cookpad news
コラム

保育園の献立を家でも!料理の負担が軽くなるYouTubeチャンネル「あおいの給食室 / 子どもが食べる魔法のレシピ」

【注目のYouTube料理チャンネル Vol.9】YouTubeの人気ジャンルの一つでもある「料理」。数多あるチャンネルの中で、何を観たら良いかわからないという方も多いはず。本連載では編集部がいま注目しているチャンネルをご紹介します。

管理栄養士が“子ども向けレシピ”を紹介する「あおいの給食室 / 子どもが食べる魔法のレシピ」

連載第9回目は「登録者数14.1万人(2021年3月25日現在)の「あおいの給食室 / 子どもが食べる魔法のレシピ」に注目しました。管理栄養士として、実際に保育園に提案している献立を動画で紹介することで、料理に困っている親御さんを応援しているチャンネルです。それでは、動画を配信されているあおいさんにお話を伺ってみましょう!

視聴者の要望に応えてコンセプトを柔軟に変えている

−−まずはじめに、YouTubeを始めたきっかけを教えてください

あおいさん:コロナの影響で、保育園での訪問食育ができなかったことがきっかけです。2019年まで全国の保育園にお伺いし、保護者向けに食育講演を行っておりました。しかし2020年に新型コロナウィルスが発生し、保育園に直接お伺いすることが出来なくなってしまいました。

そこで「食育活動をオンラインで継続したい!」と考え、YouTubeLIVEを活用することにしました。でも、YouTubeを年数回のLIVEで使用するだけではもったいないと思ったのです。以前から全国の保育園用の献立を作成していましたので、そのレシピを動画化すれば、保育園の調理師さんもわかりやすく、調理初心者の方でも効率が上がるだろうと考え、動画をアップし始めました。

このように、最初は提携している保育園さま向けに動画をアップしましたが、次第に主婦や学生など多彩な方々が観てくださり「家庭向けにも発信しよう!」と方向転換をしたんです。

給食で人気のカレーや揚げパンの動画も

−−チャンネルのコンセプトを教えてください

あおいさん:コンセプトは「コンセプトを決めないこと」です。どんな本でもどのようなセミナーでも「コンセプトとターゲットを定めましょう」と言われます。私も一時期、フリーランス管理栄養士として活動し始めた頃に、コンセプトを決めることで「そこから外れてはいけない」と幅を狭め、自分自身を苦しめていた時期がありました。その時「コンセプトやターゲットを決めることって、本当に大切なんだろうか?」と疑問に思ったのです。

先述した通り、このチャンネルは「コロナでできなくなった食育をLIVEで行う」ことを目的に始めました。その時、コンセプトなどまったく考えてもいませんでした。実際に食育をLIVEで行ってみると多くの気づきがあり、今度は「調理師さんがわかりやすいようにレシピを動画にしてみよう」と、動画をアップし始めました。すると、保護者やお子さんをお持ちのママ、管理栄養士を目指している学生さん、さらには体調を気遣う年配の方など、多くの方が観て下さるようになりました。さらに「野菜を食べない子どもがおかわりをして涙がでた」というありがたいコメントまでいただけるようになりました。

このように、

・保育園向けのLIVEを行う(コンセプトなし)
・調理師さんのための動画マニュアルを作る
・お子さまに何を食べさせていいのかわからないママに情報をお伝えする
・好き嫌いが出てきたお子さまのための知識をお伝えする
・管理栄養士として悩んでいる方に経験談をお伝えする

というように、このチャンネルで発信できる内容は常に変わり続けています。動画の反応から自分に求められていることを読み取り、柔軟にコンセプトを変えていく。それが一番大切だと思っています。

−−動画をYouTubeで発信する上で、特にこだわっているポイントはありますか?

あおいさん:こだわっているポイントは3つあります。

視聴者の方が抱きそうな疑問を想定し、定量的にわかりやすく示す

例えば「食べやすい大きさに刻みます」と言われても、人それぞれに思い浮かぶ大きさには相違がありますよね? このような抽象的な表現は、観ている方が理解できないどころか、不安を大きくしてしまいます。

そこで、動画を直観的に理解していただくため、予測できる疑問点をあらかじめ撮影前に書き出します。それらを「いかに具体的でわかりやすく説明するか」を徹底的に考えます。

当然間違ったことは言えないので、知識が薄れかかっている部分は専門書などで調べなおします(笑)。撮影より、この準備の工程に一番労力がかかっています。ほかにも、小さなスマホ画面で理解しやすいように出来る限り画面を大きく使うこと、管理栄養士の専門用語は使わず、分かりやすい言葉や例えに置き換えることなども大切にしています。

少しでも味に納得できなかった場合は公開しない

レシピ動画は公開したら終わりではなく、視聴者が作り、子どもが食べて「おいしい、また作ってね」と言ってくれた時が完成です。何時間もかけて撮影し、最後に試食をした時点で自分自身が「おいしい、これを伝えたい!」という感動が無ければ、躊躇なくお蔵入りにします。もったいないなぁ、と思う時もありますが、このあたりはオタク気質なのだと思います(笑)。

撮影時は明るく元気に! 普段より少しテンション高めに

映像や声などから、その人のテンションが観ている方に必ず伝わると思っているので、撮影して声が暗かったものは必ず撮りなおしています。手元しか映っていないシーンで顔は映っていなくても、裏では笑顔でお話しするよう心がけています。

−−1本の動画の制作時間や日数を教えてください

あおいさん:試作と下調べに4時間、撮影4時間、編集5時間、翻訳2時間位だと思います。 保育園の献立作成と同時進行で進めているので、企画~翻訳まで、1本の動画で3日間くらいかかっています。料理動画はとにかく時間がかかりますので、週に3本の撮影、リリースが今のところは限界です。

−−視聴者数が増加するに至ったバズった動画などはありますか?

