「お菓子はレシピ通り作れば、必ずおいしく作れます」と話すのは、お菓子研究家・福田淳子さん。丁寧なレシピとその再現性の高さで人気の福田さんに、この連載では材料4つで作れる“本当においしいお菓子”を紹介していただきます。初回は「ロールケーキ」。シンプルだからこそ、おいしく作るコツがたくさん。早速見てみましょう!
みなさん、はじめまして。お菓子研究家の福田淳子です。
小さな頃からお菓子作りが大好きで、今は仕事としてお菓子を作っています。
プロとして仕事をしていますが、私が主に扱うのは「おうちで作るお菓子」です。
みなさんが自宅で、いわゆる普通の道具と材料を使って、おいしいお菓子を作るための研究を日々しています。
「お菓子作りって難しいですよね」とか「特別な道具とか材料とかが必要ですよね」とよく聞かれます。もちろん、そういうお菓子もあります。でも、すぐに手に入る身近な材料だけでも、おいしくて見た目もすてきなお菓子を作ることはできます。
おうちでつくるお菓子に大事なのは「思い立ったらすぐに作れて、食べて幸せになれること」だと思っています。
この連載では、たった4つの材料だけを使って、とびきりシンプルで、でもとってもおいしいお菓子の作り方を紹介していきたいと思っています。
初回のメニューは「ロールケーキ」です。
しっとりとした卵色の生地に、ホイップクリームを「の」の字に巻いたロールケーキはクラシカルスイーツの定番。シンプルの極み、と言えるケーキです。
見た目もお味もシンプルですが、いろんな層の人に愛される鉄板なお菓子でもあります。
ふわふわ食感の生地を作る最大のポイントは「卵をしっかりと温めて、泡立てる」こと。
クリームの巻きはポイント云々よりも慣れです。よく「巻くの上手ですねえ」と言われるのですが、たぶん人生で500本くらいは巻いているのです、ロールケーキ(笑)。器用とかではなく、数をこなしたから上手なのです。
工程は少し長めですから、最後までレシピを読んでから始めましょう。シンプルだからこそ、丁寧さの積み重ねが大事になります。そこをぜひ忘れないでくださいね。
<ロールスポンジ(27×27cmの天板1枚分)>
※型がない場合は作り方下部の「ロールケーキ型を作ろう」を参照
・卵(M)…4個
・上白糖A…85g
・水…大さじ2
・薄力粉…60g
<クリーム>
・生クリーム…180ml
・上白糖B…大さじ2
・卵は室温に戻す。
・薄力粉は1度ふるう。
・型にオーブンシートを敷き、オーブンを190度に温めておく。
*オーブンはしっかり予熱しておくことが大切です。設定温度になってからさらに5分以上温めておきます。
1.ロールスポンジを焼く。ボウルに卵、上白糖Aを加えて軽く混ぜる。フライパンに湯を沸かし(分量外)、50度位(ぎりぎり触れるくらいの湯の温度)になったらボウルを湯煎にかけて泡立てる。卵液が人肌(36度くらい)になったら湯煎からはずす。
*ここでしっかりと生地を温めることが大切です。生地の温度が低いとどんなに泡立ててもしっかりと泡立ちません。
2.さらにしっかり、もったりするまでハンドミキサーで泡立てる。泡立て器ですくうと、ゆっくり落ちて生地が重なり、リボン状になるくらいが目安。
*しっかりと温めた生地をよく泡立てることがふわふわの生地になる秘訣です。
3.2に水を加えて泡立て器でよく混ぜあわせる。薄力粉の半量をまんべんなくふるい入れる。泡立て器で粉が見えなくなるまで混ぜる。残りの薄力粉もふるい入れ、同様に混ぜる。
4.粉が見えなくなったら生地に一体感とツヤが出るまでゴムベラで全体をよく混ぜ合わせる。生地を型に流し入れ、ゴムベラで均一にならす。
型を20cmくらいの高さから1回落としてから、190度に予熱したオーブンで12~13分ほど焼く。全体に焼き色がつき、真ん中を軽く押して弾力があれば焼き上がり。
5.型からはずし、シートごとケーキクーラーにのせて焼き目を上にして冷ます。
6.ボウルに生クリームと上白糖Bを入れ、ボウルの底を氷水にあてながら九分立て(しっかりとかたい角が立つ)に泡立てる。
ほんのり生地が温かいうちに、オーブンシートの上に焼き色の付いた面を下にして生地を置き、オーブンシートを丁寧にはずす。奥側をは3cmほどあけて、まんべんなくクリームをゴムベラで塗り広げる。
7.手前から巻き込むようにしてひと巻きしたら、そこを芯にして、下に敷いたシートを持ち上げながらそのまま最後まで巻く。オーブンシートの上から、ケーキの巻き終わりに定規を押し込む。下のシートの奥側をもう一方の手で押さえながら、定規を手前に引いていき、しっかりとケーキを締めて形づくる。
8.ラップに包み、巻き目を下にして1時間以上、冷蔵庫で寝かせる。ケーキを湯で温めたナイフで切っていただく。
*できれば半日以上寝かします。寝かすことで生地に水分がほどよくなじみ全体にまとまりが出ます。またしっかりと寝かせた方がカットした時もきれいに切れます。
アレンジメニューは今の時期においしい「いちご」を使いましょう。ふわふわの生地にいちごの酸味がよく合います。見た目もよりキュートに。
作り方
基本の分量、作り方から以下の部分を変更します。
お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順で美味しく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本の本は30冊以上。
【Instagram】@junjunfukuda