中国で100万人以上のフォロワーを持つ人気ブロガーで料理作家の陳宇慧さん。これまでブログに掲載して話題を集めた「おいしくて簡単な中国の家庭料理」の中から、日本の食卓にもすぐに取り入れられる絶品レシピを厳選してご紹介します。中国の“家庭の味”をぜひ楽しんでみてください♪
こんにちは。陳宇慧と申します。私は中国で料理作家をしており、ブログで中国の家庭料理のレシピを紹介しています。仕事やプライベートで日本に行く機会も多いのですが、滞在中は皆さんが普段どんな食材を使っているのか、日本のスーパーを見て回るのも大好きです。
皆さんの中には中華料理というとハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、中国の家庭料理には簡単に作れておいしいものがたくさんあるんです。この連載では、中国の家庭で普段からよく作られている料理に、私なりの工夫やちょっとしたアレンジを加えたレシピをご紹介していきます。日本の皆さんにも、ぜひ作って楽しんでいただければと思います。
さて、記念すべき連載第1回目にご紹介するのは「キャラメル玉ねぎのオムレツ」です。
野菜と卵の炒め物のレシピは数多くあり、簡単に作れる中華料理として中国の家庭でも日常的に食べられています。「玉ねぎと卵の炒め物」は、その中でもごくありふれたもの。玉ねぎは長持ちするし、調理しやすいので、どこの家庭にもある常備食材の一つです。
冷蔵庫から玉ねぎ1つ、卵2つを取り出して5分もあれば完成できる料理ですから、働いていて忙しい人が仕事を終えて家に帰ってささっと作るのにもちょうどよい一品。いわゆる中国の定番“時短レシピ”といえますが、ひと手間加えるととってもおいしいスペシャルな料理になります。
「キャラメル玉ねぎのオムレツ」は、あえて玉ねぎをゆっくり時間をかけて調理したレシピです。玉ねぎをキャラメル色になるまでじっくり炒めて、濃厚な甘みを引き出します。そして、ネギ油を使って調理するのもポイント。卵と玉ねぎというシンプルな材料で、おいしさをよりいっそう引き出すために、炒め油に工夫をしています。玉ねぎと小ネギの「Wネギ効果」によって、驚くほど香ばしくなるんですよ。
このレシピをブログで紹介した時、フォロワーの皆さんからは「いつものありふれた家庭料理を簡単にここまでおいしくできるなんて!」と驚かれました。皆さんもぜひ試してみてくださいね。
玉ねぎ(Mサイズ) 1個
卵 4〜5個
小ねぎ 4〜5本
塩 小さじ1
サンショウ 15〜20粒
小ねぎを洗った後、しっかり水切りして乾かし、白い部分と緑の部分に分けます。青い部分は水分量が多いので、洗った後にできれば2時間程度置いて乾かし、水分を蒸発させてください。
フライパンに、分量の小ねぎがすべて浸かるくらいの量の油を入れ、加熱します。油が温まったら小ねぎの白い部分を先に入れ、中弱火で小ねぎが微かに黄色くなるまで揚げます。
次に、小ねぎの青い部分とサンショウも入れ、中弱火でさらに3〜4分程度揚げます。小ねぎの青い部分も微かに黄色くなり、気泡が出なくなってきたら、ネギ油の出来上がりです。そして、一旦火を止めます。
ネギ油は一度に使い切れなくても、密封して冷蔵庫で保存すれば2~3カ月ほど保ちます。麺類や炒め物を作る時に1さじ入れるとおいしくなりますよ。
玉ねぎを繊維に沿って半分に切り、薄切りにします。
フライパンにネギ油を大さじ1~2ほど入れ、中火で加熱します。真っ白な玉ねぎの薄切りをフライパンに入れ、箸でかき混ぜながら炒めます。油の量は多めにしましょう。少ないと、玉ねぎのキャラメル化が進みにくくなるほか、乾いて苦くなることもあります。
玉ねぎをむらなく広げて加熱します。ここからは、あまり頻繁に混ぜなくて大丈夫です。鍋の底の方の玉ねぎが少し飴色になるまで、1~2分程度かかります。
鍋の上の方の玉ねぎを加熱するために、少し混ぜます。玉ねぎ全体が黄色っぽくなり、こんがり日焼けしたような色になるまで加熱します。7~8分ほど経つと、玉ねぎが下の写真のような色味になります。これでキャラメル玉ねぎの完成です。
卵液に、キャラメル玉ねぎの薄切りと塩を入れてよく混ぜます。混ぜた後、卵液の量は玉ねぎを覆うくらいになっているのが目安。卵液が少なすぎると、オムレツの成形が難しくなります。(卵の量を減らしてもよいですが、そうすると玉ねぎと卵の炒め物になってしまいます)
玉ねぎを炒めた後のフライパンをキッチンペーパーできれいに拭き、ネギ油を大さじ1~2ほど入れます。少し煙が出るまで中火で加熱し、混ぜた卵液を入れます。
弱火に変え、そのまま1分焼きます。オムレツの一部を軽く開き、底面が焼けてしっかり固まっていることを確認したら、フライパンと同じサイズの大皿に一度取り上げます。そして、ひっくり返してフライパンに再び入れます。反対の面もしっかり黄色く色づいて固まるまで焼きます。
反対の面もしっかり黄色く色づいて固まるまで焼いたら完成です。
「キャラメル玉ねぎのオムレツ」は甘みがあってとても香ばしく、普段ささっと作る玉ねぎと卵の炒め物とはまるで違う料理です。
糖分やタンパク質が豊富な食材は、一定の温度に加熱すると「メイラード反応」が起こり、食材に色や香ばしさを生み出します。玉ねぎはメイラード反応が起こりやすい食材ですから、飴色になるまで炒めるととても甘くおいしくなります。
いつも使っている食材が、ちょっとしたひと工夫で2倍も3倍もおいしくいただけるようになるのは、とても楽しい体験ですよね。キャラメル玉ねぎは、玉ねぎそのものの味わいを楽しむためにも、卵のようなシンプルな食材との相性がちょうど良く、両方ともおいしくいただけますよ。
愛称は田螺姑娘(タニシ娘)。中国で100万人以上のフォロワーを誇るブロガーであり、料理作家。ディテール重視で、心が暖かくなるような家庭料理が得意。レシピが詳細で作り方のポイントが的確なため、成功率が極めて高いと支持されている。中国で『日出之食』、『日日之食』、『愉快地吃、痛快地痩(楽しく食べながら、痛快に痩せていく)』と3冊のレシピ本を出版しており、いずれも販売部数が5万部を超えるヒット本となっている。
【Instagram】elynchan