ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず♪ あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!
「お豆腐好き」の中でも大きく意見が別れるのが、「もめん派」と「きぬ派」。皆さんはどちらでしょうか?
好みは人それぞれですが、そもそも「もめん」と「きぬ」の違いを詳しく説明できる方は少ないのではないかと思います。最も大きな違いは食感ですよね。比較すると、「もめん」はしっかり噛み応えがあり、「きぬ」はなめらか。では、この食感の違いはどこからくるのでしょう?
それはずばり、製法の違いにあります。実は、大豆から豆乳を絞るまでの工程は、濃度の違いがあるものの、「もめん」と「きぬ」は共通しています。大きく異なるのは固める工程です。
今回は、普段何気なく選んでいる「もめん」と「きぬ」の成型方法の違いと、それぞれの特性を活かしたお料理についてお話ししたいと思います。
まずは食べ応え十分な「もめん」。豆乳に凝固剤(よく知られているものだと「にがり」)を加えて固めた豆腐を、なんと一度崩してしまうんです。そうすると、お豆腐から水分と油分が分離してきます。さらに、穴の空いた型箱に布を敷き、崩した豆腐を詰めて、重石で圧搾しながら固く締まった食感に仕上げていきます。
水分を切りながらたんぱく分をぎゅっとつなぎ合わせるのが「もめん」なので、同じ重さであれば、カロリーもたんぱく質量も「きぬ」より高くなります。
「もめん」の素晴らしい特徴は、固さはもちろんのこと、その弾力! パックから出したもめんを軽く水切りしてから、手やすり鉢でよ〜く練ると……粘りと弾力が出てくるのです。(フードプロセッサーだと、より柔らかくなります)
ここに、お好きな具材と、つなぎに山芋などを加え、丸めて揚げれば自家製「がんもどき」の完成です! 人参・ひじき・ごぼうなど、定番の具材に限らず、市販のがんもどきには見られないようなオリジナル具材で作る「洋風がんもどき」もおすすめですよ。枝豆やコーン、ベーコンやツナ缶など。おまけに粉チーズやパセリなどを加えれば、トマトソースやタルタルソースを付けても美味しい一品に♪
地域によっては、「ソフトもめん」という「きぬ」のように柔らかいお豆腐も多いですが、「がんもどき」にはできるだけ固めの「もめん」を選びましょう。
上品さを感じる舌触りのなめらかな「きぬ」。「もめん」よりも濃い豆乳を大きな型箱に注ぎ、凝固剤を加えて固めます。ぷるっとしたゲル状に固まったら、大きな水槽の中で水にさらしながら一丁の大きさにカットしていきます。
「もめん」のように、お豆腐を崩してプレスをしながら水分を分離させるような工程はありません。だから「きぬ」にはしっかり水分が残り、噛まずとも飲み込めるような柔らかな豆腐に仕上がります。
「きぬ」は冷奴やお味噌汁以外に向いていないのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、きめが細かくクリーミーな「きぬ」は、あんかけやグラタン風などにもぴったりなのです。
そして、これからの季節にオススメなのが、ポタージュ。かぼちゃや人参、ほうれん草やアボカドなど食材を変えて楽しめます。豆乳で作るよりも、とろみがつくので腹持ちが良く、忙しい日の朝食や、胃に負担をかけたくない夜食にいかがでしょうか。
料理ごとに使い分けを楽しんでいるうちに、いままでは「きぬ派」だった方が「もめん派」になるかも!?それぞれのお豆腐の特性を活かして、料理ごとに使い分けを楽しんでみてくださいね。
幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。
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