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コラム

「折れない心」をそだてる食育!失敗料理からの“三変化レシピ”【今日から始める親子クッキング vol.3】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

子どもの頃の「失敗」は温かい

明けましておめでとうございます。お正月にはいろいろな抱負を掲げたくなり、自然と志が高くなりますね。あれがしたい、これができるようになりたい……。

「目標」は結果につい目を向けがちですが、私は子どもにそこに至るまでに経験した「失敗」って大切、ということを学んでほしいと思っています。なぜなら、失敗こそ成功へとつながる道しるべだからです。「失敗を怖がる必要はないよ」ってことを、何百回でも子どもに伝えて、その意味を心の底から理解してほしい。

実は、小さい頃の失敗ってとっても温かい失敗。なぜって、子どもが失敗しても、すぐそばに慰めてくれる親がいる。

思いっきり失敗して、悔しくてって大泣きする……でもママに抱きしめてもらえば、心がキューっと締め付けられながらだんだん悲しい気持ちが消えていく。子どもは、親の温かさを感じながら、失敗による負の感情を自分自身で心をコントロールして乗り越えることができるようになります。

親はすかさずもう一歩踏み込みます。失敗をしてどんな気持ちだったかな?失敗したものから生み出せるものはあるかな?とひも解きます。そうすると、子どもはハッと自分自身で新しい発見をします。

もうここまでやったら、失敗したからこそ得られることの多さに気が付くはずです。親としては、子どもの失敗を大切にしないなんてもったいなくなりますよね。

幼児期の失敗は、温かい逃げ場があり、親と一緒に乗り越える練習ができます。なので、たくさん失敗して、とことん失敗に向き合って、頭をフル稼働して失敗を活かす方法を探しましょう。「失敗」ってものすごいチャンスなんです。

“失敗料理”からの三変化レシピ

さてさて……お決まりの流れで恐縮ですが(笑)、「卵割り」はまさに失敗を経験して、その悔しさを創造で乗り越える格好の機会。

「卵割り」は、慣れるまでは子どもの小さな手ですから失敗もします。そんな時は、失敗した卵の数に応じてどんどん料理を変えてみましょう!

1個の卵を割って目玉焼きを作ろうとしていたけど、ぐちゃっと割れちゃった。じゃあ今日は2個割って卵丼にしよっか。お昼ご飯になるね!

それでもまた失敗。3個目を割ります。そしたら全部使って卵たっぷりのキッシュにしよっか。キッシュに冷蔵庫の残り物のお野菜入れてみます。

なんと偶然、苦手なほうれん草を発見! キッシュに入れて焼いてみます。作ってしまった手前、恐る恐る食べてみます。するとどうでしょう! 「……ほうれん草、美味しい!!」

そうです。卵割りの失敗を活かした結果、苦手な食材が食べられるように! 1回目で成功していたら、こうはなりませんでした。

失敗してしまって悔しかったかもしれないけど、それを乗り越えて、失敗を活かす。そして失敗したからこそ出会えた体験をする。こんな経験を通して、純粋な子どもの心には、「失敗」は悪いことではなく、「失敗」との向き合い方が全てを左右することを肌で感じるのではないでしょうか。

子ども用イラストレシピ。まずは目玉焼きの作り方

割るのを失敗しても大丈夫!卵2個で卵丼を作ろう

2個失敗しちゃったら3個目を割って、キッシュに挑戦

火を使うお料理の時は、「子ども軍手」を着用して作業すると火傷の心配もなくて安心♪

2019年の「子育ての目標」は?

「でも、キッシュなんてオシャレなものは面倒だなぁ」……わかります! そんな時は、「卵失敗しちゃったけど、そのおかげでたくさん食べられたね! お腹いっぱいだね。ありがとう」。もうこれだけでも十分!

料理って手軽に失敗しやすいし、その失敗を活かしやすい。大切なことは、料理を通して失敗の大切さを学んでもらうことです。

最後になりましたが、2019年の私の子育ての目標は、以下の3つです。

  • 子どもにたくさん「失敗」をさせてあげる
  • 失敗したからこそ見える、新しい発見があることを実感してもらう
  • 「あの時失敗してよかった」というマインドを持ってもらう

ちょっとやそっとのことじゃ折れない心をそだてて、強い人間になってもらいたいと願っています。それでは皆さま、今年もよろしくお願いいたします!!

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2歳児から始められる料理教室を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。
【HP】https://little-chef-cooking.com/
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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