【アメリカの最新ごはん事情vol.18】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第18回目のテーマは「バッファローウィング」。どんな味?いつ食べるの?気になるバッファローウィング事情をレシピとともに教えてもらいました。
アメリカ最大のスポーツイベントは何か知ってますか?それは「スーパーボール」。アメリカンフットボール(通称アメフト)の優勝決定戦で、視聴率も毎年40%を超える大人気の大会です。そんなスーパーボールが、今年も2月12日に開催されます。この日は、アメフトに興味がある人はもちろん、興味がない人も飲んで騒いで、アメリカ中が大盛り上がり。
レストランは、スーパーボール観戦用のメニューを予約販売したり、スポーツバーも書き入れ時です。いくら家に大きいテレビがあっても、大人数で盛り上がることが好きな人も多く、スポーツバーに行くようです。
そして、スーパーボールでは必ず食べる物があります。それは、バッファローウィングという、揚げた手羽先にスパイシーなバッファローソースを絡めたもの。もちろん、ピザやハンバーガーなども食べたりしますが、ハンディーで、大きすぎず食べやすいという点で、バッファローウィングは圧倒的な支持を得ています。しかも、冷めても比較的おいしいので、ゲームを見ながら小腹を満たすのにぴったりな料理です。
バッファローウィングの発祥地は、ニューヨーク州のバッファローにある「Anchor bar(アンカーバー)」と言われています。バッファローで生まれた手羽先料理なので、バッファローウィングですね。発祥に関して諸説は色々とあるものの、1960年代にはすでにレシピができあがっていたようです。
その頃、手羽先はただ同然の値段で手に入り、スープストックぐらいにしか使われず、誰も見向きもしなかったそうです。現在、アメリカで一番値段の高い鶏肉の部位はむね肉ですが、今では、なんと手羽先がむね肉の次に高い部位になるぐらい人気があります。バッファローウィングの人気が出て、手羽先を使った色々な料理が開発されたり、移民の国アメリカだからこそ、それぞれの国の手羽先料理が出回るようになったのでしょう。
日本人の感覚だと、スパイシーなソースを絡めたバッファローウィングをそのまま食べるだけでも満足だと思いますが、アメリカ人は、さらにブルーチーズソースにつけて食べます。そして、付け合わせに必ずついてくるのがセロリスティック。セロリは、口の中の辛みを抑え、ブルーチーズソースは、辛いソースによくマッチします。
この料理、普通は揚げて作りますが、私はオーブンで焼いてヘルシーに仕上げます。でも、ベーキングパウダーを加えたり低温ではじめは焼くことで、揚げてる?と思うほどパリパリになっておいしく仕上がります。ブルーチーズソースも、本来はサワークリームを入れますが、ヨーグルトで代用して少しヘルシーにしています。
・手羽先……約1kg
・★ベーキングパウダー……大さじ1/2(ベーキングソーダ不可)
・★ガーリックパウダー……小さじ1
・★塩……小さじ1/4
・★胡椒……適量
1.オーブンを120℃に温めておく
2.★の材料をよく混ぜて、そこに手羽先を入れてよくまぶす
3.写真のように天板にアルミホイルを敷いて、その上に網を乗せ、(2)を乗せる
4.(3)をオーブンで30分焼く
5.30分経ったら、オーブンの温度を220℃に上げて、手羽先がこんがりと狐色になるまで30〜40分焼く
6.焼き上がったら、手羽先をボウルに取り、バッファローソースを絡める
・無塩バター……30g
・Frank’s Original Red Hot Sauce ……1/4カップ
・はちみつ……大さじ1/2〜1(好みの量でOK)
1.手羽先が仕上がる直前に、上記の材料を全て小鍋に入れて、弱火で混ぜ合わせて温めておく
Frank’s Original Red Hot Sauce(フランクス レッドホットオリジナルソース)は、AmazonなどECサイトで購入可能。アメリカでは、スーパーボール前には売り切れていることが多いです。
・細かく砕いたブルーチーズ……30g
・無糖ヨーグルト……大さじ2〜3
・マヨネーズ……大さじ2
・にんにく(みじん切り)……1片
・レモン汁……大さじ1/2〜好みの量
・塩、胡椒……適量
1.上記の材料を全て混ぜ合わせて出来上がり
手羽先が焼き上がる前に、セロリとにんじんのスティックを作っておきましょう。手羽先をバッファローソースに絡めたら、セロリとにんじんのスティック、ブルーチーズディップソースを添えて出来上がり。
「フランクス レッドホットオリジナルソース」が手に入らなかった場合は、タバスコで近い味が再現できます。
・タバスコ……1/4カップ
・バター……25g
・はちみつ……小さじ1/2〜1
・ガーリックパウダー……小さじ1/4
・オニオンパウダー……小さじ1/4
・醤油、ウースターソース……少々
・塩……小さじ1/4〜1/2
味はやはり違いますが、可能な限り近づけました。「フランクス レッドホットオリジナルソース」は酸味が少なく塩味がきついですが、タバスコだと逆に酸味がきついので、それを消すのが少し難しいところです。
値段が上がったとはいえ、手羽先は比較的手頃な値段で購入できて調理も簡単。ホームパーティーなどで、バッファローウィングを作ってみてはいかがでしょうか?
兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
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