料理僧・青江覚峰(あおえ かくほう)さんが提案するのは、誰でも簡単に作れる「一汁一菜のお寺ごはん」。実際にお坊さんたちが食べている、肉や魚を使わない一工夫あるレシピを教えていただきました。からだと心がほっとゆるむ、優しい味わいのお料理ですよ。
この夏、『もったいないキッチン』という映画が公開されます。フードロスをテーマとした映画で、私も少しだけ出演しています。
フードロス。消費者庁によれば、「食品ロス(フードロス)とは、まだ食べられるのに廃棄される食品のこと」とのこと。
ではまだ食べられるというのはどこで線引きをするのでしょう?
賞味期限が過ぎたら?
カビが生えたら?
実は私たち一人ひとりには明確な線引きが存在しないのではないでしょうか?
例えば今日の料理は、そら豆をさやごと焼いただけのシンプルな料理です。
そら豆の鞘を取ると中から愛くるしい豆が顔を出します。他の豆と比べて少し厚手の皮をまとっているその豆の皮を剥いて塩を付けていただく。
ちょっとまって! その皮も食べられるよ! という人もいると思います。
人によっては固くて好まない方もいるでしょう。
どこまで食べる「べき」なのかは一旦置いておきましょう。
どこまで食べたいか。どこまで好きなのか。それを探してみませんか?
そのためには「なんとなく捨てる」ということをやめて下さい。
レシピを見ると当たり前のように書いてあります。
人参の皮を剥いて……
ピーマンの種は取り除く
かぼちゃのワタを取って……
などなど。
取り除いた皮やヘタ、種はそのままごみになります。
でも、捨てる前に立ち止まって考えてみてほしいのです。
もしかしたら食べられるかも。と。
もしかしたら美味しくないかもしれません。
どうか、納得するまで食材と向き合ってください。
納得して、これはもう食べない、となってもいいのです。
「そら豆の皮は固いから好まない」。それでもいいと思います。でも「意外とおいしい、好きかも」となったら、それまで知らなかった世界への扉を開けたということ。
なんの気なしに捨ててしまう前に一度立ち止まって、もう食べるところがないかなと考える習慣を持ってほしいと思います。
そら豆…4本
けしの実(お好みで)…適量
【田楽味噌】
八丁味噌…大さじ1
酒…大さじ1
みりん…大さじ3
1.小鍋に酒、みりんを入れて弱火にかけ、ひと煮立ちさせてアルコール分を飛ばす。
2.当たり鉢(=すり鉢)に1と味噌を入れ、丁寧に当たる(する)。
3.そら豆をさやごとグリルに入れ、さやの表面が黒く焦げるまで焼く。
4.そら豆を剥き、器に盛りつけて2を塗り、お好みでけしの実を適量ふる。
余った野菜や野菜の皮など…適量
※干ししいたけや昆布など、出汁を取ったものでも良い。今回は、にんじんの皮、アスパラの皮、しいたけの軸、余ったパプリカ、こんぶを使用
水…2カップ
しょうゆ…小さじ1
みりん…小さじ2
生姜の絞り汁…小さじ2
塩…ひとつまみ
1.野菜の皮などの余った食材を千切りにし、水につけて30分おく。
2.1を中火にかけ、沸騰したら止める。しょうゆ、みりん、生姜の絞り汁をいれ、塩で味をととのえ、盛り付ける。
焼いたそら豆のさやの内側には、ワタのようなクッションのような部分があります。ここをスプーンでこそいで食べてみてください。とろりとした食感と甘みに驚くでしょう。
やってみる。食べてみる。知ってみる。そうやって自分なりのフードロスの線引きを決めていく。
これが今、求められているのです。
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食の「もったいない」を美味しく楽しく解決! 舞台は“もったいない精神“の国、日本。
“もったいない精神”に魅せられ、オーストリアからやって来た食材救出人で映画監督のダーヴィドが日本を旅して発見する、サステナブルな未来のヒントとは?
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1977年東京生まれ。浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。ブラインドレストラン「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー。
ユニット「料理僧三人衆」の一人として講演会「ダライ・ラマ法王と若手宗教者100人の対話」などで料理をふるまう。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ほとけごはん』(中公新書ラクレ)、『お寺のおいしい精進ごはん』(宝島社)など。
【公式HP】https://www.ryokusenji.net/kaku/