あおいさん:2020年6月頃に始めたのですが、最初は登録者が1日数10人程度でした。1か月後に1日100人前後の登録となり、徐々に視聴数も増えていきました。転機になったのは2020年11月の終わりにリリースした「キャベツのメンチカツ」です。

何気なく出したこの動画がヒットし、最高で1日4600人に登録者が増加し、視聴数も過去最高を記録しました。

意外と「これは自信作!」と思った動画があまり再生されなかったり、何も考えず出した動画がヒットしたりと…、何が起こるか分かりませんね

キャベツのメンチカツ

自分でもおいしさに感動したレシピのみ紹介している

−−はじめてチャンネルに訪れる方に観ていただきたいものはありますか?

あおいさん:先ほどの「キャベツのメンチカツ」もかなりおすすめですが、「ほうれん草のツナサラダ」をぜひ作っていただきたいです。

保育園でも人気で、私も個人的に大好きなレシピです。この動画を観た視聴者の方々から、「うちの3歳男児、家で野菜なんかほんとに一切食べないのに…、おいしい!と言いながら出された分完食してくれました!!ほんとにありがとう!!涙が出るほど嬉しかったです」など、喜びのコメントをたくさんいただけて、動画を出してきて良かったと思えた作品です。

ほうれん草のツナサラダ



−−今の時期におすすめの動画はありますか?

あおいさん:「納豆とじゃこの天ぷら」です。納豆を天ぷらにするのは意外かもしれませんが、保育園では大人気なんです。

子どもの成長に大豆製品は欠かせないのですが、大豆料理は子どもの食べ進みが良くないこともあります。でも、揚げることによって、納豆特有の香りや粘りが抜けて、食感もよくなるので、納豆が苦手なお子さまもよく食べてくれるようになります。

お子さんに作る料理は「楽しくて仕方ないもの!」にしていきたい

−−どんな方にどんな風に動画を楽しんで欲しいですか?

あおいさん:子どもの食事で悩んでいる方、健康的な食事をとりたい方、保育園に携わっていて悩んでいる保育園関係者さんに「気楽に」観ていただきたいです。

悩みを抱えている方は、複雑に考えてしまったり「こうしなくちゃ!」と肩に力が入ってしまいがちです。そんな方々に向けて、コツも調味料も「気楽に、シンプルでいいんだよ」ということを楽しく伝えていきたいです。

さらに、保育園給食は薄味、栄養価バッチリです。そのため、高齢の方にもオススメなレシピですので、高齢者の方々にも活用していただけると嬉しいです。

私自身、管理栄養士として悩んだこと、試行錯誤したこと、学んだこと、嬉しかったことがたくさんありました。この経験を動画にのせて、社会の皆様に貢献できることが本当に嬉しいです。

−−動画以外の活動の予定もありましたら教えてください

あおいさん:5月1日から、私が開発して保育園に実際に卸している献立(月1万円/税込)を、一般の方にも公開します(月額550円/税込)。単品のレシピを公開するだけでなく、栄養価がしっかり整った1か月分の献立をお届けしますので、何かと不安な子どもの食事の不安や、献立を考える手間から解放されます。しかもよくある紙の献立ではなく、スマホで閲覧でき、一部のレシピは動画で参照できますので、いそがしいママさんにはピッタリのサービスです。この仕組みはプログラマーさんに外注して作っていただいたのですが、

・自分で作ってみた写真を投稿
・コミュニティーに参加
・会員バッジ機能

など「家事が楽しくなるしくみ」を随時取り入れていく予定です。

2021年後半には「乳児食レシピコンテスト」を開催し、優勝者には「あおいの給食室限定シリアルナンバー入り割烹着プレゼント」などの企画をやろうと思っています。子どもの食事は「やらなくてはいけないこと」から「楽しくて仕方ないもの」に変えて行く取り組みを、これからもYouTubeを通じて皆様にお届けしたいと思います!

お子さんのいるご家庭の負担が軽くなるだけでなく、さまざまな方にとって、料理が楽しくなる工夫やレシピを紹介しているあおいさん。おいしくないレシピを妥協して配信しないように、動画の配信日時はあえて定めていないといったこだわりも教えてくれました。毎日の料理に困っている方は、ぜひチャンネルを覗いてみて、プロの楽しいレシピを試してくださいね。

(TEXT:八幡啓司)

あおいさん

保育園に10年勤務した管理栄養士。現在は保育園の献立作成会社の社長も務める。お子さまの食事にお悩みのお父さんお母さんのために、実際に保育園に提案している献立やレシピを公開しており、実際に試された方から喜びのコメントが多数届いている。

編集部おすすめ
クックパッドの本