“クックパッド芸人”を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。1人(ソロ)で作って1人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。第22回のテーマは「みかん」。そのまま食べるだけじゃもったいない! おかずにもサラダにも合う万能ソースを作ります。
12月も半ば過ぎごろ頃から急に寒さが増して、ベランダで寒風に吹き荒ぶ洗濯物たちは貴重な休日の外出する気力を削いでいく。
暖房の効いた部屋の中でぬくぬくとテレビをつけて、路線バス旅の再放送を見るでもなく眺める昼下がりの休日。
目の前に置かれたみかんの山に手を伸ばしながら、みかんって食べていると指が黄色くなってくるんだよなとぼんやり考える。そういえば東京では不要不急の外出を自粛しろなんて要請があったから結果的にはこれで正解なんだろうな。
考えてみれば、みかんほど日本人に関係が深い果物はないのかもしれない。
日本人はみかんが好きだ。
2つめのみかんの皮を剥きながらふとそんなことを思った。
日本の冬の定番の景色といえば、深々と降り積もる雪、部屋の中では煌々と橙色の炎を湛える石油ストーブの灯りと湯気の立ち上るやかん、そしてここが居場所だと言わんばかりに中で猫が包まっているこたつ、その上には「みかん」。
暗い雪原をひた走る列車旅、スーツケースを向かいの席に置いて一人で腰掛ける4人がけのボックスシートの窓際には、駅のホームで買った幕内弁当と赤い網に入った冷凍の「みかん」。
海風吹き付ける山間の港町、海を見下ろす様に並んだ山の斜面には棚田状になった段々畑、低木一杯にオレンジ色の身を実らせた「みかんの木」。
そういえば “SEX MACHINEGUNS’’ というメタルバンドが「みかんのうた」という楽曲で『こたつにみかんが無い家は日本の心を失くしてる 日本の心を取り戻せ』(※)と歌っている。
スーパーに行くと青果売り場では常時数種類のみかんが売られているし、全くみかんって本当に大衆的で日本人に愛されている果物だな…すでに目の前には3つめのみかんの皮が積まれている。
そうだ、日本人のみかんの英才教育は小学生頃から始まっているんじゃないか?
『太郎くんはお母さんにおつかいを頼まれたので、八百屋で1コ100円のみかんを8コ買いました。全部でいくらになるでしょう?』
小学校低学年の算数の問題にもみかん。
生活だけでなく子どもの学習にまで影響を及ぼすみかん。
そうだみかんって白い房の筋が栄養価が高いなんて聞いたことあるけど本当だろうか。
この筋を爪の先で綺麗に取ってツルツルの状態にしてから食べるヤツとかいたなあ。
みかんは筋なんて取ってたらキリがないんだよ、ザックリ皮を剥いて2〜3房そのまま口に放り込む、4つめ。
……。
だめだ!みかんはあれば食ってしまう。惰みかんを貪ってしまう。
そうだ!! 今日はみかんをソースにして色々と楽しもう!!
みかんソースで楽しむおかずレシピだ。
みかん特有の柑橘系の柔らかな酸味と甘味が良いバランスで素材を引き立てている。それにいい香りだ。後入れしたつぶつぶのみかんも存在感があっていい。
淡白系のおかずにサラダ、揚げ物、焼物でもそれこそ何でも相性良いな。
これつまりはみかんを段ボールで買って隅っこの方のだけ腐らせてしまった、なんて前にソースに加工してしまえばこっちのもんてわけだ。
まあ一人暮らしで段ボールでみかんなんて買わないから1袋ずつ買うわけだけど……あ、しまった!!
ソースでみかんを使い切ってしまった。最後にひとつくらいそのまま食べたかったな、みかん。
※『みかんのうた』(作詞・作曲: Anchang)より引用
料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。
>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活」