として明太子を販売したのは1949年(昭和24年)。発売当時、朝鮮半島の「明卵漬」を日本風にアレンジした「味の明太子」は、朝鮮半島からの引き揚げ者以外にはあまり売れず、食料品卸でご商売の幅を広げていました。

ふくや創業当時
その後、博多では川原さんの仲間や知り合いづたいに、明太子は徐々に口コミで広がっていきます。昭和40年代には大阪のキャバレーから大口の注文があり、大阪の政財界でも話題になり始めました。その後、山陽新幹線の博多への開通、お土産としての知名度のアップなどを経て、明太子はやがて日本全国へ。そのころ、博多の明太子業者は50社くらいになっていました。
その後、地元中洲の発展に尽力しながら、川原さんは1980年(昭和55)年に67歳で永眠。

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