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コラム

節分は豆腐を食べると縁起が良い!おすすめ料理はバリエーション豊富な「豆腐田楽」

【工藤詩織の「お豆腐」進化論 Vol.26】ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず。 あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!

「立春大吉豆腐」とは?

皆さんは「立春大吉豆腐」のことをご存知でしょうか?

暦の上では春の始まりである立春と、その前日の節分の2日間に食べるお豆腐をこう呼ぶそうです。真っ白なお豆腐は邪気を追い払うと言われ、節分にお豆腐を食べることで身を清め、翌日の立春にも口にすることで幸福を呼び込むことができるのだとか。例年、お豆腐を振る舞う神社や、この期間限定の豆腐を店頭に並べるお店もあります。

節分にまつわる食べものといえば、福豆や恵方巻きが定番ですが、より身近な食材であるお豆腐で縁起担ぎになるならば実践しやすいですね。ちなみに今年の節分は2月2日、立春が2月3日です

時代を超えて愛されてきた豆腐レシピ

こうした季節の移ろい感じる機会に、歴史と趣を感じる豆腐料理を作ってみるのはいかがでしょうか? 例えば豆腐が本格的に普及したと言われる江戸時代に、各地の茶屋で提供されていた「豆腐田楽」。江戸庶民にとってファストフードのような存在の一品です。

豊橋や伊賀を始めとした地域では、大根葉などを乾燥させ炊き込んだ菜飯をセットにした「菜飯田楽」が名物となり、京都祇園の八坂神社の門前では二軒の腰掛け茶屋(二軒茶屋)が「祇園豆腐」と呼ばれる田楽を提供し、人気を博しました。

このコラムで何度か話題にあげてきた江戸時代中期刊行のベストセラー料理本『豆腐百珍』にも、客引きの一環の実演としてまな板の上で豆腐をトントンとリズムよく切る女性の姿が挿絵として描かれています。

現代でも、各地の郷土料理を提供する飲食店や、風格のある料理店など各地の飲食店で提供されている田楽は、時代を超えて食されてきた豆腐料理と言えます。ちなみに、著書『まいにち豆腐レシピ』(池田書店)では、『豆腐百珍』の中からご家庭でも手軽に再現できるレシピを数品ご紹介しています。

味噌だけじゃないアレンジ田楽豆腐

『豆腐百珍』では、なんと14種もの田楽レシピが掲載されています。

冒頭に登場するのは「木の芽田楽」。こってり甘めの田舎味噌に山椒の爽やかな香りを忍ばせた王道の田楽です。こんにゃくやナス、生麩を使った田楽でも、田舎味噌は定番の味付けですね。

他に、どんな田楽があるかというと、例えば、ピリ辛味噌を塗る「交趾田楽(こうちでんがく)」や、醤油と梅のペーストを合わせた「浅茅田楽(あさじでんがく)」 、味噌田楽に餅をトッピングした「繭田楽(まゆでんがく)」。

さらに、卵を何重にも塗り焼く「鶏卵田楽」や、生ウニを酒で溶いて塗った贅沢な「海胆田楽(うにでんがく)」など、田楽の既成概念を覆す様々なアレンジに興味津々!他にも、一度豆腐を揚げてから田楽にする非常に手間がかかった調理法も。現代では厚揚げを薄切りにして再現できそうです。クックパッドにも一工夫された田楽レシピが投稿されていましたのでご紹介します。

ホットプレート料理の合間に焼いても楽しい

著書『まいにち豆腐レシピ』(池田書店)の中ではオーブントースターまたは魚焼きグリルを使用していますが、複数人でも楽しめるのがホットプレートや焼肉用の鉄板を使った調理法です。

私は焼肉の際に、水切り豆腐を用意して、空いたスペースで田楽を焼き、副菜にしています。味をつけていない豆腐を串刺しにして表面を炙ったら、お好みの調味料で味付けをして再び焼き目をつけて完成。チーズをトッピングしたり、焼肉のタレやお好み焼き用のソース、コチュジャンを混ぜた辛めの味噌などを塗っても美味しいです。

前述した厚揚げを使えば水切り時間も一気に短縮できて嬉しいですね。 串に刺さっている田楽は食べやすく箸休めの一品にもぴったりで、バーベキューなどアウトドアの際にも重宝します。

いかがでしたか? 歴史を辿って江戸時代のレシピを再現したり、自由な発想でアレンジをしたり、ぜひ楽しんで豆腐田楽を作ってみてくださいね!

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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