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インタビュー

大切なのは“簡単・時短”の先にあるもの…!Instagramフォロワー84万人が支持する「Mizukiレシピ」人気の理由

500品ものレシピが掲載されている「今日のごはん、これに決まり! Mizukiのレシピノート決定版! 500品」が、発売約1ヶ月で10万部を突破した料理研究家のMizukiさん。フォロワー数84万人を超えるインスタグラムでも、マネしたくなるレシピをたくさん掲載しています。献立が思いつかないと悩む方たちにとって、まさに救世主ともいえるMizukiさんに、レシピ開発の秘訣や、Mizukiさんご自身の日々のごはんについて聞きました。

“簡単”の先のプラスα

――1冊のレシピ本に500品のレシピを掲載するのはすごいことですよね。SNSでも多くのレシピを発信されていますが、Mizukiさんはどのようにレシピ開発をされているのでしょうか。

“500品のレシピ”と聞くと、かなりインパクトがあると思いますが、500品が全く違うレシピというわけではなく、1つのレシピの味付けや材料を変えるというアレンジをすることでレシピ数が増えています。定番と言われてるメニューを、いろんな味、組み合わせで繰り返し作り続けているんです。SNSにみなさんから届く、よく使う食材の使い道やレシピリクエストを参考にして新しいレシピができることもあります。

――リクエストもくるんですね。その内容は、やはり「簡単」「時短」というものが多いのでしょうか。

「簡単」というのは、私のレシピではほぼ全てのレシピに言えることなんです(笑)。みなさんから求められる「簡単」というのは、シンプルに「作り方が簡単」というものではなく、「簡単だけどおいしい」とか、「簡単だけど見映えがいい」という、簡単の先のプラスαの部分が大切だと感じています。実は、簡単であることはそこまで重要ではないんです。

――「簡単の先のプラスα」! すごく納得です。そのプラスαというのはどういったことなのでしょうか。

料理研究家の活動をする中で、料理をする“作り手”は、おいしく作れたことより、作った相手がおいしい! と喜んでくれたことが喜びになることを知りました。みなさんから届くコメントを見ていると、自分が作りたくて作っているよりも、誰かのために作っているんだということが伝わって来るんです。一生懸命作ったものが喜ばれたら、次も作ろうというモチベーションになりますよね。簡単に作れて喜んでもらえるもの、簡単だけどおかわりされるもの…そういったものが「簡単の先のプラスα」だと思います。

――喜んで食べてもらうためには、てまひまをかけなくてはいけないんじゃないかという思いが、毎日の食事作りに負担を感じる原因だったりすると思うのですが、「簡単の先のプラスα」で喜んでもらえたら負担が減りそうですね。

みなさんからのコメントを見ていると、本当にものすごくまじめに料理と向き合っている方が多いです。それは、家族においしいものを食べさせたいという気持ちからくるものなんですよね。でも、家族を喜ばせるための料理が、「簡単じゃだめ」「時短は手抜き」なんてことはなくて、効率や自分の機嫌、バランスを取りながら、家族が喜んでくれるものが作れたらそれがベストだと思っています。「おいしく食べてほしい」と家族のことを考えているだけで、十分すごいことです。家族を思っていることは十分家族にも伝わっています。毎日のことなんだから、そんなに頑張りすぎなくていいんですよ。

1週間で栄養バランスがとれたらOK!

――Mizukiさんの、その言葉に救われる方は多いと思います。そんなMizukiさんの「日々ごはん」について教えてください。

実は、私も普段の献立を考えるのは得意なほうではないんです。そんな私が献立を考えるときに心がけてることはただ一つ。「あまり考えすぎないこと」。以前は、1日の食事のバランスを考えたり、何が足りない? とあれこれ考えすぎていたのですが、1食に全力をかけなくてもいいなと気づいたんです。1週間かけて、摂取する栄養のバランスを整えようくらいの気持ちでいないと、どんどん料理が負担になってしまうんですよね。

――料理研究家の方は、毎日、毎食バランスが取れたものを作っているイメージがあったので、安心しました(笑)

私もSNSを見ていて、「こんなすごいことできない!」と思うことがあります(笑)。手を抜けるときはとことん抜いていいよと、自分を甘やかしてあげるくらいじゃないと、毎日のことなので続きませんよね。

――Mizukiさんが、自分を甘やかそう! という日に作るレシピはなんですか?

面倒な時にピッタリなのが、「豚バラキャベツマウンテン」です。まず、野菜を炒めて、そのままのフライパンでお肉を焼きます。お肉が焼けたら、野菜の上に盛りつけて完成。野菜とお肉がとれて、10分もあれば完成するレシピです。

豚バラキャベツマウンテン

材料(2人分)

豚バラ薄切り肉…200g
キャベツ…1/4個(250g)
玉ねぎ…1/4個
サラダ油…小さじ2
塩、こしょう…各少々
A 砂糖、しょうゆ、酒…各大さじ1
A にんにく、しょうが…各チューブ1cm
粗びき黒こしょう…少々

作り方

1. キャベツはざく切り、玉ねぎは1cm幅のくし形に切る。豚肉は4cm長さに切る。Aは合わせておく。
2. フライパンにサラダ油を中火で熱し、キャベツと玉ねぎを炒めて塩、こしょうをふる。しんなりしたら、器に盛りつけておく。
3. 2のフライパンをそのまま中火で熱し、豚肉を炒める。焼き色がついたら余分な油をふき取り、Aを加えて煮からめる。
4. 2の上に3をのせ、お好みで黒こしょうをふる。

最も反響があったのは、カラッと仕上がる「唐揚げ」の作り方!

