フォロワー数約6.5万人のTwitterアカウント「有限会社安井ファーム」は、石川県白山市でブロッコリーを作っている農家さんが運営しています。日々呟かれるブロッコリーに関するツイートがいくつも話題になりました。今回は、アカウントの“中の人”に、ブロッコリーを余すことなく味わう方法を教えていただきました。
――ブロッコリーについてのツイートをいくつもバズらせていますが、Twitterをはじめたきっかけはなんだったのでしょうか。
”中の人”を担当させてもらっている私が、健康上の理由で畑仕事ができなくなり、広報担当になったことがきっかけです。PRの1つとしてTwitterを使った情報発信をすることにしたんです。SNSについての知識もあまりない中ではじめたのですが、世の中に求められる役割に応えたいと思い、ブロッコリーに関するお役立ち情報や知識についてのツイートをするようになったら反響をいただけるようになったんです。
――お役立ち情報は多くの方が求めていたものだと思うのですが、最初に手応えを感じたツイートを教えてください。
「ナイスブロッコリーの見分け方」の投稿です。バズるためにはどうしたらいいんだろう? と考えて、20個くらい出した案の中の1つがバズりました(笑)。
「ブロッコリーはツボミがキュッと締まったものを選ぶべし」
— 有限会社安井ファーム (@yasuifarm) December 16, 2020
…と、言われてもよくわからないと思いますので各種取り揃えてみました!④がナイスブロッコリーです。 pic.twitter.com/p8oszhGv57
――おいしいブロッコリーの見分け方に、3.6万いいね! がつくということは、ブロッコリーが注目されていることがわかりますね。
ブロッコリーの需要は高まっていますし、生産者も増えてきています。ブロッコリーは、タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富で低カロリーなので、健康志向が高まる中で筋トレをしている方からは神として崇められているなんてお話も聞いたことがあります(笑)。
――神とあがめられるブロッコリーについての情報をツイートしてきた中で、一番バズったツイートを教えてください。
「ブロッコリーの麺つゆ漬け揚げ」です。私の家族の祝いの席で、人気のから揚げ専門店のから揚げを食べたいということになり食べたんです。「なんでこんなにおいしいんだろう?」と思って、研究してみたところ下味がポイントなんだと気づきました。ブロッコリーに下味をつけるとしたらなんだろう? と考えて、麺つゆに漬けたものを揚げてみたんです。それがすごくおいしくできて、ツイートしたら大変な反響をいただきました。
ブロッコリー…1/2株(房のみ/100g)
A 麺つゆ(3倍濃縮)…大さじ5
A 水…大さじ5
片栗粉…1/2カップ
揚げ油…適量
1.バットにAを混ぜる。ブロッコリーは小房に分け、加熱する。熱いうちにAに加え、20分ほど漬ける。
2.1の汁けを軽くきってポリ袋に入れる。片栗粉を加え、ブロッコリー全体にしっかりまぶす。
3.深めのフライパンに揚げ油を2cmほど注いで170℃に熱し、2を入れる。ときどき返しながら2分~2分30秒揚げ、油をきる。
――Twitterで紹介されているレシピは、全て“中の人”が考えられているんですか?
