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コラム

生活リズムを整え、おもてなし料理にも応用できる!「一汁一菜」の底知れぬ魅力【一汁一菜生活のススメ vol.6】

一人暮らしをされている方にとって、料理とはどういう行為でしょうか。お料理大好き!という方もいる一方で、料理はめんどくさい、継続するのがむずかしいという方もいるでしょう。一汁一菜スタイルで一人暮らしごはんを愉しんでいるフードプランナー・山口祐加さんが、“料理の肩コリ”をほぐすお話をお届けします。気張らず、毎日のごはんをおいしくいただくコツとは?

一汁一菜は料理の基礎トレーニング

こんにちは! 山口祐加です。これまで5回にわたってお届けしてきた一汁一菜の連載も、今回が最後となりました。最終回は、改めて一汁一菜という型がどうして料理を続けるのに向いているか、そして一汁一菜を応用したおもてなし料理についてお話したいと思います。

第1回で一汁一菜とは、「『ご飯と汁物』が基本で、余裕があったらもう一品『一菜』を足すだけ。型が決まっていると、献立を考える手間が省かれて、気持ちが楽になります」と書きました。私自身、意識的に一汁一菜の生活を行うようになって1年ほど経つのですが、型が決まっているとそれに合わせて作れば良いのでリズムができるのです。

例えば学生時代の運動部で、日々の練習の最初に行うのはジョギングや基礎トレーニングですよね。同じ練習メニューを毎日繰り返し、基礎トレーニングで身体作りができているからこそ、スポーツで力を出せます。

料理の上達も、基礎トレーニングが大事です。ご飯と汁物、余裕があればおかず1品を作る。まさに一汁一菜を続けることによって、日々の料理を試行錯誤して、気づいたら料理が継続してできるようになっていたという人を私はたくさん見てきました。

料理を始める前から「品数作らないといけない、多品目摂取しないといけない」と思うと、現実的に使える時間や余裕がなくて「やっぱり料理できない」となってしまいがちです。最初は汁物だけ作って、ご飯とふりかけで食べる。そのうちおかずも作ってみる。少しずつ、自然な形でステップアップしていけばいいのです。

1人で作って食べる場合は、食べ合わせも気にしないで好きなものを食べられるボーナスタイム。私は朝ごはんに前の日の豚汁と、その日の朝に食べたいパンケーキを合わせることだってあります。誰も見ていないのだから、自分の好きに作って自由に食べて良い。それが1人の料理の良いところです。

普段の料理を応用すればおもてなしも◎

こうして一歩ずつステップを踏むことで、だんだんと料理のリズムが整っていきます。

料理のリズムが整い、基礎体力がついてくると、友達を招いてのおもてなし料理も気張らずに作ることができます。しかも普段1品しか作らない制限を設けているので、ここぞとばかりに腕を振るいたくなる。

私が普段友達を呼んで料理を作るときは、一汁一菜で作っているおかずを4、5品ほど用意し、揚げ物や塊肉を使ったメインを作ります。そして最後は、鉄板の“ご飯とみそ汁コンビ”で締めます。基本は普段のおかずを作っているだけなので、頑張って作るのはメインだけで、もてなす側としての負担が少ないです。

またおかずはすべて一から作るのではなく、本マグロの中トロを買ったり(外で食べるよりはるかに安い)、お値段の張るチーズを買って来たりするとごちそう感が出ておすすめですよ。

一汁一菜で料理することで、日々のリズムが生まれ、身体も心も整う。旬を取り入れながら、つつましい食卓を作り続ける。ハレの日には普段の料理を応用してもてなす。肩肘張らずに料理を続けられるコツが、一汁一菜には詰まっています。

まずは1週間、一汁一菜を作ってみるところから始めてみてください。きっと型がある心地良さに気づくはずですよ。

山口祐加

フードプランナー、ライター。1992年東京生まれ、慶應義塾大学総合政策学部卒業。出版社、PR会社を経て独立。両親共働きで、母親に「ゆかが料理を作らないと晩御飯ないよ」と笑顔でおどされ、7歳のときに料理に目覚める。一人暮らしを始めた時から一汁一菜を実践し、TwitterInstagramnote など、SNSを中心に料理と食の楽しさを発信中。好きな食べ物はみそ汁。

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