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卵焼き器が正解!?奥が深くて沼すぎる…!ふわしゅわ「スフレパンケーキ」への道

【話題のレシピ、試してみた Vol.15】世の中で流行っているレシピや、クックパッドニュースで人気を集めたレシピ。料理の楽しさを発信しているクックパッドアンバサダーのみなさんが、気になるレシピを実際に試してレポートします!

お家でスフレパンケーキが食べたい!

ちょっとおしゃれな喫茶店に行くと食べられるふわっとしたパンケーキ。もしおうちでも作れるとしたら…!?と思って作ってみたものの、上手く焼けずに苦戦してしまった方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

材料?調理工程?腕?何が決め手で何が原因なのかわからず理想のしゅわっとしたパンケーキに届かずに諦めてしまった方も、もしかしたらおいしく作れるようになる…かも!?

今回はそんな意外と難しい「ふわしゅわなスフレパンケーキ」を、コツやポイントをふまえながら作ってみたいと思います!

【材料】

卵黄        2個
水切りヨーグルト  100g
砂糖        30g
サラダ油      20g
強力粉       50g
ベーキングパウダー 小さじ1
卵白        2個
塩         ひとつまみ
レモン汁      小さじ1

参考にするのはこちらのレシピ!

ポイント①:卵黄と油を乳化させよう!

乳化とは…水と油をかき混ぜても時間が経てば分離してしまうように、本来なら混ざりあわない物がとある条件を挟むことによって均一に混ざり合う事。手作りマヨネーズでもこの乳化という工程は大事で、卵と油を少量ずつ混ぜ込みトロミを付けることで、分離しない粘度のあるソースに変化させることができます。

乳化のさせ方は意外と簡単!油を糸のようにゆっくり垂らしながら卵黄に混ぜ合わせる事!

「全部混ぜたら同じことでは?」と思われるかもしれませんが、一気に入れてしまうと卵黄のレシチンが油に閉じ込められる形となってしまい、上手く反応しなくなるのです。

なので卵黄に少しずつ油を混ぜ込み、じわじわと卵黄に油を溶かし込むイメージで、モタッとするペーストになるように意識して混ぜておきます。

このひと手間でしっかりとした生地が作れるようになるはず!

ポイント②:材料の水分量に注意!

そのままのヨーグルトを使っても割と大丈夫だとは思うのですが、成功率を高めるために水切りをしてみました。

そもそもパンケーキによく使われるリコッタチーズはヨーグルトよりずっしりした印象の物で、その代用にヨーグルトを使用しているのだと思います。ですが、製造メーカーや脂肪分によってはサラサラなタイプもあり、そのまま使うと生地が緩くなってあまり上手く膨らまなくなるかもしれません。

なるべく水分量は押さえておきたいところ…なので30分程度水切りして濃度を高めた物を使用していきたいと思います!

そのヨーグルトを先ほどの卵黄と混ぜ込んでおきましょう!

ポイント③:メレンゲの硬さをキープする

スフレパンケーキは何よりメレンゲが大事!メレンゲの硬さを出すためにお菓子作りの経験を元に色々と手を加えていきます!

まずは軽く泡立てていくのですが、ボウルを斜めにして底を深くし、ホイッパーで卵白を叩いて空気を入れる印象で泡立てていくと簡単です。

※汚れや水分が付着していると泡立たないので器材は全て乾いてる清潔な物を使用してください。

よく力いっぱいに混ぜたりしてこの工程に苦手意識を持つ方もいらっしゃると思いますが、力を抜いて卵白を叩き、持ち上げる時も緩く持つといった動作で加減しながら空気を含ませていると、気づいたらふわふわなメレンゲが出来ています。

ある程度泡立ってきたらレモン汁を入れ、アルカリ性の卵白を中性に寄せる事で硬さを出していくのですが、ここで砂糖も加える事で液体の粘度が強くなります。材料の塩もここで入れておきましょう。

あとは緩く叩くように空気を含ませていくとホイップクリームみたいに角が経ったメレンゲの出来上がり! ここまで硬さが出せていればほかの材料を混ぜ込んでもなかなか型崩れが起こりません!

ポイント④:材料の合わせ方も重要

小麦粉とベーキングパウダーを混ぜ込む前に粉を振るって溶けやすくしておきます。計量時にお皿やラップに振るいをのせて、その中に計量すると材料を移動させるときにも後々楽ちんです。

卵黄とヨーグルトを混ぜ込んだボウルに振るった粉物を合わせしっかり粉をなじませましょう。

次にメレンゲを混ぜ込んでいくのですが、卵黄側の液が重いのでメレンゲを1/4ほど混ぜ込み緩くして、残りを3回ほどに分けてゴムベラでふんわりと混ぜ込んでいきます。

水切りしたヨーグルト、卵黄と油の乳化、レモン汁によるメレンゲの硬さなどそれぞれが合わさりしっかりした泡がつぶれずしっかりした生地が出来上がります。

後は生地を焼くだけ!といいたい所ですが最後の難関です。 スフレパンケーキという物は鉄板の上で低温でじっくり焼き上げ、しゅわしゅわな半生状態で提供されることがあるのですが、あれを家庭で再現するのは至難の業…!

