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コラム

夏だけじゃない!涼しい季節だからこそ注意すべき「食中毒」

暑さのピークも過ぎ、風が心地よい季節になってきました。過ごしやすい気候だからといって、油断してはいけないのが「食中毒」。涼しい時期に注意すべき食中毒についてご紹介します。

秋も油断大敵!食中毒に注意

秋風の心地よい昼下がり。チャーハンを作りすぎてしまったので、余った分は後から食べよう! とそのまま室内で放置していませんか? できた料理を長時間常温で放置しておくと「セレウス菌」などが原因の食中毒になる危険があります。湿度や気温が高い夏だけでなく、意外と秋にも食中毒は多いので、しっかり気を引き締めて対策をしていきましょう。

「セレウス菌」ってどんな菌?

セレウス菌による食中毒の報告例は年に数件と少ないものの、穀類などの汚染が高い傾向にあり、自然界のどこにでもいる菌なので発生するリスクは高め。しかも発生例の約9割が6月から10月に発生しています。

なぜ夏から秋に多いのかというと、ちょうど今くらいの気温が菌にとっては好条件だからです。「25℃〜30℃」が菌の繁殖に適した温度といわれています。そのため、セレウス菌がついた食品を調理し、長時間常温で置いておくと、セレウス菌の毒素が増えて食中毒を引き起こすのです。

加熱しても死なない厄介なセレウス菌の毒素

セレウス菌からできる毒素は、通常の家庭の加熱くらいでは壊れません。しっかり加熱することはもちろんのこと、それだけで大丈夫と過信せず、セレウス菌の毒素を増やさない状態にすることが重要です。

どんな症状が出るの?

セレウス菌による食中毒は、この毒素の作用で起きます。その症状は「嘔吐型」と「下痢型」の2種類にわかれます。日本では主に嘔吐型が多く見られ、原因となる食品(チャーハンやパスタ、焼きそばなどが多い)を食べてから、およそ1〜5時間という短時間で吐き気や嘔吐の症状が出ます。一方、下痢型は8〜16時間後に発症し、腹痛や下痢を起こします。肉や野菜、乳製品が原因としてあげられ、欧米で多く報告されています。

こんな料理&食材に注意!

チャーハン

先にも述べたように、日本では「チャーハン」を原因とする、セレウス菌の食中毒の事例が多くあります。大量に作って常温で放置することが多いこと、そして野菜や加工食品などいくつもの食材を使うため、セレウス菌に汚染される確率も上がることも理由として考えられます。

生米

生のお米にセレウス菌がついていることがあるため、お米はよく洗ってから使ってください。パエリアなど生米から作る料理は、絶対に長時間常温に放置せずに、出来上がったらすぐに食べましょう。可能なら生米を洗って使うようにします。

汁物

味噌汁などの汁物も鍋に入れっぱなしで常温に放置しておくことが多い料理なので、注意が必要です。作ってから時間が経って、ゆっくり温度が下がっていくと毒素がどんどん増えていってしまいます。すぐに食べないのであれば、急速に冷ますために、冷蔵庫に入れましょう。また、食べる時はしっかり再加熱しましょう。

「すぐに食べる」がいちばんの予防

まずは、調理する際にしっかり加熱することが大切です。その上で、大量に作った料理を長時間常温に置きっぱなしにしないことです。過去には、お祭りの屋台の焼きそばを持って帰って食べて具合が悪くなったという例や、大量の小豆をゆでた後、長時間常温に放置した餅つき大会のあんこが原因で、セレウス菌による食中毒が起きたこともあります。家で作る場合にも、一度にたくさんの量を作るとなかなか冷めずに菌が繁殖しやすい温度帯に長く置くことになります。食中毒菌を増やさないためにも、「作ったらすぐ食べる」「初めから一度に食べられる量を作る」ことが大切です。

放置せず、すぐ冷ます

どうしても後から食べる場合は、すぐに小分けをして冷蔵庫に入れるなど「すぐに冷ます」ことが大切です。「すぐに冷ます」、そして食べる時にはしっかり再加熱、がポイントです。お弁当に入れる際も、注意が必要です。熱々の状態のままふたをすることはせずに、しっかり冷まして持っていくようにしましょう。酢の力でセレウス菌の増殖をある程度抑えられるので、酢飯にしておくのもひとつの手です。

秋は要注意!コロナ禍だからこその注意点も

コロナ禍で今まで以上に家でチャーハンや焼きそばを作る機会が増えています。また、これまではお店で食べていた料理をテイクアウトして家で食べることもありますよね。家に持ち帰ってから食べる際は、家についたらすぐ食べる、もしくはすぐに冷蔵庫に入れるなどして冷やすようにしてください。

そして、これからの季節はキャンプなどでも大量に焼きそばやチャーハンを作って食べることがあると思います。屋外の場合は近くに冷蔵庫がなく、完全に冷やすことはなかなか難しいため、作ったらすぐに食べるようにしましょう。ついそのまま作りおきしがちですが、早めに食べきるように心がけましょう。

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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