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コラム

いつものお肉が劇的に変化!COCOCORO大西シェフが教える「絶品料理」を作るコツ【プロの日々ごはん Vol.20】

料理とエンターテインメントを届ける活動を続けている、クッキングエンターテイナーの大西哲也さん。2017年にYouTubeチャンネル「COCOCOROチャンネル」を開設し、現在ではチャンネル登録数が30万人を突破。多くの人に「食の楽しみ」を届けている大西さんに、自身が料理をするうえで心がけていることや、プロのようなおいしい料理を家庭で作るポイントなどを教えていただきました。

人を喜ばせるのが好き

僕が料理の仕事を始めたのは4年前になります。それまでは自動車整備士や旅行会社の添乗員、ガソリンスタンド、タイヤ販売店など、いろいろな職に就いていました。全ての仕事に全力を尽くしてきましたが、30歳になったときに「本当は何がしたいんだろう」と思って、改めて自分のやりたいことについて考えてみたんです。

そこで、友人たちが僕の料理をおいしいと言って食べてくれていることが頭に浮かび、「これだ」と! 料理を作ることは好きだったし、やっぱり人に喜んでもらうことがしたいと思って、料理の仕事を始めました。

でも、飲食店で働いたこともないし、どこかのお店で修業した経験もない。どうすればいいか考えた結果、これまでの仕事で身につけたコミュニケーション力をいかして“出張料理人”をやってみることにしたんです。その後「道北ビジネスプランコンテスト」に参加したことで人脈やつながりが増えて起業したり、友人の誘いで東京にお店を構えることもできました。

3年前に始めたYouTubeも、今はありがたいことにたくさんの方が見てくださるようになりました。僕は本当に人に喜んでほしい気持ちしかないので、YouTubeを通してたくさんの方に喜んでいただけてよかったと思っています。

「探求心」が料理をおいしくする

そもそも僕が料理を楽しいと思うようになったのは、高校2年生のとき。カレー作りにはまり、市販のルーを食べ比べたり、隠し味を調べたりするようになって、そこから料理の楽しさを知っていきました。昔から調べたり研究するのが大好きで、家庭科の授業では「食品成分表」を見て、食品の特徴やデータを覚えるような子でした。とにかく異常な探求心がありましたね(笑)。

今でもどうやったらおいしい料理が作れるのかを常に調べています。例えばおいしいトンカツを作りたいと思ったら、東京で一番おいしいと言われているトンカツ店に行き、なぜおいしいのかを分析するんです。「衣がサクサクしているからおいしいのか?」「なんでサクサクしているのか?」と仮説を立てて、自分で同じものが作れるか検証をしています。そうすることで新しい発見に出会えて、自分の予想を超えた料理を作れることもあります!

調理工程にある“なぜ”を知ることで、料理はもっとおいしくなる

僕は料理って「なぜこれは強火で調理するのか」「なぜこの時間煮込むのか」「なぜこの切り方なのか」などの、たくさんの「なぜ」の答えを知ることで、おいしく仕上がると思っています。しかし、ほとんどのレシピにはその“なぜ”が書かれていないんですよね。その“なぜ”がわかれば腹落ちするし、料理に苦手意識を持っている人も楽しく調理できるようになると思うんです。

大西さん流「おいしい牛肉の焼き方」

例えば、おいしいステーキを作りたいと思ったら「なぜお肉は焼きすぎると硬くなるのか」「何度で焼けば柔らかい食感になるのか」を考えます。そこで大事になってくるのが温度です。牛肉に含まれるたんぱく質の「ミオシン」は50℃からぷりぷり食感に変化するため、外カリっ中ジューシーにお肉を焼くには、肉の中心温度を50℃から60℃にすることが大切。ただし、66℃以上になると細胞が破壊され、水分が外に出てしまうので、50℃から60℃を目安に焼けば、おいしいお肉の焼き具合になるというわけです。なお、加熱は食中毒の原因となるウィルスを殺菌する役目も担っているため、豚肉・鶏肉などは75℃以上になるよう注意してください。

また、牛肉の表面をカリっと香ばしくするためには、「メイラード反応」といわれる現象を起こさせることが大事だということがわかります。そのために必要なのが、「鉄のフライパン」です。肉を加熱するとき、糖分とアミノ酸が熱によって反応し、おいしい香りと味のする物質が生まれるのですが、それは156℃以上で起きるため、熱伝導率が高く蓄熱性のある鉄フライパンのほうがお肉をおいしく焼き上げることができます。

このように、使う食材の成分や作る料理によって、どんな道具を使ったほうがいいのか、どのくらいの火を通したほうがいいのかなどの違いがあるので、それを知って調理するだけでも、いつもの料理が劇的においしく変化すると思います。

料理をすることを楽しむ!

僕は「料理は温度、料理は科学」をモットーに、食材成分のさまざまな「科学変化」に着目しながら料理をしていますが、とはいえ、人は歯や舌の形、味覚によっておいしさの感じ方が違うと思うので、なぜという理論に固執しすぎるのもよくないと思っています。食べるシチュエーションによっても感じ方が変わるし、科学で解明できないこともたくさんありますから。なのでみなさんも料理をするときは、科学的な根拠の部分と、あとは大いなる余裕と自由さをもって料理を楽しんでください。

大西哲也さんの最新著書

COCOCORO大西哲也のドヤ飯 誰がつくってもプロの味!!』(大和書房

撮影:片桐圭

自身初となるレシピ本を出版した、大西さん。本書にはYouTube「COCOCOROチャンネル」や大西さんのお店「料理うまいBAR COCOCORO」でも好評の「ポテトサラダ」や「黒チャーハン」「麻婆豆腐」のほか、まだYouTubeで紹介をしていないという「レバーペースト」の作り方も紹介されています。

撮影:片桐圭

「レバーペーストを作るとき、普通はレバーの臭みを抑えるためになるべく火を入れないように作りますが、僕のレシピは水分を飛ばすために火を入れるんです。それでも全くレバー臭くなりません」(大西さん)

さらに、本書には料理の手順のほかに、「大西ロジック」として料理をおいしくするためのコツが書かれています。そのほか、ふだんあまり目にしない調味料の使い方や手っ取り早くプロ飯を作りたい方向けのハーブ解説、料理ライフを充実させるための「7つの習慣」など、とにかく料理を楽しむための知識や情報が満載!「楽しく料理をしてほしい」「おいしいものを食べて欲しい」という大西さんの思いのこもった一冊になっています。

「今回のレシピ本は、これから料理を始めようという人にもおすすめですし、プロの方にも新しい発見や料理に対する考え方等、何かを見つけていただけるのではないかと思っています。レシピ本というと女性向けのものが多く販売されていますが、この本は男性が楽しめる内容になっています。料理を楽しみたいと思っているたくさんの方に読んでいただきたいですね」(大西さん)

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大西哲也

クッキングエンターテイナー。1982年6月27日生まれ、A型。北海道本別町出身。自動車整備士、添乗員などさまざまな社会人経験を経て、独学で学んでいた料理で「人に喜んでもらう」をテーマに起業。飲食店経営とYouTubeにて、料理とエンターテインメントを届ける活動を続けている。ジャンルにとらわれず、世界中の料理を専門店レベルにするための、科学的視点を取り入れたわかりやすい調理法に定評がある。近年は、連載『俺のコラボカフェ(4Gamer.net)』のほか、調理器具の開発やプロデュースも手掛けるなど、幅広く活躍中。YouTube『COCOCOROチャンネル』は登録者数30万人を突破している。

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