まな板は、料理に欠かせない道具のひとつですね。みなさまはどんなまな板をお使いでしょうか。
プラスチック製の白いまな板をお使いになっている方が多いでしょう。手入れが簡単で、においもつきにくく、衛生的であることも人気の理由でしょう。
使い方も簡単です。置いてある状態からすぐに使うことも出来ますし、食洗機で洗うこともできますので、忙しい日々には万能な道具ともいえるでしょう。
ひとつ知っておきたいのは、塩素系の漂白剤の溶液で、定期的に表面の殺菌と汚れ落としをすることが大切です。いろいろな食材を切ることで、だんだんと黄ばんしまうからです。普段は、ぱっと使って、ぱっと洗って、濡れたままでも、立てかけておけるので大変便利です。
木のまな板はいかがでしょうか。庖丁のためを考えますと、プラスチック製よりも軍配が上がります。
木の種類によって、柔らかさが違うので、好みの木を選ぶ楽しさがあります。野菜を切ると、トントントンと耳にやさしい庖丁の音が聞こえるのも、木のまな板を使ううれしさでしょう。最近はいろいろな大きさの木製カッティングボードもあり、お皿代わりにも使えるので便利です。
ひのきのまな板は、殺菌力もあり衛生面で優れています。他に、水はけがよい、いちょうのまな板や、朴の木のまな板があります。
最高級では、ねこ柳のまな板が知られています。天然のねこ柳の木材を枡目取りして、一枚板に仕立てた逸品です。刃あたりが柔らかく、弾力性があり、庖丁で切る作業がひとつも疲れません。庖丁のあたる音がなんとも耳にやさしく、そんな料理の音が懐かしくも聞こえるでしょう。いつか使ってみたい憧れのまな板です。
木のまな板は、使う前に必ず水に濡らし、清潔なフキンで水気を拭いてからお使いください。適度な水分でにおいや汚れつきを防いでくれます。使う時は、必ずぬれブキンをそばに置いておきましょう。
木のまな板もプラスチックのまな板も、材料が変わるたびに洗う必要はないと思います。庖丁を斜めにして、左から右に動かして、汚れをとり、ぬれブキンで表面を拭きます。また、材料に合わせて裏と表を使うとよいでしょう。
木のまな板の手入れですが、料理が終わったら冷たい水による水洗いが一番です。肉や魚のにおいがつきましたら、塩をこすっておけば、匂いはさっと抜けて気になりません。普段は、水とタワシで汚れを落とせば充分です。その後は、水気をよく拭いてから、立てかけて陰干ししておけばよいでしょう。
木のまな板は、手入れに多少の手間がかかりますが、料理をする楽しさと嬉しさがあり、心が揺れるものです。両方使いながら、その日の気分で使い分けるのが賢い選択でしょう。
ひとつ言うとしたら、庖丁にこだわる方には、刃先を傷めない木のまな板がおすすめです。
台所に木のまな板がある風景は、なんだか嬉しいものです。トントントンという庖丁の音がいつもの料理をこんなに楽しくしてくれると驚くことでしょう。
文・写真:松浦弥太郎
『くらしのきほん』は、食を中心に、暮らしの基本を学び、楽しみ、基本の大切を分かち合うウェブサイトです。時代が過ぎても、決して古びない、価値のある、暮らしの知恵と学びを発信していきます。トップページでは、1日3回「おはよう」「こんにちは」「おやすみなさい」の挨拶と一緒にメッセージを更新しています。