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コラム

江戸時代のおかずランキング、堂々1位!ご飯が何杯もすすむ「豆腐」のおかずとは!?

【ほっこり江戸ごはん Vol.1】江戸好きが高じて、地毛で「ちょんまげ」まで結ってしまった江戸マニアの伊尾木将之さんに、江戸時代のレシピとともにほっこりエピソードを教えてもらいます。初回は、江戸時代の料理番付で1位を獲得した「豆腐」のおかずをご紹介。

「ちょんまげ」にしてみたときの苦労話

おはようございます、こんにちは、こんばんは。
江戸時代が大好きで江戸の食文化を研究している伊尾木と言います。

こちらの連載では、江戸時代のとてもおいしいレシピと、当時のほっこりエピソードなどを紹介させてもらえたらなと思っています。

ちなみに、江戸好きの勢いがあまって去年髪型を「ちょんまげ」にしてしまいました。頭のてっぺんをちゃんと剃る、月代(さかやき)タイプのちょんまげです。

江戸時代のことを身をもって理解したくてやってしまったのですが、大変だったのは、1年半髪を伸ばしたことと、奥さんの了解を得ることでした。

最初、奥さんは大反対していたのですが(そりゃそうですよね。突然ちょんまげとか言い出すほうが悪い)、最終的にはイヤイヤながらも期限付きで承知してくれました。本当に感謝です。
奥さんに足を向けて寝れません。奥さんは僕に足を向けて寝ていますが...。

ちなみに4歳の子どもは僕のちょんまげを見て「ボクもちょんまげにする!」と言い出しました。親子揃ってのちょんまげ! と夢が膨らみましたが、さすがにそれは奥さんに却下されました。

江戸時代の料理番付1位の料理とは?

さて、そんな個人的な話はおいておき、第1回目に紹介するのは「八杯豆腐(はちはいどうふ)」という豆腐料理です。

お豆腐は今も人気のある食材ですが、江戸時代でもウケがいい食材でした。特にこの「八杯豆腐」は江戸時代の料理番付で堂々1位を獲得したほど人気の高いおかず。作り方はとてもシンプルなのに、素朴でおいしい一品です。

今回は、「豆腐百珍」という江戸時代の大ヒットレシピ本を参考に、現代でも作りやすいように変更したレシピを紹介します。

基本の材料は、豆腐、醤油、料理酒と水だけ! 大根おろしはお好みでOKです。醤油1に料理酒1、そして水を6の割合で汁を作るので、「八杯」豆腐と言われています。

作り方

鍋に水、酒、醤油を入れて、そのまま煮立てます。この段階で味見して、少し醤油が強いかなと思ったら、水を加えて調整してください。

そこに、太めのうどんのように切った絹ごし豆腐を入れます。入れるときに崩れやすいので、そっと入れてください。

煮立ったら完成! 器によそって、お好みで大根おろしを添えてください。醤油と温かい豆腐が絶妙で、ご飯が何杯でもすすむ味です!

食べごたえも十分なので、後一品どうしようかなという時にぜひ作ってみてください!

江戸のほっこり話

さきほどちらっと紹介した「豆腐百珍」は豆腐のレシピだけを100個集めたレシピ本です。そんなレシピ本が出るくらいに、江戸時代の豆腐人気は凄かったんです。 そして、留まるところを知らない豆腐人気は、ついに豆腐のゆるキャラまで作り出しました。豆腐小僧という妖怪です。

(豆腐小僧:国立国会図書館デジタルコレクション:夭怪着到牒 2巻)

妖怪といっても、特に何の能力ももたず、どちらかというと非力な弱い妖怪で、ときにパシリにされたりしたようです。ところが、江戸時代の人たちは「そこがまたかわいいー」とほっこりしていたようで、こういう感覚は現代のゆるキャラとも繋がっていて、面白いですね。

ちなみに豆腐小僧が持っている豆腐には紅葉の模様がついています。これは「紅葉=こうよう=かうよう=買うよう」という洒落で、実際にこういった模様の豆腐が江戸にあったらしいです。[1]

[1] アダム・カバット, 江戸の可愛らしい化物たち, 祥伝社, 2011.

伊尾木将之

大阪出身のうさぎ好き。修士までは物理を学び、博士課程で情報系に進むも撃沈。現在はクックパッドでエンジニアをしながら、食文化を研究している。
日本家政学会 食文化研究部会の役員を務める。
2020年秋から社会人大学生(文学部)に。
本業は川崎フロンターレのサポーター。

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