Twitterのフォロワー数はなんと26万人、手軽なのに“丁寧につくってる感”を味わえるレシピが人気の料理家・長谷川あかりさん。今回はふだん料理をするうえで心がけていることや料理を楽しく作るコツについて聞いてみました。さらに、6月14日発売の『つくりたくなる日々レシピ』 (扶桑社)から、おすすめのレシピを厳選してご紹介します。
私はとても面倒くさがり屋なので、料理を作るときに「この工程や材料って本当に必要かな?」って気になってしまうんです。見直してみると、意外と削ぎ落とせるところがあったりします。
でも、せっかく作るならおいしく作りたいし、“料理をしている感”も出したくて。だからその中間くらいの“シンプルだけど作っている感のある料理”を作るのが私の理想です。それが結果的に、時短につながったり、おしゃれに見えたらいいなと思っています。
例えば、私の肉じゃがには白滝もにんじんも玉ねぎも入っていません。文字通り、肉とじゃがだけです。子どものころから肉じゃがのお肉とじゃがいもが大好きで。母親が肉じゃがを作ってくれると、お肉とじゃがいもばかり食べて、にんじんや白滝を余らせてしまいよく怒られていました。だから大人になった今、「残すなら最初から入れなくてもいいのでは?」と思って考えたのがこのレシピです。野菜を切る時間も減って、いいことづくしです。
牛肉は長時間煮込むと硬くなってしまいますが、旨みを全体に行き渡らせるために3、4枚だけ最初に炒めます。お肉を2回に分けて入れる手間はありますが、反対に言えば手間がかかるのはこの工程だけ。先に炒めるという行為が旨みを増すためだとわかれば苦ではないですよね。メインの材料はお肉とじゃがいもだけなのに上品な味に仕上がりますし、しかもひと手間加わっていることで「作ってる感」もあります。
ショウガ焼きって醤油を足したり、みりんを入れたり、ちょい足しを繰り返しているうちに味が濃くなってしまうのが悩みでした。そこで、あえて調味料を減らしてみりんや砂糖も入れるのをやめてみたんです。その代わりに玉ねぎをたっぷり入れることで砂糖なしでも甘みはばっちり!しかも、焼くのではなく蒸すことでお肉もふんわりします。
味が濃いとキャベツの千切りが欲しくなりますけど、これはあっさり味なのでキャベツを添えなくても大丈夫です。キャベツの千切りを作る手間も省けて一石二鳥。これまで私みたいになかなか味が決まらず困っていたという方や、濃い味が苦手な方もこれならたくさん食べられると思います。
「焼かないショウガ焼き」のレシピ
【材料】2人分
豚バラしゃぶしゃぶ用肉…180g
玉ねぎ…中2個
ショウガ…2かけ
ミョウガ…1個
A 料理酒…100ml
A しょうゆ…大さじ1と1/2
A 塩…ひとつまみ
炒りごま(白)…適量
【つくり方】
1.玉ねぎは薄切りにする。ショウガ1かけはすりおろし、もう1かけは千切りにする。ミョウガも千切りにし、豚肉が大きい場合は食べやすい大きさに切る。
2.フライパンに玉ねぎを入れ、豚肉を全体に広げてのせる。ショウガの全量、Aを加え、中火にかける。
3.沸騰したら玉ねぎをほぐしながら全体を混ぜ、フタをして弱めの中火で15分蒸し煮にする。再び全体を混ぜたら火を止めて器に盛り、ミョウガをのせ、ごまをふる。
唐揚げを作るときは鶏ガラスープの素や生姜を使うこともありますが、シンプルに塩胡椒だけでもおいしくできるかも!と思って作ったのがこちらのレシピです。食べるときに自分で塩胡椒を足して、好きな味に加減を調整できるようになっています。
私のとっておき、"塩胡椒だけ"唐揚げ。ニンニクも生姜も酒も鶏ガラの素も、なんにも入れない究極レシピ。塩胡椒と一緒に水を加え、2分ほどしっかり揉み込むことでしっとりジューシーな仕上がりに(つけ置きいらず!)。食べる時に適当にブレンドした塩胡椒を少しつけていただくと最高、毎日作りたい。 pic.twitter.com/bAEyHm7MGB
— 長谷川あかり May 27, 2023
せっかく作った料理の味を勝手に変えられることほど嫌なことはないですよね。でもこれは、「食べる人が卓上で塩胡椒をかけて完成させる」ということが前提になっているレシピなので、誰も傷つきません(笑)。作った側も腹が立たないし、食べる人も自分好みの味にできます。自分で料理をアレンジする楽しみも味わっていただけると思います。
私のレシピはシンプルで簡単ゆえにアレンジもしやすいというメリットがあります。なのでTwitterには「私はこんなふうにアレンジしました」「これを足すとさらにおいしくなりました」「具材を変えてもおいしかったです」というコメントが届くこともたくさんあって、そういうツイートを見るとうれしくなります。皆さんのおうちの味のベースが私のレシピだなんて、そんな幸せなことはありません。もともと私は、そんなふうに多くの人と料理の楽しさやおいしさを分かち合えたらいいなと思って始めたので、これからも「おいしい」「料理って楽しい」という気持ちを一緒に共有していけたらいいなと思います。
(撮影:山田耕司、TEXT:河野友美子)
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料理家、管理栄養士。子役タレントとしてデビューし、俳優として活動。芸能活動引退後に大学に進学し、管理栄養士の資格を取得。SNSで始めたレシピ投稿が大反響となり、2022年11月に初の著書『いたわりごはん』(KADOKAWA)を発売。雑誌やWEBなどで幅広くレシピ開発を行う。2作目となる本書は、発売翌日に重版し、現在3刷りに。
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