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コラム

一人暮らしの食スタイルは“型”をつくってシンプルに楽しむ【一汁一菜生活のススメ vol.1】

一人暮らしをされている方にとって、料理とはどういう行為でしょうか。お料理大好き!という方もいる一方で、料理はめんどくさい、継続するのがむずかしいという方もいるでしょう。一汁一菜スタイルで一人暮らしごはんを愉しんでいるフードプランナー・山口祐加さんが、“料理の肩コリ”をほぐすお話をお届けします。気張らず、毎日のごはんをおいしくいただくコツとは?

母の“優しい脅し”で料理を始める

私が料理を始めたのは7歳の頃にさかのぼります。共働きで多忙な母が「娘に夕飯を作らせたらいいのでは?」と思いつき、「ゆかちゃんが夜ご飯作らないと、今晩ごはんないの。作れる?」と優しい脅しを受けて、料理を始めました。

学校の図書館で借りてきた子ども向けのレシピ本を読んで、好きなものを作りました。母に褒められるうちにだんだんと上達し、気づけば料理が趣味に。1人で頑張りすぎずに娘に頼る作戦は名案だったと思いますし、お陰で私は一人前に料理ができるようになって一石二鳥でした。

さて、そんな私は日々「一汁一菜」という食事の型を使って料理をしています。一汁一菜(いちじゅういっさい)とは、ご飯を中心に汁物(一汁)、おかず(一菜)を一品ずつで組み立てる和食のスタイルです。

2016年に料理研究家の土井善晴先生が出版した『一汁一菜で良いという提案』(グラフィック社)で、「忙しい中でも料理を続けられる必要最低限の食事」として受け入れられ、一気に認知度が上がりました。インスタグラムでは#一汁一菜のタグが3万投稿を超えており、日々実践している人が多い様子が伺えます。

型が決まっていると気持ちが楽に

私は一人暮らしを始めた大学生の頃から、無意識に一汁一菜で料理を作っていました。

一人暮らしの料理は基本自分しか食べませんから、小鉢をたくさん並べるような手間のかかるハレの日の料理を作る必要はありません。少ない材料でさっと作れて、洗い物も極力少ない料理を考えたときに自然とたどり着いたのが一汁一菜でした。

「ご飯と汁物」が基本で、余裕があったらもう一品「一菜」を足すだけ。型が決まっていると、献立を考える手間が省かれて、気持ちが楽になります。基本、おいしい汁物を作ることをだけを考えればいいのです。

2013年の自炊写真。かぶと豚バラ炒め、サツマイモのみそ汁、ごはん

名前がついた料理は少ない

ここでちょっと料理の考え方の話を一つしたいと思います。

「料理=レシピに沿って作ること」と思いがちですが、「料理=食材を食べやすい大きさに切り、火を入れ(サラダなどはそのままで)、味をつけるだけ」と私は考えています。

食材はそれ自体にすでに味や風味があるので、最低限の味を足すだけでおいしくいただけます。ですので私が日々作るおかずは、肉じゃがや生姜焼きなどの名前がついた料理は少なく、「食材×調理法」で組み立てる料理がほとんどです。

今の時期であれば、「いろいろきのこ(食材)の甘辛炒め(調理法)」「里芋と鶏肉(食材)の煮物(調理法)」など、スーパーで食材を見ながら調理法を決めて料理します。

一汁のほうはというと、私はもっぱらみそ汁を作っています。みそ汁は中途半端に余った食材をなんでも受け入れてくれる、懐の深い「自炊の相棒」です。型にとらわれず、ぜひ「これはどうだろう?」という軽い心持ちで作ってみてください。

私は汁物を毎回作るのが少し面倒なので、夕飯時に翌朝の分もまとめて2食分作って、次の日の朝食に食べます。毎食違う具が良いという人は、具なしみそ汁を作っておいて夜と朝で具を変えると楽しめますよ。

また、外食が続いていたり炭水化物を控えていたりするときは、大きいお椀たっぷりの具だくさんみそ汁を食べると身体にいいことした気分になっておすすめです。

一汁一菜の型が決まっていると、あとはその型に当てはめて料理をするだけ。それがゲームのようで楽しいのです。

一菜は必ずしもおかずを料理する必要はなく、ご飯が進むしゃけフレーク、梅干し、ふりかけなどでも良い。時間がないときはご飯だけ炊いて冷凍しておいて、一菜はデパ地下の惣菜でも良い。一汁はインスタントのみそ汁でも良い。

堅苦しく考えず、マイペースに一汁一菜生活はじめてみませんか?

山口祐加

フードプランナー、ライター。1992年東京生まれ、慶應義塾大学総合政策学部卒業。出版社、PR会社を経て独立。両親共働きで、母親に「ゆかが料理を作らないと晩御飯ないよ」と笑顔でおどされ、7歳のときに料理に目覚める。一人暮らしを始めた時から一汁一菜を実践し、TwitterInstagramnote など、SNSを中心に料理と食の楽しさを発信中。好きな食べ物はみそ汁。

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