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コラム

映画「ミッドナイトスワン」での体当たり演技が話題に!草彅剛さんが語る映画のみどころと「食」の大切さ

草彅剛さんが初のトランスジェンダー役に挑み、話題となっている映画「ミッドナイトスワン」が9月25日に公開されます。そこで今回は主人公・凪沙を演じた草彅剛さんに映画のみどころや役への思いをインタビュー! さらに劇中に登場する食事のシーンにちなみ、草彅さんと監督の内田英治さんに自身の「思い出の味」についても聞いてみました。

役との出会いは神様が与えてくれたもの

――最初に台本を読んだ時の感想を教えてください。

草彅:読み終わったあと、涙があふれてきました。“ビビビ”って雷に打たれたような、自分でもうまく説明できない感覚で、それと同時に「この役は絶対に自分がやりたい!」と思ったんです。そして、早く誰かにこの作品のすばらしさを伝えたくなりました。

どの作品も役って神様がくれるものだと思っているんですけど、今回は特に結びつきを強く感じて、台本を読んだ時点で“これは自分の代表作になる”と確信しました。

トランスジェンダー役に初挑戦

――トランスジェンダーの凪沙(なぎさ)を演じるうえで難しいと感じたことは?

草彅:難しい役ではありますが、現場の空気感を大事に撮影できたことで凪沙という役を作りあげることができたと思います。内田監督からも特に細かい演出は受けなかったんですよ。「草彅さんにはあれこれ言わないほうがうまく進んでいく」と思ったみたいで、僕にとってもそれがすごくやりやすかったですね。

会話はなくとも、“暗黙のディスカッション”で僕なりに監督の作品に対する愛情や思い、雰囲気を感じ取ることができたし、一果(いちか)役の服部樹咲ちゃんの一生懸命な空気も感じられて、それがいちばんの役作りになりました。すごくいい経験ができました。

――女性らしさを表現するために意識されたことは?

草彅:あまり女性っぽくしすぎてもよくないなと思って、意識しすぎないようにしていました。ハイヒールも履くと自然と女性らしい歩き方になるんですよ。あと、監督が爪の色や靴の色にすごくこだわっていて、メイクさんや衣裳さんとすごく緻密に計算しながらやっていたのを覚えています。髪の長さやウェーブの仕方も細かく場面によって変えていたり。そういうところも注目していただけるといいと思います。

一果のお芝居に心動かされた瞬間

――印象に残っているシーンは?

草彅:どのシーンも欠けてはいけない大好きなシーンですが、凪沙が一果を抱きしめながら「うちらみたいなんは、ずっとひとりで生きて行かなきゃいけんけえ…強うならんといかんで」と言うところが印象に残っていて、そこでの樹咲ちゃんの演技がすごくて、台本で読んでいたよりもいいシーンになったと思います。

樹咲ちゃんは初めての演技ということで、監督も付きっきりで指導をされていたのですが、それらを踏まえながら彼女はいろいろなものを吸収して、本番ではもう一果になっていたので、僕も人の心配をしている場合じゃないなって焦りましたね(笑)。

草彅さんと内田監督に聞いた!「あなたの思い出の味」

――映画では、凪沙が一果に「ハニージンジャーソテー」を作ってあげる場面がありましたが、そのシーンの撮影はいかがでしたか?

草彅:全編見たときに、とてもほほえましく、かわいらしいシーンになっているなと思いました。きっと凪沙は料理がうまいほうではないと思うけど、それでも一果のために得意料理を作ってあげるという。そこから一果も少しずつ心を開いていくので、「食」って本当に大事だなと思いました

――草彅さんや監督にとっての思い出の味は?

草彅:うちの母ちゃんが作る「たこやき」です。ただ、食べたあとになぜかおなかが痛くなるんですよ(笑)。しかも毎回。変なものが入っているわけでもないのに…謎なんですよね。結構こってりしているから、もしかしたら油が合わないのかもなぁ。でもそれがおいしいんですけどね。出汁や生地の調合にこだわっているらしいんですけど、詳しい作り方は教えてくれませんでした。

内田監督:母の作った料理で印象に残っているのは、「めちゃめちゃシンプルなサラダ」です。トマトを切って、レタスをドーンと乗せるみたいな(笑)。僕はブラジルで育ったのですが、ブラジルの食卓って日本に比べて品数が少ないんですよ。おかずは大体1品か2品で、肉とサラダとパンで終わりみたいな。

だから日本に帰ってきたときは、おかずの多さに驚きました。僕はどの家庭も肉とサラダが出てくるものだと思っていたし、それがいちばんおいしいものだと信じ込まされていたので、日本でたくさんおかずが食卓に並んだのを見たとき「だまされてたのか?」って思いました(笑)。でもそれが今となってはおふくろの味です。

――ちなみに、お二人は自分で料理はしますか?

内田監督:僕はしないですね。それこそ、野菜を切ってサラダを作る程度です。

草彅:僕は好きですね。最近作ったのは「冷奴」。ネギを刻んで乗せたり、味付きのりや市販の食べるラー油をかけて食べました。お米もちゃんと炊いてますよ。お米にキムチとお肉って最高の組み合わせですよね!

――最後に、クックパッドニュース読者にメッセージを!

草彅:クライマックスに向けて一果と凪沙の心が通い合っていく、その様子がとても感動的なのでぜひ見てほしいです。よろしくお願いします!

(TEXT:河野友美子)

映画『ミッドナイトスワン』2020年9月25日(金)ロードショー

©2020Midnight Swan Film Partners

■ストーリー:新宿のショーパブ<スイートピー>で働くトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)。心の葛藤を抱え生きてきたある日、凪沙の元に、故郷の広島から親戚の娘・一果(服部樹咲)が預けられる。「好きであんた預かるんじゃないから。言っとくけど、わたし子供嫌いなの」。男性だと思い訪ねてきた一果は凪沙の姿を見て戸惑うが、二人の奇妙な生活が始まる。
バレエ教室の前を通りかかった一果はバレエ教室の先生・実花(真飛聖)に呼び止められ、後日バレエレッスンに参加することになる。
やがて、バレリーナとして一果の才能を知らされた凪沙は一果の為に生きようとする。そこには「母になりたい」という思いが芽生えていた―。

■出演:草彅剛、服部樹咲(新人)、田中俊介、吉村界人、真田怜臣、上野鈴華、佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖
■監督・脚本:内田英治
■音楽:渋谷慶一郎
■公式サイト:midnightswan-movie.com

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