「最近なぜだか疲れが溜まる」「寝ても疲れが取れない」このように心身の疲れを感じている人が多い一方で、まったく疲れをためないで、毎日元気に過ごしている人もいます。両者の違いは、いったいどこにあるのでしょうか? 今回は、日本抗加齢医学会にも所属している工藤孝文医師が監修した書籍『「疲れない人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)から、“疲れない人”になる食習慣について、少しだけお届けします。
クレオパトラがよく食べていたと伝わるデーツ。最近ではスーパーでも見かけるようになってきたフルーツだ。デーツはナツメヤシの果実で、アラブの美容食として知られている。クレオパトラはこのデーツを、美しさを保つためだけでなく、疲労回復のためにも口にしていたのではないだろうか。
デーツはナツメヤシの樹上で乾燥させた、天然のドライフルーツ。しっとりした食感で、なかに甘味がギュッと凝縮されているのが特徴だ。突出して多い成分は、ブドウ糖と果糖。いずれも体内に吸収されやすい単糖類で、食べたらすぐにエネルギー源として働く。疲労をすぐに回復したいとき、あるいは疲れたくないときに、おやつとして食べるのに絶好の食品だ。
ほかにも鉄分や亜鉛、ビタミン類、ミネラル、葉酸など栄養豊富。カロリーが高いので食べ過ぎに注意しつつ、上手に利用したいものだ。
辛いものに目がなく、夕食ではよくキムチを食べている。こういった人は、夜が更けるにつれて自然と眠くなり、質の良い睡眠を得ているに違いない。
キムチの辛さは、唐辛子に含まれているカプサイシンによるものだ。カプサイシンによる刺激で体温はいったん上昇したのち、発汗によって下がり出す。眠気は体の内部の体温(深部体温)が下がると湧いてくるので、夕食でキムチを食べたら、そのあと、ちょうどいい時間に眠くなってくる。
加えて、キムチにはGABA(ギャバ)が含まれているのも、夕食に好都合な理由だ。GABAはアミノ酸の一種で、体内で神経伝達物質として働き、自律神経を整えたり、ストレスをやわらげたり、睡眠の質を高めたりする効果がある。カプサイシンとGABAのダブル効果を期待し、キムチを晩の食卓に上げてみてはどうだろう。
「二日酔い」対策に効果的とされるのが、アミノ酸の一種であるオルニチン。アルコール代謝の過程で発生する有害物質、アセトアルデヒドの肝臓での分解を促し、飲み過ぎた翌朝の気持ち悪さを軽くしてくれる。
オルニチンが豊富なことで知られるのがシジミ。さらに、そのシジミの5倍以上も多く含まれているのがシメジだ。こうしたオルニチン効果を期待できる食品は、酒好きばかりではなく、元気で疲れない人もよく口にしているのではないか。
オルニチンは肝臓に働きかけ、アンモニアの分解も促進してくれる。アンモニアも有害な物質で、分解されずに体内に多く残ると、疲れを感じやすくなってしまう。この体の機能から、食事でオルニチンを摂取すれば疲れにくくなる。シジミやシメジがおすすめなのは、酒好きだけではなかったわけだ。
本文は『「疲れない人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)より一部抜粋・編集しています。
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『「疲れない人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)
疲れやすい、体がだるい、体が重たい、疲れがとれない……。それほど疲れることをしていないのに、しっかり寝ているのに、慢性的に疲労感を感じている人は少なくありません。同じ仕事をしていても、いつも溌剌としている人と、すぐに疲れて思いっきり仕事ができない人との違いはどこにあるのでしょうか?
本書は、疲れない人の習慣を、食べ方、メンタル、睡眠、ケア、運動、考え方、など、さまざまな側面から紹介します。
工藤 孝文(くどう たかふみ)
1983年福岡県生まれ。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。専門は、糖尿病・ダイエット治療・漢方治療。「ガッテン!」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)など、テレビ番組への出演・医療監修のほか、ダイエット関連の著作も多い。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本抗加齢医学会・日本東洋医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会・小児慢性疾病指定医。