夏から秋にかけて旬を迎える「なす」。これからの時期のなすは「秋なす」とよばれ、夏のナスに比べると小ぶりですが、皮が柔らかく水分を多く含むので、揚げ浸しや煮浸し、なすの唐揚げ、なすメンチなどにして食べるとおいしいですよ!
そんな「なす」ですが、実はヘタの下もおいしいって知っていましたか? 今回は、毎年おうちでなすの栽培をしているという野菜博士の緒方湊くんに「なすのおいしい食べ方」、そして「一目でわかるおいしいなすの選び方」や「保存法」について話を聞いてみました。
なすを調理するとき、ついヘタの部分を実ごと切り落としてしまいがちですが、これは実ににもったいないことなんです。なすはヘタの下に甘みとうまみが詰まっています!そのため、調理するときはささがきの要領でヘタをとるか、ヘタごと縦に4つ割にしましょう。
じつは、ヘタは硬い部分だけを切れば、ヘタの下も食べることができます。ヘタがあり、太陽に当たっていないので白いままの部分は、アクもなく甘みもある部分です。
なすを選ぶときに注目すべきポイントは「ヘタの下」です。先ほど、なすはヘタの下に甘味とうまみが詰まっているとお話ししましたが、この部分が白いほど鮮度が高いという証拠なんです。白い部分が5ミリほどあるものが新鮮。時間がたつにつれて紫色になっていきます。
なすの皮の紫色はアントシアニン色素によるもの。なすから抽出される色素はナスニンと呼ばれ、日光にあたることで生成されます。例えば、朝に収穫したなすは夜に成長したヘタの下の部分は白いまま。その後、日光やスーパーの照明などにあたって紫色になっていきます。ヘタ切り口が茶色く、中心に盛り上がったなすは収穫後時間がたっているサインです。
なすはインド原産の野菜なので、寒いのが苦手です。保存温度が5℃以下になると身が縮み、果肉が黒く変色し、硬くなりうまみが低下します。また、冷蔵庫の冷気に当たると水分が蒸発し、早くしなびてしまいます。かといって野菜室に入れても温度が低すぎてしまい、乾燥して水分がなくなりやすいのでシワシワになってしまいます。ナスを切った時に、種が黒くなっているものや実の部分が少し茶色くなっている場合は、劣化が始まっている証拠なので早めに食べましょう。
水分が飛ばないようにナスを1本ずつキッチンペーパーや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存しましょう。保存期間は1週間程度です。
※一般的な冷蔵室:約2~5℃ 野菜室:約3~7℃で設定
ナスは、大きく分類すると長ナス系統、卵形ナスの系統、丸ナス系統にわけられ、日本だけでも約180種類、世界には1000種類以上ものナスがあるんですよ。
僕が初めてなすを収穫したのは、2歳2か月に千葉県の観光牧場で収穫体験した時です。でも、全く覚えていません(笑)。その後、7歳のときに初めて自分で育てた丸なすや千両なすを食べました。千両なすは長卵形の代表的なナスで、岡山県のブランドナスです。13~15センチほどの長さで、濃紫色で色つやも良く、果肉はやわらかく、歯切れも良いです。おいしかった! ということは覚えていますが、残念ながら味の詳細までは記憶にないです。でも、おいしかったので、それ以降今まで毎年なすは栽培しています。
夏の暑い時期は、太陽光から実を守るため皮も若干厚くなるので、繊維を断ち切る輪切りにして、煮込み料理がおススメです。朝晩が涼しくなる今の時期の「秋なす」は、水分が多く実が柔らかいので、繊維にそって縦切りにして調理すると、よりジューシーに感じることが出来ます。油炒めや、揚げるのがおススメです。とはまた違ったおいしさを味わえるので、ぜひ秋も積極的になすを食卓に取り入れてみてください。
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最年少野菜ソムリエプロ。
幼少期から野菜や果物が大好きで、8歳で「野菜ソムリエ」、10歳で「野菜ソムリエプロ」に合格。多くのメディアでも紹介され、「天才野菜博士ちゃん」としてテレビ出演も多数。
自宅の菜園で日本各地の「伝統野菜」を栽培をしつつ、イベントや講演を通して野菜の魅力を発信中。
ウェブサイト:みなとの野菜大辞典