焼きが早すぎて焦がしてしまったり生焼けすぎて型崩れしてしまったり、失敗してしまった方も少なくはないと思います。

そんな中でも、出来るだけ理想に近づくためのコツとある種の妥協点を探りながら解説していきたいと思います!

ポイント⑤:フライパンは平らな物を!

まずはフライパン選びから。丸く広いフライパンを選び一気に焼き上げたい所ですが、そこは我慢して小さめの物を選び一枚ずつ焼くようにしましょう!

家庭用コンロだと火が円形に出てくるのですが、スフレパンケーキは弱火で仕上げていくので大きいフライパンだと熱の通りが甘く端の方は上手く焼き上げられません。

なるべく全体の熱の入りを均一にしたいので、できれば窪みが浅く面がフラットなフライパンを選びたい所。とどのつまり温度調整が出来る蓋つきのホットプレートが一番お勧めです。

ですが、ホットプレートを用意できない方もいると思うので最終兵器!今回は卵焼き用のフライパンで仕上げていきたいと思います!

ポイント⑥:温度管理と霧吹きが大切

そして次に用意するのが塗れ布巾!

バターを引いたフライパンを熱して、冷たい塗れ布巾の上に乗せて「鍋慣らし」をしていきます!フライパンはそのまま熱すると熱の広がりにムラが出来るのですが、それを濡れ布巾の上で一旦リセットする印象。色々と細かな話はあるのですが、フライパン全体の熱の通りを均一にしてあげる事で生地がフライパンから剝がれやすくなり、気泡や焼きムラも起こりにくくなります。

鍋慣らししたあとは、コンロの火力は常に弱火で進行していきます。

ここまで来てやっと生地投入!ここからは絶対に火力は弱火で。お玉一杯分をこんもりとフライパンの中心にのせ、場合によっては丸く成型していきましょう。

韓国系のスフレパンケーキの作り方を見ていると、ディッシャー(アイスをすくう器材)で生地を取り、鉄板の上に2段重ねでじっくり時間をかけて焼いていくのですが、ご家庭の環境では2段重ねは難しいかもしれません。なので小さくこんもりとひとすくいに抑えると難易度が抑えられるかも!

※試しに分厚く2段重ねにして熱伝導が良いタイプの丸いフライパンでも焼いてみましたが、焼きムラが酷く焼き時間が長くなったため焦げが発生してしまいました。

そしてここで登場する秘密兵器が…霧吹き!

鉄板で焼く際にも、目玉焼きの工程のように水を注して蓋をし蒸し焼きにするようなので、霧吹きで水分を与えバットなどで蓋をし蒸し焼きにしていきます。

※バットは熱くなってるので焼けどしないように注意

蓋をしたら1分30秒ほど弱火で焼いていきましょう。
焼きあがったらヘラで優しく崩さないようにひっくり返すと…

あとはもう片面にも霧吹きをして蒸し焼きにして、1分30秒~2分ほど様子を見ながら焼き上げると…完成!

焼き面がわかりづらい時は、フライパンの端に軽く生地を塗っておくと便利!

この少量の生地の焦げ具合が裏面の焼き色になるので、この色の変化を視認するとひっくり返すタイミングをジャッジしやすくなります。

実はこのやり方は餃子にも応用出来て、水溶き片栗粉で羽を付けて焼く際に余分な部分の焦げ目が裏目全体の焼き色だと思って仕上げていくときれいに仕上げることが出来ます。

あとはお皿に盛り付けていくだけ!
家庭用に1枚を薄く仕上げるタイプの焼き方なので、積み上げることで厚さを出す印象にするといいかも!?

完成したのでさっそく試食!

しっとりふわしゅわで濃厚な味わいになっていました!
チーズの代わりに使用している水切りヨーグルトとレモン汁のおかげか、どことなくチーズ蒸しパンのような味わいになってておいしい…!

小麦粉も少なめなのでお腹にも重くありません。

ご家庭で無理のない範囲で仕上げるために多少の妥協とコツが必要ですが、喫茶店で食べたスフレパンケーキに近い印象で仕上げられたと思います!

筆者もお気に入りの喫茶店で食べるスフレパンケーキが大好きで何度か試したことがあるのですが、プロの現場の設備や材料の準備や配合方法など、ご家庭の環境で再現するのはなかなかハードルの高さを覚えたことがあります。

お店の真っ白で分厚いふわしゅわなパンケーキは1枚焼き上げるのに20分かかる事があるので、それを再現するとなると機材だったり環境から見直す必要を感じたため、ある程度の妥協とコツを総動員して仕上げてみましたがいかがだったでしょうか。

もしかしたらなかなかハードルの高い挑戦となるかもしれませんが、みなさんもパンケーキの沼へ一歩浸かりに来てみては!?

今後、分厚いスフレパンケーキも作れるように頑張ってみます!

執筆:琲煎まき(クックパッドアンバサダー2023)

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