――インスタグラムでも、多くのレシピを掲載していますが、その中で反響が大きかったレシピはなんですか?

意外にも唐揚げの反響が大きかったんです。唐揚げを作るときの懸念点としては、油の処理とか油が跳ねるということがあると思うのですが、最近は、少ない油で揚げ焼きをする人も増えてきました。以前、揚げ焼きで唐揚げをカラッと仕上げるというインスタライブをやったときに、唐揚げの保存数が8万件まで伸びたんです。揚げ物って苦手意識を持つ方が多いイメージでしたが、みなさん、作ってみたいと思っているんだなと感じました。

――8万件! すごい反響ですね。インスタライブという発信方法もよかったのでしょうか。

インスタグラムの普通の投稿でもポイントは伝えていたのですが、インスタライブでは、文字では伝わらない発見があるようでした。私は、フライパンに1cmくらい油を入れて、フライパンいっぱいに鶏肉を入れたのですが、それを見て、「油の温度はどうなるの?」と驚かれる方が多くいらっしゃいました。フライパンいっぱいに鶏肉を入れることで油のかさが増し、下の部分の焦げや温度さえ気をつければカラッと揚げることができるんです。

インスタライブの様子がこちら

37:20ごろに、Mizukiさんがフライパンいっぱいに鶏肉を入れている様子が見られます。

おいしいものを作ろうと考えているだけですごい!

――ただ単に簡単・時短ではなく、その先の部分まで考え抜いてレシピ開発をされているMizukiさん。そのほかにもレシピを考える上でこだわっている点はあるんでしょうか?

レシピを考え続けていると、必然的に作るものがレベルアップしていきますが、私は意識的にレベルアップしないようにしています。提供するレシピがだんだん難しくなるのではなく、繰り返し初心に戻り、アレンジを加えながらレシピを作ることで、料理初心者の方からも「作ってみました」「私でもできました」というお声をいただけていると思っています。

――そのお話、Mizukiさんが、Mizukiさんのレシピを見る方に寄り添っていることが伝わってきます。

料理って、一生懸命作っても肯定されることが少ない家事ですよね。作るだけじゃなく、おいしいものを作ろうと考えているだけでも、本当にすごいことだと思うんです。みなさんが常に意識している、「簡単」「時短」「節約」も、待たせずにすぐ作れておいしいもの、節約をして家族のためのお金を残すことを意識しているからこそ。楽をするためというよりも、家族のためという思いが強いですよね。

それって、家族がうまくいくためにという思いが根本にあるからなので、それを考えているだけで十分だと思うし、そういう方のために、私のレシピが役立つのはとても幸せなことです。

――最後にもう1品、おすすめのレシピを教えてください!

「鶏肉のほったらかし煮」です。本の中では、「ほったらかし煮シリーズ」として紹介していますが、お鍋に食材と調味料を入れたら、あとはほったらしで完成するレシピです。時短を気にされる方は多いですが、例えば「5分でできる◯◯炒め」って、5分はキッチンに張り付いて炒め物をしなくてはいけないんですよね。ほったらかし煮は、15分放っておく間に他のことができるという別の意味での時短法だと思っています。

鶏肉のほったらかしみそ煮

材料(2人分)

鶏もも肉…大1枚(300g)
A 水…100ml
A 酒…大さじ2
A 砂糖、しょうゆ、みそ…各小さじ2
(あれば)かいわれ菜…適量

作り方

1. 小さめの鍋にAを入れて混ぜ、鶏肉を皮目を下にして加え中火にかける。煮立ったらふたをし、 弱めの中火で12分煮る。ふたを取り、煮汁が少なくなるまでさらに4〜5分煮る。
2. 1を食べやすい大きさに切って器に盛り、かいわれ菜を添える。

(TEXT:上原かほり)

Mizukiさんの新刊著書

今日のごはん、これに決まり! Mizukiのレシピノート決定版! 500品』(学研プラス

Mizukiオフィシャルブログ「奇跡のキッチン」、Instagramで紹介されたレシピ、6000を超える中から500レシピを厳選! はずれがない、失敗がない、と評判のMizukiさんのレシピを、素材ごとにまとめ検索性を高めた渾身の1冊。「ブログで見たあのレシピ、もう1回作りたい!」がすぐに叶う、Mizukiレシピの決定版です。

毎日に使えるレシピから、ハレの日のレシピ、鍋のレシピ、副菜レシピまでバリエーションも充実。スイーツも大人気のホットケーキミックスを使ったおやつから、混ぜて冷やすだけのひんやりスイーツまで。この1冊で大満足のボリュームです。

Mizuki

料理研究家。和歌山県在住。調理師免許とスイーツコンシェルジュの資格をもつ。ほぼ毎日更新中のブログ「Mizukiオフィシャルブログ〜奇跡のキッチン」では、日々「簡単・時短・節約」をテーマにレシピを発信し続けている。ブログのPV数は月間300万以上。Instagramも日々更新中で、84万フォロワーを突破(2021年12月14日時点)。 雑誌やテレビをはじめ、企業のレシピ開発やwebメディアで活躍中。また、過去に拒食症との闘いを克服した経験をもつことから、食べることの大切さや、同じ病に苦しむ人へのアドバイスなども積極的に行っている。著書に「Mizukiの混ぜて焼くだけ。 はじめてでも失敗しないホットケーキミックスのお菓子」(KADOKAWA)、「Mizukiの今どき和食」(学研プラス)、「Mizukiの2品献立」(マガジンハウス)などがある。

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