影で失敗しているレシピはたくさんありますが(笑)。Twitter担当になったことで料理をはじめました。ちなみに、「ブロッコリーの麺つゆ漬け揚げ」は、初めて挑戦した揚げ物料理です。料理初心者が考えるレシピなので簡単なものが多いです。「焼肉のタレとマヨネーズを1:1で混ぜればオッケーブロッコリーです」のディップソースは、冷蔵庫にあったものを混ぜてみたらできた! というものなんです。
Q. 簡単で美味しくてブロッコリーにも合うディップソースを教えてください
— 有限会社安井ファーム (@yasuifarm) April 20, 2021
A. 焼肉のタレとマヨネーズを1:1で混ぜればオッケーブロッコリーです pic.twitter.com/SZ28CyKPgl
――ブロッコリーは全部食べられるというのも反響があったと思うのですが、房以外の部分の味の特徴や食べ方について教えてください。
葉っぱは、ケールのような食べ方をします。少し苦味があるので大人の味かもしれませんが、さっと茹でるだけでおいしく食べられます。ベーコンと炒めてもいいですよ。茎は、すりおろしてシラスを乗せてポン酢で食べると甘味があっておいしいです。枝のようにも見える葉の根の部分は、ミキサーにかけてポタージュにするのがおすすめです。ブロッコリーは捨てるところが全くない野菜なんです。
――部位によっていろいろな食べ方ができるというのも面白いですよね。一般的に最も食べられている房の部分。茹でたり、レンチンで食べる方が多いと思うのですが、蒸す方も増えているそうですね。
栄養が茹でるより残りやすく、みずみずしく仕上がるということで、蒸すという方も増えています。レンチンよりは手間がかかりますが、ぜひ一度、蒸したブロッコリーを食べてみてください。裏技として、白だし小さじ1を加えて蒸すと旨味が引き立つので、やってみてください。
1.フライパンに水100ml、塩ひとつまみを入れる。(ここで白だしを入れてもOK)
2.小房に切ったブロッコリー(200g)を並べる(水溶性の成分の流出を最小限にするため、栄養を重視する場合はブロッコリーの切り口は上に)。
3.中火で加熱し、水が沸々とし始めたらフタをする。
4.そのまま中火で2分30秒蒸したら完成。
――蒸しで食べるのもおいしそうですね。いろいろな料理に使えると思うのですが、シンプルにブロッコリーのおいしさを感じられるおすすめのレシピはありますか?
「ブロッコリーのお浸し」はどうでしょうか。素朴さが心に沁みる1品です。
ブロッコリー…1/2株(房のみ/100g) A だし汁…大さじ3 A しょうゆ…大さじ1/2 削り節…適量
1. ブロッコリーは小房にわけ、加熱する。
2.バットに1を入れ、Aを混ぜて回しかけ、5分ほど浸す。器に盛りつけ、バットに残ったAを適量かけ、削り節をのせる。
――ブロッコリーをお浸しにするって新しいですね! 今回、発売になったレシピ本には、ブロッコリーを使ったお菓子のレシピも載っていますよね!
蒸しパンやホットケーキにブロッコリーを混ぜ合わせたレシピを作りました。中でもおすすめなのは、ブロッコリークッキーです。クッキーにしてもしっかりブロッコリー風味が感じられるんですよ!
ブロッコリー…1/4株(房のみ/50g) バター(食塩不使用/室温に戻す)…60g 砂糖…50g 塩…ひとつまみ 溶き卵…1/2個分(25g) 薄力粉…130g
1. ブロッコリーは細かく刻む。
2.ボウルにバターを入れてふわっとするまで泡立て器で混ぜ、砂糖、塩を加え、白っぽくなるまですり混ぜる。溶き卵を3回ほどにわけて加え、その都度よく混ぜる。
3.薄力粉をふるいに入れ、ゴムベラでさっくりと混ぜる。ブロッコリーを加え、均等に混ぜる。
4. 3.を直径3cm、長さ35cmほどの円柱状に形作ってラップで包む。冷凍庫で2時間ほど冷やし固める。
5.オーブンの天板にオーブンペーパーを敷く。オーブンを170℃に予熱する。4を7~8mm幅の輪切りにし、天板に並べ、オーブンで17~18分焼く。網などに取り出して冷ます。
――ブロッコリー1つでこんなにもいろいろな食べ方ができるなんて驚きました。
ブロッコリーは1年中食べられる野菜です。捨てるところがなく、食材としても扱いやすいと思うので、ぜひブロッコリーをいろいろな方法でたくさん食べてください。
(TEXT:上原かほり)
「この本は、ブロッコリー好きな方にはもちろんですが、ブロッコリーが苦手な方に手に取っていただけたら嬉しいなと思います。ご家族にブロッコリーが苦手な方がいたら、この本から克服できるヒントを見つけてみてください」
日本一バズる農家、安井ファームさんのバズりまくったツイートの数々がまとまった一冊。ブロッコリーについて知りたいことが全て書かれていますよ!